─ 公立(県立・市立)高校入試 ─
前年に引き続き公立志向が強まる
2013年春の千葉県内国公立中学卒業予定者数は前年より1.0%(538人)少ない51,241人でした。これに対し、千葉県公立高校入試の全日制の総募集定員は、前年比1.1%(360人)減の33,680人となり、中3減少率と同程度の定員減となりました。
2011年から、前年までの特色化選抜が前期選抜に、一般入試が後期選抜という名称に変わりました。前期でも後期同様に全校で学力検査を実施することになりました。
2013年は、前期選抜の募集定員が0.7%(148人)減の21,390人になりました。柏の葉(情報理数)、流山おおたかの森(国際コミュニケーション)などで前期定員枠を80%に拡大したため、全日制全体の前期定員枠は63.2%→63.5%と0.3ポイント上昇しています。
前期の応募者は39,502人と0.5%(195人)減にとどまり、中3生に対する前期応募者の割合は、前年の76.7→77.1%と0.4ポイント上昇しています。前期選抜試験日が2_12・13に繰り上がって都内国私立高との重複があり、都内国私立高を選んだ受験生もいましたが、公立志向の強まりのほうが大きかったと推測できます。そのため、前期応募者は中3の卒業予定者数の減少ほどは減らなかったのではないかと考えられます。
これに対して39,313人(前年比0.3%減)が受験し、21,151人(前年比1.2%減)が合格したため、実質倍率は1.86倍と、前年の1.84倍に比べ0.02ポイント上昇しています。
前期選抜の状況を具体的に見てみましょう。県立千葉が3.96→3.28倍と0.68ポイント低下しています。前年に全県の普通科で最高倍率になったことへの敬遠があったようです。船橋(普)は、前年の倍率上昇による流出よりも、県立千葉や都内国立高からの流入や、好調な大学合格実績への好感が大きかったと考えられ、3.27→3.90倍へ上昇しています。東_飾は、前年倍率低下による流入が、大学実績が好調な船橋(普)への上位層流出で相殺されたようです。2.53→2.57倍と前年並みの倍率に落ち着きました。
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2013年の後期応募者は17,867人と、前年より2.2%(384人)増加しています。志願変更後の応募倍率は1.39→1.44倍と0.05ポイント上昇しました。前期不合格者に対する後期応募者の比率は、11年96.0%→12年97.0%→13年98.4%まで上昇。全日制普通科だけで見ると、11年98.0%→12年99.3%→13年101.0%に上がり、2013年は後期の応募者数が前期不合格者数を上回っています。後期応募者が増加した要因としては、前年までの前期受験者の中で都内国私立高を選んだものの、不合格になってしまった受験生が後期に戻ってきたと考えられます。2012年までは国私立志望者も併願校として公立前期を受験し、希望する国私立に合格した場合、公立前期に合格しても確約書を提出しないという流れでした。しかし、2013年は、試験日が重なった国私立第一志望者は公立前期を受けることができず、希望する国私立が不合格だった場合にのみ公立後期に出願する流れに変わりました。その結果、後期応募者が増えたといえます。
総定員から前期選抜の入学確約書提出者を引いた数が、後期選抜の募集定員になります。後期入試の募集定員は12,477人(前年比1.2%減)で、応募者は17,867人(前年比2.2%増)でした。受験者が17,767人(1.8%増)で、12,629人(同2.0%減)が合格したため、実質倍率は1.41倍となり、前年の1.35倍から0.06ポイント上昇しています。
後期でも、前期で高倍率となった学校や県立御三家などが倍率の上位を占めています。県立千葉は応募者が17%減になったため、実質倍率は2.64→2.33倍に低下しました。それでも全県の普通科で3番目の高倍率になっています。前期と同様、前年の倍率上昇が敬遠されたようです。前期不合格者426→329人(23%減)ほどは減らず、前期を受験しなかった国立高の不合格者が後期に出願していることがうかがえます。船橋(普)の応募者は18%増加しました。前年倍率上昇による流出よりも、千葉からの流入が大きかったようです。実質倍率は2.33→2.65倍に上昇し、全県の普通科で最高の倍率になりました。東葛飾は、応募者が3%増加。前年の倍率低下による流入が、難関国立大実績を伸ばした船橋への流出より大きかったようです。実質倍率は1.91→1.97倍とわずかに上昇。それでも難関校では低めの倍率になりました。
