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第33話「 2013年中学入試予想第一弾――7月公開模試結果から入試動向を読む―― 」
2012年9月21日
7月からいよいよ多くの受験生が参加する大手公開模試が始まりました。7月段階では受験生の側でまだ志望校が流動的で、入試変更など重要な情報が周知されていない可能性もあるため今回は予備的な動向予測となります。9月以降、全体の志望動向とわが子の成績をにらみ合わせての志望校の修正が行われていきますから最終的な受験校が確定するまでには紆余曲折があるでしょう。今後9月から12月にかけてまだまだ変動していきますから、7月段階の志望者数の細かい数字、例えばA中学の志望者数が前年比5%増でB中学は8%増だから、B中学の方がより倍率アップするだろうといった予想はほとんど意味がありません。とはいえ7月段階でもよく見るといくつかのはっきりした傾向や動きが見て取れます。ここでは特に目立ついくつかの動きや学校について見てみます。なお本稿で志望動向を表す数値はすべて大手公開模試各社の各中学の7月の志望者数総計の対前年比(%)です。また7月の模試受験者数は総計で対前年比3~4%の減少ですが、実際の入試の受験者数がこの通りの減少になるとは限りません。実際の減少幅はこれより小さくなる可能性が高いと思われます。
1.男子校上位進学校の志望動向
(1)東京の男子上位進学校
最難関レベルでは東京の男子御三家の志望者が3校とも減っています。
東大合格者が14年ぶりに200名を超えた開成(荒川区)が5%減です。しかし秋以降の模試で志望者が増えていって、最終的には前年並みの応募者数になるのではないかと予想しています。

麻布 また東大合格者数が91→79→90と復調し京大合格者数も7→6→20と大きく伸ばした麻布(港区)は8%減です。レベル的にも地域的にも競合している後述の駒場東邦の人気に押されているようですが、今後ゆり戻す可能性がありそうです。
アカデミックな校風で知られる武蔵(練馬区)は昨年最難関国立大の実績が復調しましたが今春はやや低下したためか、志望者数が12%とかなりの減です。 これに対し駒場東邦(世田谷区)はオーソドックスな校風で上記3校に比べると、面倒見がよく、東大合格実績も61→64→69名と堅調に伸びているのが支持されてか、志望者数が男子のトップ進学校では唯一6%の増加となっています。
以上4校の志望者合計では4%減で、模試受験者全体に占める4校の志望者の比率は微減程度ですから、必ずしも男子上位層が安全志向になっているとは言えません。今後の見込みとして、志望者の地域や学力レベルが相当に重なっている駒場東邦の志望者上位層が主に麻布へシフトしてくることが予想され、最終的には麻布志望者の減少の幅が縮まり、駒場東邦志望者の増加の幅も縮まる可能性が高いでしょう。
これに続くグループでは、東大合格実績が49→34→47名とV字回復し、京大合格実績も伸ばした4→3→12と伸ばした海城(新宿区)1回が2%減で模試受験者総数が3~4%減であることからすればまずまず堅調といえます。
ここ2年で東大合格実績を16→30→41名と大きく回復した巣鴨(豊島区)は第一志望者中心の2月1日の1回の志望者数が゙17%の大幅減です。これは新校舎建設のために今年の9月から2年間仮校舎への移転で敬遠され、第一志望にしにくくなっているためと思われます。しかし開成などトップ校との併願者が多い2日の2回は8%増で上位層には大学合格実績が仮校舎移転のマイナス以上に評価されているのでしょう。
城北(板橋区)は東大合格者が20→26→16と今春の結果はやや振るいませんでしたが、模試志望者は1回が4%増です。実績が低下したのに志望者増はあまりないことですが、今や校舎移転=仮校舎となる巣鴨を敬遠した受験生が回ってきている可能性がありそうです。
(2)神奈川の男子上位進学校
神奈川の最難関レベルでは、栄光学園(鎌倉市)が13%減です。栄光学園は東大合格者数が57→63→69名と順調に回復してきており志望者が13%も減る理由は学校自体にはなさそうですから、今後志望者数を回復してくる可能性が高いでしょう。
栄光学園と競合する聖光学院(横浜市中区)は1回が5%減、2回は9%減です。大学合格実績は好調でしたので志望者が減っている理由は判然としませんが、新校舎建設中で教室棟は既に完成し授業も真新しい新校舎で行われていて、現在は旧校舎の解体、グラウンド整備、新プール建設などの工事が行われていますが、これが多少ともマイナスになっているのでしょうか。(校長の工藤先生に教室棟を案内してもらいましたが、すばらしい校舎で、むしろ人気が上がりそうに思いましたが・・・)
県内全域および都内城南部から多くの受験生を集める浅野(横浜市神奈川区)は志望者数が8%減です。この学校は前年秋の模試志望者が減っていたのに本番の入試では応募者が4%増となっていました。実際には志望者数が8%の減少になることはないと思われます。
2.女子上位進学校の志望動向
(1)東京の女子上位進学校

