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第35話「2013年中学入試予想第一弾――7月公開模試結果から入試動向を読む(そのまたつづき)――」
2012年10月17日
4.中堅校の志望動向
(3)共学校
まず東京の学校からみていきます。
穎明館(八王子市)は小規模な学校で今春の卒業生は150名ですが、東大7名、東工大5名、東北大2名、早慶上智大126名、GMARCHが172名と非常に大学合格実績が良く、また今春は新制服の採用によって女子の人気が急上昇しました。7月模試の志望者数で男子は1回が15%減、2回が9%減、3回が12%増ですが、女子は1回が19%増、2回はなんと40%増、3回は18%増と女子の人気が続いているようです。

桜美林 桜美林(町田市)は東大、一橋大、東工大、東京外大各1名など難関国立大で実績をあげて注目されたためか、7月模試の志望者も好調です。1回午前の男子が11%、女子は7%の増、1回午後は男子が7%増で、女子は11%減、2回午前は男子が23%増、女子は9%減、2回午後は男子が5%、女子は21%の増加、3回は男子が17%、女子は16%の増加です。すなわち5回の入試で男子は5回全て、女子は3回が増えていて中堅レベルの学校としては相当な人気ぶりといえます。
国学院久我山(杉並区)は共学校ではなく別学校ですが、便宜上ここであわせて見ておきます。人気のSTは1回の男子が11%、女子は10%の増加、2回は男子が1%減、女子は16%増です。ただし午後入試のSTの増加傾向に対し3回ある午前入試は男子の2回以外はすべて減っていて、特に女子は吉祥女子、鴎友学園女子、晃華学園などとの競合をうかがわせます。
今春入試でスーパー特進東大選抜コースが大人気だった淑徳(板橋区)は明らかに倍率急上昇(1回1.8→7.4倍)への反動で東大1回は男子が31%の大幅減、女子は7%減です。しかし減っているのはチャレンジ層で難易度が低下すると思うのは早計です。そしてこの層はスーパー特進コースの午後入試の2・3回へ回っていて、2回の男子が57%増、女子は86%の大幅増、3回は男子が32%増、女子はなんと189%増と3倍近い増加です。このスーパー特進コース2・3回は確実に難易度が上昇しそうです。
かつて城南地区で共学化に最も成功した学校といわれていた青稜(品川区)は、後述の広尾学園や東京都市大等々力という新興勢力との競合で勢いにブレーキがかかっているようです。中大横浜の共学化・新校舎移転の影響もあるでしょう。多くの応募者を集めていた午後入試の1回Bが男子16%、女子15%の減少、2回Bは男子が22%増ですが、女子は12%減です。3回ある午前入試は3回男子以外すべて減っています。ただし午前入試の1回Aと2回Aはやや上位層が厚くなっています。
帝京大学(八王子市)は初めて午後入試を導入します。2月3日午後の3回は男子が21%増と相当に増えていますが、女子は58%増と大幅な増加です。上位校との併願受験者が午後入試の3回に集中した結果、1・2回は男女とも2~3割減少していますが、1・2回は第一志望者の割合が高くなり手続き率の上昇により合格者が絞られる可能性があり、易化するとは限らないので注意が必要です。
共学化して3年目の東京都市大等々力(世田谷区)は勢いが衰えるどころかますますパワーアップしています。午後入試の特選1回・2回と午前入試の特選3回、特進1回・2回・3回と6回の入試がありますが、男子の特進3回と女子の特選3回がわずかに減っている他は相当な増加で、しかもあきらかに受験者の上位層が増えてきています。各回とも難易度アップの可能性大です。

広尾学園 昨年新校舎が完成した広尾学園(港区)は来春共学一貫1期生が卒業し、その大学進学結果が注目されるところです。入試の方は以前のような爆発的人気の時期は過ぎたとはいえ相変わらずの人気ぶりです。特に男子は1回が13%増、2月1日午後の2回は48%増、2日午後の医進・サイエンスは64%増、5日の3回も48%増と相当な人気で、6年前までは女子校であったのがうそのようです。一方女子は2回が40%増ですが、1回が10%増、医進・サイエンスは11%増、3回は16%増と人気は相変わらずですが男子に比べれば落ち着いています。併願校は最難関レベルの学校も少数ありますが、主に男子が芝、世田谷学園、女子は鴎友学園女子、頌栄女子学院などが中心です。
