新しく中学に通う新中1のみなさん。前学年の反省をふまえ,新たな学年に向かう新中2・新中3のみなさん。高校受験はまだまだ先のお話ですか?
「いつか取り組まなければならない」とわかっていながらも,「まだ早い」「何をすればよいのかわからない」という中学生が多いのではないでしょうか。ここでは,近い未来に必ずやってくる高校入試のために,「今」やれることが明らかになるよう,入試の基本的な知識をお伝えします。
1.高校入試の基本 どのように評価される?
●入試の合否に関わるのは大きく2つ 「学力」「内申」
●内申について
2.学習への心構えと勉強方法
●中1・中2~中3夏
●中3秋~冬
1.高校入試の基本 どのように評価される?
ここでは学習への心構えを中心にポイントを絞ってお伝えします。まず中学生にとっての当面のゴール,高校入試のしくみについて触れておきます。ゴールまでの道のりを知ることも勉強への動機付けには大切だからです。
■入試の合否に関わるのは大きく2つ。
A.学力試験(入学試験)の結果
公立・・・国語・数学・英語・理科・社会の5教科
私立・・・国語・数学・英語の3教科
このパターンが大半です。
B.内申
通知表の成績をもとに中学校が作成します。
公立高校・私立高校 主な入試の種類と選抜方法
- ◎・・・選考の主要な材料
- ○・・・基礎学力の確認のために実施。得点によっては他のコースにスライド合格になる場合がある。学力試験ではなく,面接や小論文・作文等を行う学校も。
- △・・・学校成績や出欠状況などを参考程度に確認。
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A.学力試験 |
B.内申 |
コメント |
公立高校 |
◎ |
◎ ※1 |
面接や作文や実技を課されるケースもありますが,大枠は「A.」と「B.」の合計で決まります。首都圏では「A.」を重視する傾向があります。 |
私立高校 |
一般入試 |
◎ |
△ |
ほぼ入学試験の点数のみで合否を決めます。難関校ほどこの枠が大きくなります。 |
単願推薦 |
○ |
◎ ※2 |
いわゆる推薦。合格したらその学校に進学します。 |
併願推薦 |
○ |
◎ ※2 |
他の学校との併願可能な推薦です。併願先は公立に限る場合があります。 |
その他の入試 |
学校により選抜方法は
様々です。 |
自己推薦,スポーツ推薦,作文,面接重視の入試,などなど自分の持ち味を活かせるものも。 |
※1 内申の対象となる学年成績があります。
→東京:中3 神奈川:中2・3 千葉・埼玉:中1・中2・中3
※2 東京・神奈川・千葉では中学校の先生が,受験する生徒の成績データを持って私立高校に相談に行きます(例年12/15が相談開始日)。埼玉では,生徒または保護者が通知表成績(コピー等)や会場テストの結果を持って事前の個別相談に出向きます。
公立高校受験では,志望校が公立トップ校の場合は安全校として併願推薦をとった上で,一般入試枠の大きな進学校や難関校を2~3校受験するのが一般的です。それ以外では併願推薦の私立高1校に公立高というパターンも多いようです。
→参考「併願作戦を立てよう」
内申対策,学力試験対策,どちらも大切ですね。中3になってあわてるのでなく,中1・中2からの計画的な学習が望まれます。
ポイント1 基礎力充実期(~中3夏)
定期テストでがんばる |
→ 内申をしっかりとる。 |
漢字・語彙,計算,英単語 |
→ 受験への基礎固め。 |
学校や塾の授業の復習をしっかりと。 |
ポイント2 応用・完成期(中3秋~)
入試の学力試験を意識した勉強。応用レベルで。 |
模擬試験による弱点の把握と補強。 |
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志望校の過去問演習。 |
■内申について
学期の終了ごとに通知表が手渡されます。この成績をもとに,入試の際に中学校から高校へ提出されるのが内申です。学校の成績は,主要5教科は主に中間テスト・期末テストの得点,課題の提出,授業態度などにより評価されます。実技4教科は上記に加えて実技発表や作品提出によっても評価されます。

このように,日々の努力の積み重ねで成績が決まります。「テストの点さえ取れればよい」という取り組み方をすると,思わぬ評価をされることがあります。特に授業態度や期限つきの提出物などは評価する先生の印象を左右しますので気をつけましょう。
以下の2つのようなケースはよくあることです。学校でも気を引き締めてとりかかりましょう。
ケース1
定期テストで高得点をとる実力があっても,授業態度が悪いという評価を受けたり,提出物をちゃんと出さなかったりすると,学力に合った評価がつかない。「5」の実力があっても「4」や「3」になることがある。
注意!→入試で不利になる。あまり内申が関係しない難関校ねらいでも,用意周到に。
ケース2
真面目に学校の学習に取り組んでいれば,ある程度の評価がもらえる。周囲に迷惑をかけない授業態度で,提出物をきちんと出していれば,「2」や「1」がつくことはほとんどないようです。授業中の評価や,提出物や発表の出来によっては相対評価(2001年まで)のときのの「3」の学力でも「4」や「5」がつくことも。
注意!
→思わぬ高評価で,「学力がついた」「わかった」つもりになってしまうことも。油断から入試対策への遅れにつながることがある。
公立高校入試の場合,学力試験が課されること,しかもそのウェートが大きいことを考えれば,内申対策にばかり目を向けるわけにはいきません。そうは言っても内申を無視することもできません。
バランスのよい学習をするよう心がけましょう。
[休題] お父様・お母様に知っておいていただきたいこと
以前は通知表の「1・2・3・4・5」の割合が決まっていました(相対評価)が,2002年度より絶対評価が導入されてから,単に中間テスト・期末テストの点数に加えて観点別評価の中の「関心,意欲,態度」,いわゆる本人の「がんばり度」を見る意味合いが強まり,「4」と「5」の割合が大幅に増えました。同時に「がんばり度」ということからも,授業態度や提出物が昔よりも重視されています。
では相対評価時代と現在の絶対評価では,通知表成績のつけ方はどれだけ違うのでしょうか。次の図は,東京の2002年春卒業生と2013年春卒業生との5段階評価分布の比較です。