桜蔭 最難関レベルの女子御三家は3校とも7月模試の志望者数が対前年比で10%前後の減少です。今や全国の女子校中、圧倒的な難関国公立大・医学部への合格実績を誇り、入学難易度でも群を抜く桜蔭(文京区)は志望者数が8%減です。大学合格実績№1ながら東大合格者数を67→75→58名と下げたことが響いているのでしょうか。しかし東大合格者が減ったとはいえ、2位の豊島岡女子の25名の倍以上ですからトップ層が桜蔭以外を志望することは考えにくく、今春の倍率上昇(1.8→2.2倍)の反動と見るのが正解で、おそらく難易度の変動もないでしょう。
女子学院(千代田区)の志望者数はなんと13%の減少です。こちらは東大合格者数が26→32→23名と減って女子校の東大合格者数で豊島岡女子と2位・3位が入れ替わった影響が多少あるかも知れません。しかし13%の減少は大きく、実際の入試の応募者がここまで減ることはないでしょう。
雙葉(千代田区)も志望者が10%減です。こちらも東大合格者数が15→16→10名と減っていますが、カトリックミッション校の教育に共鳴する家庭が志望者層ですから、これはさほど大きな影響はないと思われます。むしろ今春入試では倍率が4.0→3.5倍と緩和しましたからリバウンドがあってもおかしくないので、今後志望者が増加してくる可能性が高いでしょう。
以上の3校に次ぐ豊島岡女子学園(豊島区)は東大合格者数が24→13→25名とV字回復しています。そのためか7月模試の志望者数は1回が8%増、2回は1%増です。

吉祥女子 上位校で目立つのは吉祥女子(杉並区)で、1回が14%増、2回は前年同数です。1回の増は前年の倍率低下の反動もありますが、東大合格者数が1→3→4名、一橋大は2→2→6名、特に早慶上智大合格者は95→114→183と大きく伸びたのが評価されたのが主な要因でしょう。
カトリックミッション校の晃華学園(調布市)は’12年入試から2月1日入試に参入し、さらに’13年入試では1日の定員を30→50名に増員し、第一志望者中心の募集作戦です。上位校との併願者が多い2日の定員を60→40名に減員するのですから大胆です。7月模試の志望者は1回が6%増で定員増には見合っていませんが、2回は定員減にもかかわらず、なんと32%増です。
(2)神奈川の女子上位進学校
次に神奈川の女子上位校の7月模試の志望動向を見てみます。まず最難関レベルの横浜山手の丘のトップ3校から。