つぎに神奈川の学校を見ていきます。
神奈川大学附(横浜市緑区)は2月2日のAが男子13%減、女子4%減、4日のBが男子1%減、女子8%増、6日のCは男子21%減、女子8%減です。今春東大など難関国立大の実績を伸ばしたにもかかわらずAとCで志望者数が減っているのは、今春入試でのAとCの倍率上昇に対する反動でしょう。市営地下鉄沿線に移転してくる中大横浜の影響も多少あるのかもしれません。ただしA、Bともに女子は上位層が厚くなっているのでボーダーは下がらないかもしれません。
関東学院(横浜市南区)は昨年2月1日に午後入試を新設、さらに今春は1日午前入試も新設して1日入試校として定着を図り受験総数も増やしました。それに対する反動か7月の志望者数は男子が1日午前のAで13%減ですが、午後のBは微増、Cは73%増、Dは13%増です。女子はBが微減なのを除き10%以上の減少です。

湘南学園 県内では中大横浜と並んで最も注目されるのが、明治時代に別荘地として開発されて以来高級住宅地として知られる鵠沼の湘南学園(藤沢市)です。山田校長自身が驚くほどの早慶上智大などの難関大合格実績が伸びて注目を集めているようで、あまり例がないことですが4回の入試すべてで男女ともに志望者が増えています。定員増(30→40名)のAは男子が52%増、女子は28%増。Bは男子が46%増、女子は18%増。Cは定員減(40→30名)にもかかわらず男子が18%増、女子はデータ不完全ですが微増です。最後のDも男子が40%、女子は41%の大幅増で、難易度も確実に上昇するでしょう。
桐蔭学園(横浜市青葉区)は男子校である中等教育学校と別学の中学校(男子部・女子部)という2つの学校からなっています。入試では日程も試験問題もすべて同じで、男子は中等教育学校を第一志望、中学校男子部を第二志望として受験できます。そのため中等教育学校と中学校男子部の志望者の多くは重なっており志望動向や入試結果の数字を見る際には注意が必要です。
7月模試の志望者は中等教育学校の2回Aが12%増、3回が9%増で1回は17%減、2回Bは前年並みです。中学校男子部は2回Bが2%増ですが、1回は13%減、2回Aが3%減、3回が10%減です。ここで中等教育学校と中学校男子部を合計してみると、1回が15%減で他の回はほぼ前年並みになっています。
中学校女子部も理数コースを第一志望、普通コースを第二志望として受験できるシステムです。理数コースは2回Aが32%増ですが他の回はデータ不完全ながら相当な減少です。普通コースも同様に2回Aが42%増で2回Bが9%増ですが他の2回は減っています。両方を合計しても2回Aが増加で他の回は2回Bを含めて減少しています。
東海大学付相模(相模原市南区)は多くの中堅大学付属校が他大学進学にシフトしている中で、他の東海大系同様に中高大10年一貫教育を基本方針としています。そのため受験者層が限定されるせいもあってか年々応募者が減少傾向にありました。しかし7月模試の志望者はAの男子が29%減ですが、女子は5%ながら増加に転じました。Bは男女とも前年並みです。
桐光学園(川崎市麻生区)も別学校です。今春は早慶上智大の実績が大きく伸びましたが7月模試の志望者数は明らかに変調です。男子は1回が23%減、2回が28%減、3回も10%減と大きく減っています。女子は2回が10%の増加ですが、1回は12%減、3回も16%減です。おそらく新校舎への移転によって近くなる中大横浜の影響を受けているものと思われます。
日本大学(横浜市港北区)は午後入試の導入で一時応募者が激増しましたが、中大横浜や山手学院の午後入試導入で競合し徐々に落ち着いた入試になってきています。男子は1回が9%減、午後入試の2回は5%減、3回は14%減で、女子は1回が22%減、2回・3回は前年並みです。志望者の減り具合から見て男子の方が中大横浜の影響を強く受けているようです。
