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第17話 「データの裏側を読む――大学進学実績のあれこれ――(つづき)」
2011年7月21日
前回に続き各種データから見えてくる大学進学実績について考えてみます。
さて最近よく「現役合格力」といった言葉も使われていますが,今回は「現役進学率」について,マスコミなどとはいささか異なる視点で考えてみましょう。
はじめに
現役進学といっても4年制大学,短大,専門学校などいろいろありますが,ここでは4年制大学に限定して考えます。なお「進学率」と「合格率」が異なる概念であることはいうまでもありません(第16話参照)。 本稿で「現役進学率」というのは,現役で4年制大学へ実際に進学した人数の卒業生数に対する割合のことです。第一志望の大学に現役で合格・進学できればそれに越したことはないわけですから,「現役進学率」が高ければ高いほうがよい学校と考えられているようですが,はたして単純にそういえるのでしょうか。
大学合格実績・進学実績は年によっても変動します。比較的変動の小さい学校もあれば,変動が大きい学校もあります。そこで,ここでは入学レベルで学校を
Aグループ (市進偏差値で65~70,最難関レベルの学校)
Bグループ (市進偏差値で55~64,上位レベルの学校)
Cグループ (市進偏差値で40~54,中堅レベルの学校)
と3つにグループ分けしたうえで,3年間の「現役進学率」とその平均値をもとに考えみます。学校名の右は現役進学率の3年間推移で数字は%。左から'09年,'10年,'11年および3年間の平均値です。また併設大・系列大への進学者が多い学校と中学校開校および中学校共学化の1期生がまだ卒業していない学校のデータは 除いてあります。なおA,Bグループはほぼ全ての学校のデータを入れてありますが,Cグループは学校数が多くなるため,代表的な学校に絞っています。
男子校Aグループ(市進偏差値65~70)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
開成もこのグループですが,データが公表されていないため掲載していません。 このトップレベルの学校は東大など最難関大学を受験する生徒が多く,どうしても浪人する生徒が多くなります。そのなかで聖光の「現役進学率」の高さは注目されます。浅野も今年は72%と急上昇しています。それに比べ東京の3校は低めで,特に麻布や武蔵の40%前後は目につきます。これを非常に低いと見るか,こんなものと見るか評価が分かれそうです。)
男子校Bグループ(市進偏差値55~64)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
このグループでは巣鴨の「現役進学率」の低さが目につきますが,東大や国公立大医学部などへの挑戦志向が非常に強いためと思われます。しばらく大学進学実績が停滞していましたが,今年は東大30名(そのうち理Ⅲ5名)など大きく回復しています。桐朋は「現役進学率」が上がってきており,加えて今年は東大32名,一橋大19名,東工大17名など内容もよく,多摩のトップ校としての面目を回復しました。芝はのんびりした学校で,浪人が多そうなイメージですが,実は安定して60%台の「現役進学率」を維持しています。また本郷の今年の46%が異様に低く見えますが過去2年と合わせてみれば一過性のことであろうと判断されます。世田谷学園は国公立大や早慶上智大などの難関大合格実績をのばすと同時に「現役進学率」も高いレベルで上昇しており大いに注目されます。サレジオ学院はAグループの聖光学院とならぶ非常に高い「現役進学率」でありながら難関大の実績も上げています。
男子校Cグループ(市進偏差値40~54)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
このレベルの学校になると推薦入試やAO入試を利用する受験生も増えてきます。また難関大への挑戦志向もAグループ,Bグループほど強くはないため,現役で合格できそうな大学を受ける生徒が多いようです。そのため「現役進学率」は高くなる傾向が見られます。
男子校の「現役進学率」のまとめ
主な男子校を入学レベルでA,B,Cの3グループに分けて「現役進学率」についてみてきましたが,ここで各グループの3年間平均の平均値をまとめると,
Aグループ 53%
Bグループ 59%
Cグループ 68%
これをみると上位校ほど「現役進学率」は下がっていることがわかります。常識的には高い学力があれば,難関大にも現役で合格できるのだから,入学レベルの高い学校ほど「現役進学率」は高いように思われるかも知れませんが,事実は逆なのです。「現役進学率」が高いほどよい学校と思われているようですが,どうも単純にそうとはいい切れない構造的な問題があるようです。