フェリス女学院 女子学院と並ぶ日本最古のプロテスタントミッション校のフェリス女学院(横浜市中区)は大学合格実績が東大・京大・一橋大・東工大の4大学計で19→28→31名、早慶上智大も186→191→227名(2010年は現役のみ)と復調してきていて、志望者数は1%減と前年並みです。どうやらここ数年続いた応募者減少に歯止めがかかったようです。
カトリックミッション校の横浜雙葉(横浜市中区)も東大2→3→6名、早慶上智大123→160→165名と大学合格実績が復調気味ですが、こちらは3%の微減です。
プロテスタントミッション校の横浜共立(横浜市中区)はA・B2回の入試を行いますが、2月3日が日曜日となるため、例年3日実施のBが4日に移動します。そのため、Aは4%の微減ですが、Bは33%増と激増です。過去の例からみてもBは倍率・ボーダーともに上昇することは確実です。
洗足学園(川崎市高津区)はなぜか3回の入試とも志望者数が大きく減っています。1回が20%減、2回は15%減、3回は12%減です。大学合格実績は2年連続で東大合格者が出ませんでしたが、国公立大の計では53→50→59名、早慶上智大は121→117→147名と悪くはありません。また有力な競合校でさほど増えている学校も見あたりませんので今のところ減った理由は不明ですが、いくらなんでも減りすぎているので今後増加してくる可能性大です。
鎌倉女学院(鎌倉市)も今春の大学合格実績は悪くありませんが、1回が16%とかなりの減です。2回が横浜共立Bと入れ替わりで2月3日になりますが、これは最も併願者が多い横浜共立Bとの入試日重複を避けるためです。しかし3日にも日本女子大附2回や清泉女学院2回などの競合校があり35%の大幅減です。特に今春開校した横浜市立南高付との競合が大きくなる可能性がありそうです。
カトリックミッション校の湘南白百合(藤沢市)は中学募集が約60名の小規模募集校です。東大合格者は3→2→4名で、早慶上智大が93→66→89名と大きく回復し、予想通り7月の志望者は8%増です。このまま行くと今春に続く倍率上昇で鎌倉女学院と難易度が逆転する可能性も出てきました。
3.大学付属校の志望動向
今春入試ではほとんどの上位の大学付属校が応募者を減らしました。しかしコアな受験層は減っていなかったようで、難易度には大きな変動は見られません。応募者が減った原因は、おそらく2つあり、1つは不安定な経済状況のなかで全般的に学費が高めな大学付属校が敬遠されたこと、もう1つは6年後の大学進学で国公立大への志向性が高くなってきていることの2つが考えられます。では来春の入試ではどうなっていくのでしょうか。7月模試の志望動向を見るかぎりは大きな傾向は変わっていません。大学付属校全体に志望者数の減少傾向が続いているようです。それでは個々の大学附属校について見ていきましょう。
(1)早慶大系列校
慶應系3校では部分的には回復の兆しが見えますが、今までの応募者減少に対する反動によるリバウンドと思われ、まだまだ以前の水準まで回復したとはとても言えません。

慶應普通部 慶應普通部(横浜市港北区)は志望者が4%増です。もっともこれは今春入試で応募者が687→585名と15%も減った反動と思われ、まだ一昨年並みの水準には遠いようで、今後の志望動向が注目されます。
慶應中等部(港区)は男子が今春入試の応募者が971→878名と10%減だったのに続き7月模試の志望者は12%の大きな減少です。これに対し女子は2年連続の応募者減で今春入試では493→434名と12%減でしたが、7月模試の志望者は8%の増加に転じています。これはこの2年続いた応募者の減少に対する反動でしょうが、今後志望者数が以前の水準まで回復していくかどうか注視していく必要がありそうです。
慶應湘南藤沢(藤沢市)は今春入試の応募者が男子が18%減、女子は6%増(帰国を除く)でしたが、7月模試の志望者では男子が前年並みの1%減、女子は9%とかなりの減少です。
早稲田系も3校ありますが(地方校除く)早稲田中は早大への進学が約50%の半付属校で他校と学校の性格が異なることに注意が必要です。