開校4年目の日本大学藤沢(藤沢市)は定員増にもかかわらず志望者が減っています。1回(男女各25→各35名)は男子が22%減、女子は18%減です。2回(男女各15→25名)は男子が13%減、女子は10%増です。ただし定員増効果が今後出てきて志望者が増えてくる可能性もありますから注意が必要でしょう。
森村学園(横浜市緑区)はもともと女子に人気が高い学校ですが、今春入試では男子の応募者をかなり減らしました。7月模試の志望者数でもその傾向が続いていて、男子は1回が15%減、2回は4%減、3回は15%減です。逆に女子は1回が11%増、2回は14%増で、3回は13%減です。
山手学院(横浜市栄区)は2011年入試で応募者数を大きく伸ばしましたが、2012年で男子が大幅に減り女子も若干減りました。7月模試の志望者数では2月2日午後のBの男子が5%増、2月3日から4日に入試日変更のCの女子が2%増の他は1割前後の減少です。中大横浜の影響が続いているのか男子の減少が目立ちます。ただし午後入試のBは男女とも上位層が厚くなっています。
つぎに千葉の共学校を見てみます。千葉の私立中学校は24校中21校が共学校で、残り3校は女子校です。2012年入試では千葉の私立中はいくつかの例外を除きほとんどの学校が応募者数を大きく減らしました。その要因のひとつは東日本大震災で湾岸部の津波や液状化に対する不安、またホットスポット報道による放射線に対する不安ですが、より大きい要因は千葉の1月入試を試し受験として大量に受けていた東京・神奈川の受験生が埼玉の近年評判の高い共学校にターゲットを代えてきているというのが最大の理由でしょう。
トップの渋谷教育学園幕張(千葉市美浜区)は今春入試で相当に応募者を減らしましたが、7月模試の志望者数もわずかながら減っています。1回男子が2%減、女子は3%減です。2月入試の2回は男子2%増、女子は10%減です。
市川(市川市)も今春入試で応募者をかなり減らしましたが、模試の志望者は1回の男子が6%減、女子は14%減、2回は男子が5%減ですが、女子は7%増です。

東邦大付東邦 東邦大付東邦(習志野市)は東大10名、一橋大5名、東工大10名など難関国立大の合格実績をあげて男子の志望者は増えています。男子は前期が7%増、後期は14%増です。しかし女子は前期が3%減で、後期は29%の大幅減です。女子の後期の大幅減は今春の倍率急上昇(6.6→17.8倍)に対する反動でしょうか。
昭和学院秀英(千葉市美浜区)の1回は第一志望者対象の入試で模試のデータがないため割愛します。人数的に最もメインの2回は男子が12%減、女子は14%減です。前年は男女ともわずかの減少でしたが今年の模試志望者は相当な減少となっています。2回は男子16%増ですが女子は36%の大幅減です。
芝浦工大附柏(柏市)は東大2名や早慶上智大の飛躍的な伸び(70→65→129名)で注目度が上がっていて、7月模試の志望者も男子は1回が22%増、2回は5%増です。しかし女子は1回が9%減、2回は28%の大幅減と男女で志望動向が大きく異なります。
専修大松戸(松戸市)も今春入試では男女とも応募者が大きく減りましたが、7月模試の志望者では女子の減少が目立ちます。1回の男子が7%減、女子が15%減、2回は男子が8%増で、女子は20%と大幅な減少です。
東海大付浦安(浦安市)は2011年入試より推薦入試を導入していますが模試のデータがないので推薦入試については割愛します。この学校もやはり女子の志望者減が大きくなっていて、一般入試の1回で男子が55%減、女子は26%減、2回は男子が前年並みで、女子は18%減です。
千葉日大一中(船橋市)もやはり女子の志望者が大きく減っています。1期の男子が7%増、女子は17%減、2期の男子が13%減、女子は29%の大幅減です。
最後に埼玉の共学校を見てみましょう。埼玉では大人気の2校に志望者が集中し、他の学校は来春4校も新規開校があることもあって、ほとんどの学校が志望者を減らしています。(新規開校の4校については模試データがないため今回は扱いません。)