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男子では、都立トップの日比谷は、ここ数年2倍前後の高倍率が続いています。2013年は応募者が減少し、倍率は2.15→2.06倍と低下しやや緩和した入試になりました。西は前年の倍率上昇への敬遠があったからか応募者が減少しました。倍率が2.12→1.74倍と低下しています。戸山も前年の倍率が上がったからか応募者が減少し、倍率がやや低下しました。一橋大学などがある文教地区に位置する国立は、前年高倍率だった西から受験生が回ったからか応募増となりました。倍率が上昇しています。青山は、前年の倍率低下に対する好感で、応募者が増え倍率は上昇しています。女子を見てみましょう。日比谷は前年並みの応募者となり倍率に変動はありません。西は応募者が減りましたが、欠席率が下がったため倍率がやや上昇しました。青山は前年並みの応募者でしたが、合格者が多めに出され倍率がわずかに低下しています。国立は、日比谷→西→国立と回ってきたのか応募者が増加し、倍率が上昇しました。
─ 私立高校入試 ─
前期選抜が中心の千葉私立高校入試
2011年に千葉公立の入試制度の変更にともない、私立高校の前期入試解禁日が1/16→1/17へ、後期は解禁日が1/27→2/5と変わりました。2013年も前期・後期の入試解禁日に変更はありません。2013年の前期入試では解禁日初日・2日目の1/17・18に約95%の学校が入試日を設定しています。後期入試についても、前期同様に解禁日初日・2日目の2/5・6に90%以上の学校が入試を行っています。
2013年春の千葉県私立高校入試では、前年と同数の54校が入試を実施しました。国公立中学卒業予定者数は51,241人(前年比1.0%減)で、総募集定員が13,348人(前年比1.0減)となり、公立同様に中3減少率と同程度の定員減となりました。
千葉県内の私立高校入試は、前期選抜・後期選抜方式が2007年に導入され、今回で7年目の実施となります。全体的な傾向としては、生徒募集の比重を前期選抜においている学校が非常に多く、そのような学校が年々増えているということです。2013年春は、後期の定員の一部を前期に回した学校が7校、後期の定員を若干名にするか後期入試自体を廃止した学校が8校増加しています。その結果、2013年春には前期選抜の定員の合計は11,819人(前年比1.0%増)と、総募集定員の88.5%(前年87.0%)を占めています。後期の定員を前期に回していくという、いわゆる「前期シフト」は2013年も進んでいるという状況です。
前期の応募者数は、51,694人(前年比0.5%減)となり、後期は4,880人(同11.5%減)でした。「前期シフト」する学校が多い要因としては、前期と後期の間が日程的に大きく空いているため、できるだけ前期で定員を確保したいという学校の考えがあるのでしょう。また、後期が2/5~と遅いため、早く合格を決めて公立入試の準備に取りかかりたいという、受験生の心理を反映させたものと考えることもできます。後期は、一部の学校を除き前期に定員の多くを配分しているため、募集枠が小さくなっています。小定員への敬遠に加え、受験生のほとんどが募集枠の大きい前期で合格を決めてしまうため、多くの学校で応募者が減少しています。
2013年の前期選抜は、初日の1/17に市川、専大松戸、麗澤、千葉日大一、日大習志野、1/18に東邦大東邦、昭和秀英、専大松戸(2回目)、八千代松陰、麗澤(2回目)、芝浦工大柏、1/19に渋谷幕張、芝浦工大柏(2回目)、1/20に八千代松陰(2回目)という日程でした。
前期選抜で応募動向の大きく変化した学校のいくつかをピックアップして、2013年春の入試状況について簡単にふれておきます。市川は応募者が減少しました。競合校との入試日重複や前年倍率上昇への敬遠が要因となったようです。東邦大東邦も前年倍率が上がったことへの敬遠からか応募者が減っています。八千代松陰は、1・2回の応募者合計が増加しました。競合する大学付属校の試験日変更の影響に加え広報を強化したことが要因のようです。芝浦工大柏は競合校の入試日移動による重複解消に加え、前年の大学合格実績伸長への好感からか応募者が増加しています。倍率・難易度が上がっています。日大習志野は前年倍率低下への好感はありましたが、自校の試験日移動による競合校との重複の影響が大きかったからか応募者が減少しています。このように、前年の倍率変動や定員の増減、競合校との入試日重複、大学合格実績などによって応募動向が変化してくることがわかります。
後期選抜は2/5に市川、専大松戸、成田、2/6に東邦大東邦、昭和秀英、八千代松陰、芝浦工大柏、千葉日大一、2/7に渋谷幕張、日大習志野という日程でした。受験生の多くが前期に回ってしまうため、後期は受験者の少ない小規模な入試となった学校も少なくありません。
近年の千葉私立高校の入試の傾向として、複数回入試や併願推薦の導入、前期不合格者の後期再受験は受験料不要など、入試制度に工夫を加えて「受験生にとって受けやすい入試」に変える学校が増えてきています。そして、このような変更を加えた学校はおおむね応募者が増えています。前述した「前期シフト」ですが、2014年入試でも少しずつではありますがさらに進んでいくと予測されます。