2/20(火) 読売新聞の講評を市進教育本部が担当いたしました。
市進教育本部による講評
- 《国語》
- 今年度よりマークシート方式に変わった点は特筆されるが、設問自体はほぼ平年通り。昨年より取り組みやすいが、難問も散見された。読解の大問3題には要約文や生徒の話し合い場面での穴埋め問題があり、そこでの30~40字の読解記述は苦戦したと思われる。
聞き取り問題は、驚いた体験を話している場面。日常生活でのできごとを話しているので、読みやすく、内容も興味深い。 言葉の問題では読み「諮る」(はかる)が難しい。定番の四字熟語の書きは「(一日)千秋」であった。 説明的文章は、社会における自己のあり方に関する内容。「出会い」についての⑷と、別資料による⑸の記述が難問。 文学的文章は、江戸時代の寿司職人の心情を読解する内容。設問ごとに読解も深められる出題になっている。 古文は笑い話の読解。ここでも生徒の話し合い場面を生かして読解を進めることになり、話の流れをつかんで記述をまとめることが大切である。 200字作文は、「知識」と「知恵」について考えをまとめるもの。条件に沿ってまとめること、的確な具体例を織り込むことなどが重要である。
- 《数学》
- 昨年度と同様の大問4問構成。マークシートで解答する問題が7割程度あったが、すでに多くの私立高校入試で導入されていることもあり、混乱は少なかったと思われる。出した答えが勘違いしてマークに当てはまらず、ミスに気づくこともあったのではないだろうか。点を取りやすい問題が増えているため、平均点は昨年より上がると予想される。
大問1では、標本調査の問題が出題された。教科書では一番最後に扱われることが多い単元だ。大問2は座標平面と図形。2次関数と平行四辺形の組み合わせは典型的な問題なので、取り組みやすかったと思われる。大問3は平面図形。証明は、昨年同様すべて書かせる形式。(3)は難しく、正答率はかなり低いと予想される。大問4は会話文を読ませて、方針を与えながら思考させる問題。今年はスクリーンに投影される影に関する問題で、(2)(3)は難しく、差がついたのではないだろうか。
易しい問題と難しい問題が2極化しているので、ミスが命取りになりそうだ。
- 《英語》
- 問題の構成および設問数は、昨年度までの入試傾向に沿っている部分が多いが、変更された部分もある。難易度は全体的には昨年より、やや易しくなっている。
リスニングは大問3で、No. 1とNo. 2の語数がやや増えた。ただ,英文や設問の難度においては昨年並み。大問4は大きく変更された。前年は2つの文章に対し、それぞれ文脈から空所に入る適切な英単語を書く形式であったが、本年度は1つの文章の内容を理解し、整理する力を見る形式になっている。解答が選択式である点は前年より取り組みやすいと言えるだろう。 大問5は内容・形式ともにほぼ例年並み。⑴⑵は前年よりやや易しい。 大問6は、前年が一連の4コマのイラストについて2カ所の空所を埋める英作文であったのに対して、本年度は2コマずつの2つの異なる場面のイラストについて2カ所の空所を埋める英作文。形式こそ若干の変更はあるが、英作文自体の難易度は昨年並み。 大問7の⑵は、前年までの空所に入る適切な2語を書く問題は消え、全問選択問題となった。設問数が1題増えたとは言え、内容面では前年並みなので、正答率はやや上がるのではないだろうか。 大問8は選択問題が1題増えた点を除けば、内容・形式面では昨年と同様。英文もわかりやすい文章となっている。 大問9は、会話の難度や設問数は前年と同じだが、⑷の英作文が消え、⑴~⑶と同じ選択問題となり、ここでも正答率が上がると思われる。
- 《理科》
- 2024年度より入試の解答がマークシート方式に変更されたが、問題の構成は昨年度までと同様である。大問1が基礎的・基本的な知識を問う小問集合、大問2~9は物理、化学、地学、生物の各分野から2題ずつ、全学年の学習内容からバランスよく出題されていた。
昨年の入試と比べ、作図、文章記述の問題や計算を要する問題の増減はあるものの、大きな変化はなかった。難易度は昨年と同等と思われ、突出して難易度が高い問題はないので、各分野の基本的な事柄がしっかり身についていれば高得点を狙える出題と言えるだろう。
その中で、やや難易度が高かったのは、大問5(3)(4)の地層に傾きのある地域での地層のつながりについて考える問い(このうち(3)は柱状図に凝灰岩の層を作図するもの)、大問6(3)の動滑車を使った場合の水中に沈めた物体の深さとばねののびの関係の作図、大問7(4)の月と太陽の大きさと地球からの距離の関係を考える問い、大問9(3)の生物の数の変動を時系列順に並べ替える問いなどであった。
- 《社会》
- 大問1は「千葉県の海岸」をテーマにした総合問題。他の大問にも共通するが、統計資料は要領よく数値を読み取りたい。大問2・3は地理分野からの出題。日本地理では、都道府県の産業の統計や地形図を参考に、各都道府県の特徴や地形図中の地域の土地利用を読み取る問題、世界地理では、地図の各種投影図法の特徴、日本とBRICS各国の発電量、温室ガスの排出量などの資料から、各国の現状の理解が問われた。大問4・5は歴史分野からの出題。大問4では、「歴史上の人物が詠んだ和歌」をテーマに、和歌の内容と歴史を結びつけ、詠まれた時代の政治や文化が問われた。大問5では、「経済の混乱と人々の姿」をテーマに、20世紀以降の経済と歴史的事件との関連性が問われた。大問6~8は公民分野からの出題。経済分野では、近年の世界経済の状況を踏まえ、市場の仕組み、財政政策の具体例、2000年以降の日本経済の実態、政治分野では、刑事裁判の仕組み、国際分野では、昨年のG7広島サミットのレポートをもとに、サミット参加国のODAの実態などが問われた。各分野で出題された論述問題は、指定語句を正確に用い、前後の文章につなげる工夫が必要。
市進講師による詳しい問題解説(抜粋)
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