
第4話「学校説明会の歩き方」
2010年9月22日
前回の「共学化と大学進学実績」の最終回でも少し触れましたが、受験校選択にあたって「学校説明会」が最も重要な情報源であることはいうまでもありません。
秋は「学校説明会」のシーズンです。毎週土曜・日曜はあちこちの学校で「学校説明会」が開催されています。(もちろん平日実施の学校もあります。)
さて今回は「学校説明会」に参加するにあたっての見所、聞き所や注意すべき点について考えてみます。
1.いろいろ見て比較する
まず大前提として「学校説明会」はなるべく多くの学校に行ってください。どんなことでも同じでしょうが、1回の経験では物事の半分も理解できません。2回・3回と経験を重ねることで理解も深まります。
近年の中学受験では一家庭で平均10校前後の「学校説明会」には行っているようです。なかには一つの学校に2回、3回と足を運んでいる方もいますから、参加回数でいえばもっと多くなるでしょう。
さてここで経験を重ねるべきだと言いましたが、これは2つの面で考えてください。
一つは複数の学校という意味で、チャレンジ・適正・安全の各レベルで各2~3校は行くべきでしょう。
もう一つは、これはと思った学校は小4、小5、小6と学年が上がっていくなかで何度か足を運んだ方がよいということです。同じ学校の同じ校長先生でも昨年と今年で話の内容が同じとは限りません。昨年と今年で何が異なっていたのかということもその学校の教育を判断する重要な材料です。
御三家レベルの学校のような、いわば完成され、安定した教育内容の学校もありますが、大多数の学校では何らかの学校改革が進行しています。「共学化」「新校舎建設」「新コース設置」といった大がかりなものから「カリキュラムの一部手直し」「学校行事の見直し」「新制服制定」など様々なものがあり、これらは相互に関連をもちながら同時進行しているのが普通です。学校改革は常に順調とは限りません。後退局面を迎えることもあるし、路線の修正もあるでしょう。試行錯誤があるのは当然としてその学校の改革の方向や進展の状況等は2年、3年と続けて「学校説明会」に参加してみなければわかりません。
物事の特徴や長所・短所を浮かび上がらせることは意外に難しいのですが、「比べる」事で、気がつくことや見えてくることもあります。いろいろな学校を見て回ることにより、また同じ学校に2回、3回と足を運ぶことにより、言い替えれば比較してみることによって最初は気付かなかった様々な面が見えてくるはずです。
2.「学校説明会」に参加するにあたって
次に一般的な話になりますが「学校説明会」に参加する際に心がけるべき点を箇条書きにしておきます。
- 下調べをしておく
事前に市進出版「中学受験ガイド」や学校のホームページなどで下調べをして基本的な事項を押さえておけば話の内容がしっかり理解できるでしょう。また特に聞いておきたい点、確認しておきたい点がはっきりします。(要するに予習は大切だということです。) - 開始30分前には会場に着く
遅刻するのは論外としてもギリギリは避けましょう。特に人気校では会場入り口に長い列ができていたり、早々に座席がいっぱいになったり(本来の会場が溢れて、急遽用意された第二会場で校長先生が話しているところを映像で見るなんてこともあります)良い席が取れなかったりします。 - 通学経路や周辺環境のチェック
6年間毎日通うところですから通学路や周辺の環境も大切なチェックポイントです。なお通学路はスタンダードな道順以外の抜け道などがよく利用されていたりします。(生徒に聞けばすぐ教えてくれます。) - 「学校説明会」用の専用ノート(メモ帳)
配布された資料の余白にメモするのはよいのですが、少なくとも重要なポイントは1冊のノートにまとめておくのがよいでしょう。いくつもの学校に行っているうちに、メモがバラバラになっていると後から見直そうとしてもわからなくなります。(まとめるのは帰宅後でもOKです。) ノートに説明会の内容や雰囲気をまとめる作業をするなかで、その学校の特色などもはっきり見えてくるでしょう。また場合によっては、このあいだ行った学校ではどうだったかしらとか、疑問がわいてきてあらためて聞いておきたい点がでてくことがあるものです。(要するに復習も大事だということです。) - 願書・過去問
近年では多くの学校で「学校説明会」で募集要項・願書が資料といっしょに無料配布されています。しかし一部の学校では願書は有料で頒布となっているところもありますので、できれば買い求めておくことをお勧めします。また市販されている過去問集が割引きで販売されている場合もあり、多少ですがお得かも。 - 質問
1回の「学校説明会」の限られた時間で学校の全てを語りつくすことなど現実には不可能なことです。話を聞いていてもよくわからなかった点、もっとつっこんだことを聞いてみたい点、話に出てこなかったけれど確認しておきたい点など必ずあると思います。せっかくの機会ですから遠慮なく聞いて疑問点は解消しておくべきです。なお最近は全体会のあとに個別相談を実施している学校も増えています。また校内見学の案内をして下さる先生に質問してみるのもよいでしょう。先生の対応から学校の姿がみえてくるかもしれません。次回は「学校説明会の歩き方(つづき)」として最もメインになる説明会の中身のチェックポイントや運営面から見えてくる学校の姿勢などについて考えてみます。
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