女子校Aグループ(市進偏差値65~70)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
Aグループでは桜蔭が70%を切っていますが,非常に東大・医学部志向が強く,浪人してでも所期の目的を達成しようという意志の強い生徒が多いのでしょう。豊島岡女子も桜蔭と進路への志向性が近い学校ですが,「現役進学率」が桜蔭よりかなり高いのは,学校規模が約1.5倍と大きいわりに最難関大を目指している生徒の割合が桜蔭よりは少ないためでしょう。
女子校Bグループ(市進偏差値55~64)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
このグループになるとほとんどが80%台です。学習院女子,富士見や淑徳与野など90%を超える学校もあります。また難関大受験者が多い吉祥女子,鴎友学園女子,晃華学園や光塩などでは年によっては70%台となっています。
女子校Cグループ(市進偏差値40~54)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
このグループは「現役進学率」に関する限りBグループとほとんど変わりありません。ただ早慶上智大やGMARCHなどへの進学率の違いです。さて中村が60%台から80%近くまで急激に上昇しているのが目につきますが,これはここ数年で完全中高一貫化などの学校改革によって入学者のレベルが上がり,短大・専門学校進学から急速に4年制大学進学にシフトしているためです。
女子校の「現役進学率」のまとめ
男子校と同様にA,B,C各グループの3年間の平均値をまとめると,
Aグループ 73%
Bグループ 85%
Cグループ 83%
これを見ると男子校の「現役進学率」が60%前後だったのに対し,女子校では最上位の5校では70%台ですが,それ以外ではほとんどが80%台となっているのがわかります。これは女子の場合現役志向が強く,推薦入試やAO入試を利用した受験をする生徒が多いこと,また一般入試においても,国公立大や医学部を狙う一部の生徒を除けば確実な受験校選びをしている生徒が多く,第一志望校に失敗しても第二,第三志望校で進学を決めてしまうためと考えられます。
共学校Aグループ(市進偏差値65~70)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
共学校でAグループに入る進学校は千葉の渋谷教育幕張1校しかありません。都内の「御三家」などの伝統的進学校はすべて別学です。このレベルの共学校は他にもありますが,すべて早慶大の付属校・系属校です。
共学校Bグループ(市進偏差値55~64)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
このグループの「現役進学率」は60%台から90%までバラツキがありますが,グループ内でも難関大受験者が多い偏差値60以上の学校はほとんど60%台です。また共学校といっても学校により,あるいは学年によって男女の人数比が異なり,当然のことながら男子が多ければ男子校と似た傾向になりますし,女子が多ければ女子校と似た傾向になります。このなかで山手学院の「現役進学率」が毎年90%前後と非常に高いのが目につきます。国公立大や早慶上智大の実績も伸びていることを考えれば大変な高さですが,これは現役合格を目指す徹底的な進路指導によるものです。
共学校Cグループ(市進偏差値40~54)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
*桐蔭学園は中学高校と中等教育学校の計
このグループの「現役進学率」は70%台が主流です。その中で桐蔭学園の55%というのは気になるところです。また順天はこのグループで最も高い89%で,難関大でも相当な実績を挙げています。
共学校の「現役進学率」のまとめ
A,B,C各グループの3年間の平均値をまとめると
Aグループ 62%
Bグループ 75%
Cグループ 75%
これをみるとやはり共学校の「現役進学率」は各グループで男子校と女子校の中間的な傾向であることが見て取れます。
最後に
入学レベル別に男子校,女子校,共学校の「現役進学率」をみてきましたが,最後に 全体を一覧しておきましよう。
常識的に「現役進学率」は高ければ高いほどよいと考えられていますが,上記の表を見ればすぐわかるように,男子と女子での学習への取り組み方の違いや, 進路の志向性の違い,またその学校の学力的なポジションによって「現役進学率」に相当大きな差があることがわかります。 すなわち「現役進学率」にはそれぞれの学校の様々な要素を総合した現在の位相が表現されており,単純に数字の高低で学校(教育)の優劣を云々することはできないのです。 本稿で試みた学校のグルーピングが妥当なものであるかどうかは読者の判断に任せるとして,少なくとも異なるグループの学校を比較するのはまったく無意味であることは断言できるでしょう。