早稲田高等学院中等部 さて早稲田高等学院中等部(練馬区)は今春入試で536→472名と12%減でしたが、7月模試の志望者数は驚くべきことになんと39%の大幅な減少です。早稲田大学のような超有名大学付属校の実際の入試では大きな不祥事でもない限りこんなに応募者が減ることはないと思いますが、それにしてもこの落ち込みでは前年並みの水準に戻る可能性は低く、かなりの応募者減になるでしょう。開校4年目にしてこんなに志望者数が減る理由は今ひとつわかりませんが、学費の高さ(初年度納入金157万円、慶應よりわずかだが高い)や、広報活動のまずさがあるのでしょうか。もっとも学費は開校以来変わっていないので今年大きく減る理由にはなりにくいかもしれません。
早稲田実業(国分寺市)の志望動向は男女で大きく異なります。今春入試では男女とも応募者が14%減でしたが、7月模試の志望者は男子が7%減、女子は11%増です。
早稲田中(新宿区)は所在地も早稲田の大学の傍で早稲田大学系属校ですが早稲田大学への進学は約半数で他は東大などの難関大進学を目指す半付属校で、どちらかといえば進学校と考えた方がよいでしょう。他の早慶系列校とは全く学校の性格が異なっています。7月の志望者は3%の微減です。
1.男子校上位進学校の志望動向
(1)東京の男子上位進学校
最難関レベルでは東京の男子御三家の志望者が3校とも減っています。
東大合格者が14年ぶりに200名を超えた開成(荒川区)が5%減です。しかし秋以降の模試で志望者が増えていって、最終的には前年並みの応募者数になるのではないかと予想しています。

麻布 また東大合格者数が91→79→90と復調し京大合格者数も7→6→20と大きく伸ばした麻布(港区)は8%減です。レベル的にも地域的にも競合している後述の駒場東邦の人気に押されているようですが、今後ゆり戻す可能性がありそうです。
アカデミックな校風で知られる武蔵(練馬区)は昨年最難関国立大の実績が復調しましたが今春はやや低下したためか、志望者数が12%とかなりの減です。 これに対し駒場東邦(世田谷区)はオーソドックスな校風で上記3校に比べると、面倒見がよく、東大合格実績も61→64→69名と堅調に伸びているのが支持されてか、志望者数が男子のトップ進学校では唯一6%の増加となっています。
以上4校の志望者合計では4%減で、模試受験者全体に占める4校の志望者の比率は微減程度ですから、必ずしも男子上位層が安全志向になっているとは言えません。今後の見込みとして、志望者の地域や学力レベルが相当に重なっている駒場東邦の志望者上位層が主に麻布へシフトしてくることが予想され、最終的には麻布志望者の減少の幅が縮まり、駒場東邦志望者の増加の幅も縮まる可能性が高いでしょう。
これに続くグループでは、東大合格実績が49→34→47名とV字回復し、京大合格実績も伸ばした4→3→12と伸ばした海城(新宿区)1回が2%減で模試受験者総数が3~4%減であることからすればまずまず堅調といえます。
ここ2年で東大合格実績を16→30→41名と大きく回復した巣鴨(豊島区)は第一志望者中心の2月1日の1回の志望者数が゙17%の大幅減です。これは新校舎建設のために今年の9月から2年間仮校舎への移転で敬遠され、第一志望にしにくくなっているためと思われます。しかし開成などトップ校との併願者が多い2日の2回は8%増で上位層には大学合格実績が仮校舎移転のマイナス以上に評価されているのでしょう。
城北(板橋区)は東大合格者が20→26→16と今春の結果はやや振るいませんでしたが、模試志望者は1回が4%増です。実績が低下したのに志望者増はあまりないことですが、今や校舎移転=仮校舎となる巣鴨を敬遠した受験生が回ってきている可能性がありそうです。
(2)神奈川の男子上位進学校
神奈川の最難関レベルでは、栄光学園(鎌倉市)が13%減です。栄光学園は東大合格者数が57→63→69名と順調に回復してきており志望者が13%も減る理由は学校自体にはなさそうですから、今後志望者数を回復してくる可能性が高いでしょう。
栄光学園と競合する聖光学院(横浜市中区)は1回が5%減、2回は9%減です。大学合格実績は好調でしたので志望者が減っている理由は判然としませんが、新校舎建設中で教室棟は既に完成し授業も真新しい新校舎で行われていて、現在は旧校舎の解体、グラウンド整備、新プール建設などの工事が行われていますが、これが多少ともマイナスになっているのでしょうか。(校長の工藤先生に教室棟を案内してもらいましたが、すばらしい校舎で、むしろ人気が上がりそうに思いましたが・・・)
県内全域および都内城南部から多くの受験生を集める浅野(横浜市神奈川区)は志望者数が8%減です。この学校は前年秋の模試志望者が減っていたのに本番の入試では応募者が4%増となっていました。実際には志望者数が8%の減少になることはないと思われます。
2.女子上位進学校の志望動向
(1)東京の女子上位進学校