現在の「5」という評価のうち半数弱は,2002年以前ならば「4」だったことがわかります。「3」や「4」も同じことが言えますが,お父様やお母様の中学生時代よりも高い成績がつきやすくなりました。
絶対評価では実際にお子様が持っている学力がわかりにくくなっています。目標の高校に合格できるかどうか,その可能性を客観的に知るためには早めに模擬試験を受けることです。(模擬試験の「偏差値」については「
偏差値とは」をご参照ください。)また,受験期には志望校の過去問を解きますので,その得点によっても,合格までの到達度がわかります。
合否にかかわる「学力試験」「内申」についての基本的なお話は以上ですが,細かな実情はお住まいの地域によってかなり異なります。都県ごとの入試事情については「
都県別 入試の実態」をご覧ください。
2 学習への心構えと勉強方法
■中1・中2~中3夏
学校生活+部活がメインとなり,受験を現実的なものとしてとらえ切れない時期。中1・中2にとっては,高校受験は遠い先の話,中3生でも受験が目の前の〝現実゛であると,とらえられてない人もいるのでは?中1・中2はもちろん,中3でも夏までが学校の勉強を中心に基本をしっかり理解することが大切です。

(1)授業をしっかり聞く。
(2)復習をする。
(3)定期テストを日頃の学習の成果を試す場としてとらえ,
準備を怠らず高得点を目指す。
この繰り返しが,基礎学力を固めていくのです。最低でも毎日30分から1時間は机に向かうクセをつけるといいですね。大切なことは,部活や行事などでどんなに忙しくとも,毎日机に向かうことです。短時間でも構いません。漢字や英単語を1つでも覚えましょう。提出物は期限に間に合うよう,少しずつ進めましょう。
【力を入れる教科と定期テスト】
国・数・英・理・社の5教科は公立高校入試でも課されるので,意識してしっかりと学習しなくてはなりません。その中でも英・数・国。これは主要3教科とも言われ,全ての基礎となる「ご飯」のようなものです。こと受験に際しては,理科・社会が短期でも仕上げられるのに対し,英語・数学・国語は身についていくのに時間がかかるのです。「わかる」のレベルで満足してしまうのではなく「解けて」「点になる」ところまで練習をつみ重ねていく強い意志を持ちましょう。
それには遠い目標(=入試)よりも近い目標を持つことがコツ。それが学校の定期テストです。教科書の章末問題やワークなど,身近にある教材をすみからすみまで何回もやり直せば強い武器になります。間違えた問題の解き直しも忘れずに。
【塾に通う理由】
高校受験のために塾に通う人はたくさんいます。
「目標の高校がある。」
「定期テストで高得点を取りたい。」
「自分からは机に向かえないから。」・・・など
目的は色々あれ,中1や中2から塾通いする人が大勢います。中3ともなればかなりの割合の受験生が塾に通います。進学塾ではカリキュラムがしっかり整っています。勉強のペースメーカーを持つことは大切なことですね。
塾の活用方法ですが,塾の勉強も学校の勉強と基本的には同じです。
(1)授業に集中する
(2)宿題をする。復習する。
(3)塾の小テストや模擬テストを活用する。
この3点です。わからないことを質問したりするのは塾の方が気軽かもしれませんね。学校の進度と異なっている場合もありますが,入試本番に直結しているからです。学習の幅を広げるという点でもプラスになります。
ここで大切なことは,中3になったら中学の学習内容を遅くとも秋~年末までに終了させなくてはならないということです。それは,12・1・2月には全ての分野で演習の時間をたっぷりとって,入試での得点力をつけていかなくてはならないからです。進学塾の場合そのようなカリキュラムが組まれているのが普通ですが,個別指導の塾やコースに通っている人も,担当の先生に相談してみてください。
■中3秋~冬

ここまできたら志望校も定まっていることでしょう。合格に向けて邁進する時期です。詳しくは
秋の特集「
志望校に合格する!」
冬の特集「
冬,そして直前期に・・・」
に続きます。
ぜひ皆様の高校入試の成功をお祈りいたします。当サイトがそのための助けとなれば幸いです。