さて最近よく「現役合格力」といった言葉も使われていますが,今回は「現役進学率」について,マスコミなどとはいささか異なる視点で考えてみましょう。
はじめに
現役進学といっても4年制大学,短大,専門学校などいろいろありますが,ここでは4年制大学に限定して考えます。なお「進学率」と「合格率」が異なる概念であることはいうまでもありません(第16話参照)。 本稿で「現役進学率」というのは,現役で4年制大学へ実際に進学した人数の卒業生数に対する割合のことです。第一志望の大学に現役で合格・進学できればそれに越したことはないわけですから,「現役進学率」が高ければ高いほうがよい学校と考えられているようですが,はたして単純にそういえるのでしょうか。
大学合格実績・進学実績は年によっても変動します。比較的変動の小さい学校もあれば,変動が大きい学校もあります。そこで,ここでは入学レベルで学校を
Aグループ (市進偏差値で65~70,最難関レベルの学校)
Bグループ (市進偏差値で55~64,上位レベルの学校)
Cグループ (市進偏差値で40~54,中堅レベルの学校)
と3つにグループ分けしたうえで,3年間の「現役進学率」とその平均値をもとに考えみます。学校名の右は現役進学率の3年間推移で数字は%。左から'09年,'10年,'11年および3年間の平均値です。また併設大・系列大への進学者が多い学校と中学校開校および中学校共学化の1期生がまだ卒業していない学校のデータは 除いてあります。なおA,Bグループはほぼ全ての学校のデータを入れてありますが,Cグループは学校数が多くなるため,代表的な学校に絞っています。
男子校Aグループ(市進偏差値65~70)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
麻布 | 40 | 42 | 43 | 42 |
武蔵 | 36 | 39 | 39 | 38 |
駒場東邦 | 44 | 56 | 49 | 50 |
栄光学園 | 54 | 53 | 59 | 55 |
聖光学院 | 63 | 77 | 72 | 69 |
浅野 | 64 | 60 | 72 | 65 |
開成もこのグループですが,データが公表されていないため掲載していません。 このトップレベルの学校は東大など最難関大学を受験する生徒が多く,どうしても浪人する生徒が多くなります。そのなかで聖光の「現役進学率」の高さは注目されます。浅野も今年は72%と急上昇しています。それに比べ東京の3校は低めで,特に麻布や武蔵の40%前後は目につきます。これを非常に低いと見るか,こんなものと見るか評価が分かれそうです。)
男子校Bグループ(市進偏差値55~64)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
海城 | 50 | 48 | 59 | 52 |
巣鴨 | 50 | 45 | 47 | 47 |
芝 | 63 | 64 | 61 | 63 |
本郷 | 64 | 63 | 46 | 58 |
桐朋 | 44 | 51 | 57 | 51 |
城北 | 63 | 57 | 65 | 56 |
攻玉社 | 63 | 68 | 59 | 63 |
世田谷学園 | 67 | 69 | 74 | 70 |
暁星 | 53 | 54 | 53 | 53 |
サレジオ学院 | 59 | 73 | 75 | 69 |
鎌倉学園 | 58 | 52 | 64 | 58 |
逗子開成 | 60 | 66 | 64 | 63 |
このグループでは巣鴨の「現役進学率」の低さが目につきますが,東大や国公立大医学部などへの挑戦志向が非常に強いためと思われます。しばらく大学進学実績が停滞していましたが,今年は東大30名(そのうち理Ⅲ5名)など大きく回復しています。桐朋は「現役進学率」が上がってきており,加えて今年は東大32名,一橋大19名,東工大17名など内容もよく,多摩のトップ校としての面目を回復しました。芝はのんびりした学校で,浪人が多そうなイメージですが,実は安定して60%台の「現役進学率」を維持しています。また本郷の今年の46%が異様に低く見えますが過去2年と合わせてみれば一過性のことであろうと判断されます。世田谷学園は国公立大や早慶上智大などの難関大合格実績をのばすと同時に「現役進学率」も高いレベルで上昇しており大いに注目されます。サレジオ学院はAグループの聖光学院とならぶ非常に高い「現役進学率」でありながら難関大の実績も上げています。
男子校Cグループ(市進偏差値40~54)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
獨協 | 63 | 62 | 72 | 66 |
成城 | 57 | 53 | 52 | 54 |
足立学園 | 72 | 78 | 72 | 74 |
京華 | 76 | 69 | 72 | 72 |
佼成学園 | 64 | 73 | 61 | 66 |