桜蔭 最難関レベルの女子御三家は3校とも7月模試の志望者数が対前年比で10%前後の減少です。今や全国の女子校中、圧倒的な難関国公立大・医学部への合格実績を誇り、入学難易度でも群を抜く桜蔭(文京区)は志望者数が8%減です。大学合格実績№1ながら東大合格者数を67→75→58名と下げたことが響いているのでしょうか。しかし東大合格者が減ったとはいえ、2位の豊島岡女子の25名の倍以上ですからトップ層が桜蔭以外を志望することは考えにくく、今春の倍率上昇(1.8→2.2倍)の反動と見るのが正解で、おそらく難易度の変動もないでしょう。
女子学院(千代田区)の志望者数はなんと13%の減少です。こちらは東大合格者数が26→32→23名と減って女子校の東大合格者数で豊島岡女子と2位・3位が入れ替わった影響が多少あるかも知れません。しかし13%の減少は大きく、実際の入試の応募者がここまで減ることはないでしょう。
雙葉(千代田区)も志望者が10%減です。こちらも東大合格者数が15→16→10名と減っていますが、カトリックミッション校の教育に共鳴する家庭が志望者層ですから、これはさほど大きな影響はないと思われます。むしろ今春入試では倍率が4.0→3.5倍と緩和しましたからリバウンドがあってもおかしくないので、今後志望者が増加してくる可能性が高いでしょう。
以上の3校に次ぐ豊島岡女子学園(豊島区)は東大合格者数が24→13→25名とV字回復しています。そのためか7月模試の志望者数は1回が8%増、2回は1%増です。

吉祥女子 上位校で目立つのは吉祥女子(杉並区)で、1回が14%増、2回は前年同数です。1回の増は前年の倍率低下の反動もありますが、東大合格者数が1→3→4名、一橋大は2→2→6名、特に早慶上智大合格者は95→114→183と大きく伸びたのが評価されたのが主な要因でしょう。
カトリックミッション校の晃華学園(調布市)は’12年入試から2月1日入試に参入し、さらに’13年入試では1日の定員を30→50名に増員し、第一志望者中心の募集作戦です。上位校との併願者が多い2日の定員を60→40名に減員するのですから大胆です。7月模試の志望者は1回が6%増で定員増には見合っていませんが、2回は定員減にもかかわらず、なんと32%増です。
(2)神奈川の女子上位進学校
次に神奈川の女子上位校の7月模試の志望動向を見てみます。まず最難関レベルの横浜山手の丘のトップ3校から。