聖学院 | 76 | 79 | 76 | 77 |
このレベルの学校になると推薦入試やAO入試を利用する受験生も増えてきます。また難関大への挑戦志向もAグループ,Bグループほど強くはないため,現役で合格できそうな大学を受ける生徒が多いようです。そのため「現役進学率」は高くなる傾向が見られます。
男子校の「現役進学率」のまとめ
主な男子校を入学レベルでA,B,Cの3グループに分けて「現役進学率」についてみてきましたが,ここで各グループの3年間平均の平均値をまとめると,
Aグループ 53%
Bグループ 59%
Cグループ 68%
これをみると上位校ほど「現役進学率」は下がっていることがわかります。常識的には高い学力があれば,難関大にも現役で合格できるのだから,入学レベルの高い学校ほど「現役進学率」は高いように思われるかも知れませんが,事実は逆なのです。「現役進学率」が高いほどよい学校と思われているようですが,どうも単純にそうとはいい切れない構造的な問題があるようです。
女子校Aグループ(市進偏差値65~70)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
桜蔭 | 69 | 71 | 68 | 69 |
女子学院 | 74 | 64 | 77 | 75 |
雙葉 | 73 | 76 | 73 | 74 |
豊島岡女子 | 74 | 75 | 76 | 75 |
フェリス | 73 | 76 | 73 | 74 |
Aグループでは桜蔭が70%を切っていますが,非常に東大・医学部志向が強く,浪人してでも所期の目的を達成しようという意志の強い生徒が多いのでしょう。豊島岡女子も桜蔭と進路への志向性が近い学校ですが,「現役進学率」が桜蔭よりかなり高いのは,学校規模が約1.5倍と大きいわりに最難関大を目指している生徒の割合が桜蔭よりは少ないためでしょう。
女子校Bグループ(市進偏差値55~64)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
白百合 | 84 | 83 | 81 | 83 |
鴎友学園女子 | 83 | 78 | 81 | 81 |
吉祥女子 | 79 | 83 | 80 | 81 |
学習院女子 | 92 | 94 | 93 | 93 |
頌栄女子学院 | 86 | 83 | 83 | 84 |
晃華学園 | 78 | 85 | 75 | 79 |
光塩女子学院 | 76 | 87 | 77 | 80 |
富士見 | 90 | 91 | 88 | 90 |
田園調布学園 | 84 | 85 | 91 | 87 |
横浜雙葉 | 87 | 81 | 83 | 84 |
横浜共立 | 90 | 89 | 88 | 89 |
洗足学園 | 90 | 88 | 80 | 86 |
横浜共立 | 90 | 89 | 88 | 89 |
鎌倉女学院 | 88 | 94 | 83 | 88 |
浦和明の星 | 80 | 83 | 83 | 82 |
淑徳与野 | 95 | 95 | 94 | 95 |
国府台女子 | 85 | 82 | 83 | 83 |
このグループになるとほとんどが80%台です。学習院女子,富士見や淑徳与野など90%を超える学校もあります。また難関大受験者が多い吉祥女子,鴎友学園女子,晃華学園や光塩などでは年によっては70%台となっています。
女子校Cグループ(市進偏差値40~54)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
江戸川女子 | 88 | 85 | 84 | 86 |
三輪田学園 | 84 | 83 | 85 | 84 |
品川女子学院 | 90 | 80 | 87 | 86 |
東京純心女子 | 84 | 79 | 80 | 81 |
中村 | 67 | 71 | 79 | 72 |
神奈川学園 | 85 | 83 | 89 | 86 |
横浜女学院 | 82 | 81 | 81 | 81 |
聖園女学院 | 85 | 91 | 88 | 88 |
このグループは「現役進学率」に関する限りBグループとほとんど変わりありません。ただ早慶上智大やGMARCHなどへの進学率の違いです。さて中村が60%台から80%近くまで急激に上昇しているのが目につきますが,これはここ数年で完全中高一貫化などの学校改革によって入学者のレベルが上がり,短大・専門学校進学から急速に4年制大学進学にシフトしているためです。
女子校の「現役進学率」のまとめ
男子校と同様にA,B,C各グループの3年間の平均値をまとめると,
Aグループ 73%
Bグループ 85%
Cグループ 83%
これを見ると男子校の「現役進学率」が60%前後だったのに対し,女子校では最上位の5校では70%台ですが,それ以外ではほとんどが80%台となっているのがわかります。これは女子の場合現役志向が強く,推薦入試やAO入試を利用した受験をする生徒が多いこと,また一般入試においても,国公立大や医学部を狙う一部の生徒を除けば確実な受験校選びをしている生徒が多く,第一志望校に失敗しても第二,第三志望校で進学を決めてしまうためと考えられます。
共学校Aグループ(市進偏差値65~70)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
渋谷教育幕張 | 64 | 66 | 56 | 62 |
共学校でAグループに入る進学校は千葉の渋谷教育幕張1校しかありません。都内の「御三家」などの伝統的進学校はすべて別学です。このレベルの共学校は他にもありますが,すべて早慶大の付属校・系属校です。
共学校Bグループ(市進偏差値55~64)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
渋谷教育渋谷 | 66 | 68 | 71 | 68 |
公文国際 | 60 | 72 | 70 | 67 |
東邦大東邦 | 65 | 66 | 56 | 62 |
市川 | 63 | 68 | 72 | 68 |
昭和秀英 | 79 | 76 | 80 | 78 |
江戸川取手 | 73 | 74 | 78 | 75 |
帝京大学 | 79 | 78 | 81 | 79 |
神奈川大附 | 84 | 80 | 84 | 83 |
山手学院 | 92 | 90 | 89 | 90 |
開智 | 86 | 75 | 86 | 82 |
栄東 | 75 | 72 | 73 | 73 |
西武文理 | 71 | 68 | 74 | 71 |
春日部共栄 | 74 | 74 | 75 | 74 |
このグループの「現役進学率」は60%台から90%までバラツキがありますが,グループ内でも難関大受験者が多い偏差値60以上の学校はほとんど60%台です。また共学校といっても学校により,あるいは学年によって男女の人数比が異なり,当然のことながら男子が多ければ男子校と似た傾向になりますし,女子が多ければ女子校と似た傾向になります。このなかで山手学院の「現役進学率」が毎年90%前後と非常に高いのが目につきます。国公立大や早慶上智大の実績も伸びていることを考えれば大変な高さですが,これは現役合格を目指す徹底的な進路指導によるものです。
共学校Cグループ(市進偏差値40~54)
(3年間の「現役進学率」とその平均値)
順天 | 88 | 90 | 88 | 89 |
青稜 | 69 | 78 | 65 | 71 |
多摩大聖ヶ丘 | 86 | 79 | 80 | 82 |
淑徳 | 78 | 74 | 74 | 75 |
駒込学園 | 73 | 81 | 72 | 75 |
桐光学園 | 77 | 76 | 75 | 76 |
森村学園 | 82 | 76 | 80 | 79 |
桐蔭学園 | 52 | 55 | 58 | 55 |
自修館 | 82 | 75 | 70 | 76 |
湘南学園 | 83 | 78 | 72 | 78 |
成田高付 | 69 | 63 | 69 | 67 |
日出学園 | 73 | 75 | 76 | 75 |
暁星国際 | 71 | 81 | 76 | 76 |
麗澤 | 81 | 77 | 80 | 79 |
大宮開成 | 71 | 75 | 78 | 75 |
このグループの「現役進学率」は70%台が主流です。その中で桐蔭学園の55%というのは気になるところです。また順天はこのグループで最も高い89%で,難関大でも相当な実績を挙げています。
共学校の「現役進学率」のまとめ
A,B,C各グループの3年間の平均値をまとめると
Aグループ 62%
Bグループ 75%
Cグループ 75%
これをみるとやはり共学校の「現役進学率」は各グループで男子校と女子校の中間的な傾向であることが見て取れます。
最後に
入学レベル別に男子校,女子校,共学校の「現役進学率」をみてきましたが,最後に 全体を一覧しておきましよう。
男子校 | 女子校 | 共学校 | |
Aグループ | 53% | 73% | 62% |
Bグループ | 59% | 85% | 75% |
Cグループ | 68% | 83% | 75% |
常識的に「現役進学率」は高ければ高いほどよいと考えられていますが,上記の表を見ればすぐわかるように,男子と女子での学習への取り組み方の違いや, 進路の志向性の違い,またその学校の学力的なポジションによって「現役進学率」に相当大きな差があることがわかります。 すなわち「現役進学率」にはそれぞれの学校の様々な要素を総合した現在の位相が表現されており,単純に数字の高低で学校(教育)の優劣を云々することはできないのです。 本稿で試みた学校のグルーピングが妥当なものであるかどうかは読者の判断に任せるとして,少なくとも異なるグループの学校を比較するのはまったく無意味であることは断言できるでしょう。
(おわり)