フェリス女学院 女子学院と並ぶ日本最古のプロテスタントミッション校のフェリス女学院(横浜市中区)は大学合格実績が東大・京大・一橋大・東工大の4大学計で19→28→31名、早慶上智大も186→191→227名(2010年は現役のみ)と復調してきていて、志望者数は1%減と前年並みです。どうやらここ数年続いた応募者減少に歯止めがかかったようです。
カトリックミッション校の横浜雙葉(横浜市中区)も東大2→3→6名、早慶上智大123→160→165名と大学合格実績が復調気味ですが、こちらは3%の微減です。
プロテスタントミッション校の横浜共立(横浜市中区)はA・B2回の入試を行いますが、2月3日が日曜日となるため、例年3日実施のBが4日に移動します。そのため、Aは4%の微減ですが、Bは33%増と激増です。過去の例からみてもBは倍率・ボーダーともに上昇することは確実です。
洗足学園(川崎市高津区)はなぜか3回の入試とも志望者数が大きく減っています。1回が20%減、2回は15%減、3回は12%減です。大学合格実績は2年連続で東大合格者が出ませんでしたが、国公立大の計では53→50→59名、早慶上智大は121→117→147名と悪くはありません。また有力な競合校でさほど増えている学校も見あたりませんので今のところ減った理由は不明ですが、いくらなんでも減りすぎているので今後増加してくる可能性大です。
鎌倉女学院(鎌倉市)も今春の大学合格実績は悪くありませんが、1回が16%とかなりの減です。2回が横浜共立Bと入れ替わりで2月3日になりますが、これは最も併願者が多い横浜共立Bとの入試日重複を避けるためです。しかし3日にも日本女子大附2回や清泉女学院2回などの競合校があり35%の大幅減です。特に今春開校した横浜市立南高付との競合が大きくなる可能性がありそうです。
カトリックミッション校の湘南白百合(藤沢市)は中学募集が約60名の小規模募集校です。東大合格者は3→2→4名で、早慶上智大が93→66→89名と大きく回復し、予想通り7月の志望者は8%増です。このまま行くと今春に続く倍率上昇で鎌倉女学院と難易度が逆転する可能性も出てきました。
3.大学付属校の志望動向
今春入試ではほとんどの上位の大学付属校が応募者を減らしました。しかしコアな受験層は減っていなかったようで、難易度には大きな変動は見られません。応募者が減った原因は、おそらく2つあり、1つは不安定な経済状況のなかで全般的に学費が高めな大学付属校が敬遠されたこと、もう1つは6年後の大学進学で国公立大への志向性が高くなってきていることの2つが考えられます。では来春の入試ではどうなっていくのでしょうか。7月模試の志望動向を見るかぎりは大きな傾向は変わっていません。大学付属校全体に志望者数の減少傾向が続いているようです。それでは個々の大学附属校について見ていきましょう。
(1)早慶大系列校
慶應系3校では部分的には回復の兆しが見えますが、今までの応募者減少に対する反動によるリバウンドと思われ、まだまだ以前の水準まで回復したとはとても言えません。

慶應普通部 慶應普通部(横浜市港北区)は志望者が4%増です。もっともこれは今春入試で応募者が687→585名と15%も減った反動と思われ、まだ一昨年並みの水準には遠いようで、今後の志望動向が注目されます。
慶應中等部(港区)は男子が今春入試の応募者が971→878名と10%減だったのに続き7月模試の志望者は12%の大きな減少です。これに対し女子は2年連続の応募者減で今春入試では493→434名と12%減でしたが、7月模試の志望者は8%の増加に転じています。これはこの2年続いた応募者の減少に対する反動でしょうが、今後志望者数が以前の水準まで回復していくかどうか注視していく必要がありそうです。
慶應湘南藤沢(藤沢市)は今春入試の応募者が男子が18%減、女子は6%増(帰国を除く)でしたが、7月模試の志望者では男子が前年並みの1%減、女子は9%とかなりの減少です。
早稲田系も3校ありますが(地方校除く)早稲田中は早大への進学が約50%の半付属校で他校と学校の性格が異なることに注意が必要です。

早稲田高等学院中等部 さて早稲田高等学院中等部(練馬区)は今春入試で536→472名と12%減でしたが、7月模試の志望者数は驚くべきことになんと39%の大幅な減少です。早稲田大学のような超有名大学付属校の実際の入試では大きな不祥事でもない限りこんなに応募者が減ることはないと思いますが、それにしてもこの落ち込みでは前年並みの水準に戻る可能性は低く、かなりの応募者減になるでしょう。開校4年目にしてこんなに志望者数が減る理由は今ひとつわかりませんが、学費の高さ(初年度納入金157万円、慶應よりわずかだが高い)や、広報活動のまずさがあるのでしょうか。もっとも学費は開校以来変わっていないので今年大きく減る理由にはなりにくいかもしれません。
早稲田実業(国分寺市)の志望動向は男女で大きく異なります。今春入試では男女とも応募者が14%減でしたが、7月模試の志望者は男子が7%減、女子は11%増です。
早稲田中(新宿区)は所在地も早稲田の大学の傍で早稲田大学系属校ですが早稲田大学への進学は約半数で他は東大などの難関大進学を目指す半付属校で、どちらかといえば進学校と考えた方がよいでしょう。他の早慶系列校とは全く学校の性格が異なっています。7月の志望者は3%の微減です。