開智 人気の開智(さいたま市岩槻区)は先端クラスの定員を30→60名に増員し、一貫クラスは210→180名に減員します。先端クラスの定員増でますます人気が上がっているようで、一貫クラスも含めたすべての入試回で男女ともに志望者が増加しています。先端Aは東京・神奈川の最難関校の併願者が多い入試で、20→30名と定員増で志望者は男子が6%増、女子は27%増です。なお先端Aの合格者は全員特待生です(他の回は成績上位者のみ)。先端Bは一貫クラスへのスライド合格があります。先端が10→30名の増員で一貫の定員20名は変わりません。男女とも44%と大幅な志望者の増加です。一貫クラスの1回は150→130名の定員減ですが男子が5%増、女子は4%増、2回は40→30名の定員減ですが男子が16%増、女子は13%増です。実際の入試では応募者が増加しても合格者も増やしますから、難易度の上昇はあってもわずかでしょう。
人気の開智と並ぶ人気校栄東(さいたま市見沼区)も昨年の総定員倍増、今春の東大クラスの定員倍増につづいてさらに東大クラスの定員を80→120名と増員し、難関大クラスは160→120名に減員します。そのため東大クラスの人気はさらに上がっています。東大Ⅰは60→80名の定員増で、志望者は男子が42%増、女子は32%増、東大Ⅱは20→40名の定員増で、男子が16%増、女子はなんと54%増です。また定員減の難関大クラスは120→100名と減員のAが男子9%増、女子21%増です。しかし30→20名に減員のBは男子16%減、女子19%減、10→若干名に減員のCは男子20%減、女子は3%減です。開智と同じよう応募者増には合格者増で対応すると思われますので難易度の変動はあってもわずかでしょう。
県内に4校の新規開校があることもあって、この2校以外はほとんどの学校が志望者を減らしています。(新規開校の4校については模試データがないため今回は扱いません。)
西武学園文理(狭山市)は県西部地区の有力校ですが、レベル的に2校に次ぐ位置にあるため2校の影響を強く受けています。また東大が6→3→2名、早慶上智大も103→119→100名とやや大学合格実績が下がり気味なこともあってか、4回の入試のうち2回の一貫クラスで男子が33%増、女子は72%増とふえている以外は特選、一貫ともに志望者減です。特に男子の減少が目につくようです。
春日部共栄(春日部市)は女子の減少が目立ちます。1回が4%減、2回は9%減、3回は21%減です。男子は1回が4%減ですが2回は微増、3回は5%増です。
獨協埼玉(越谷市)は併設大への推薦合格者は24%でMARCH大などの他大学進学が主流となっている学校です。1回は男女とも8%減、2回は男子が20%増、女子は11%減です。
5.公立中高一貫校
まず7月の模試における1都3県の公立中高一貫校の志望者動向を一覧にしておきます。なお立川国際、平塚、伊奈学園、浦和はデータ不完全なため表示していません。Mは男子、Fは女子です。
(1)東京の公立中高一貫校
この中で目につくのは桜修館(目黒区)の志望者の大きな増加です。今春1期生が卒業した3校(桜修館、小石川、両国)では桜修館が東大4名、一橋2名、東工大4名、早慶上智大82名など最も大学合格実績が良かったので予想されたところです。それに対しかつての名門都立高校を母体校とする小石川(文京区)と両国(墨田区)は期待したほどの結果が出せなかったというのが大方の評価で、それが志望者数にあらわれているようです。
また昨年の1期生につづいて2期生でも好調な大学合格実績を出した白鴎(台東区)は男女ともに志望者が増えていて、とくに女子の増加は注目され小石川や両国の中位以下の層が回っている可能性もあります。
さて3年前の開校時には都内で最多の応募者を集めていた南多摩(八王子市)の志望者の減りの大きいのが気になるところです。もともと公立志向が強い地域でとりあえず受けてみようという受検生も多かったようですが、しっかりと受検準備をしないとまず合格できないことが周知されてきて、記念受検が減ってきているためでしょうか。
(2)神奈川の公立中高一貫校span>
何といっても横浜市立南(横浜市港南区)の志望者の増加は目を見はるものがあります。特に女子の92%増は驚異的です。横浜南部から湘南方面にかけては私立中受験が盛んな地域ですから、相当に国私立中との併願者も増えているものと予想されます。
(3)千葉の公立中高一貫校
(3)共学校
まず東京の学校からみていきます。
穎明館(八王子市)は小規模な学校で今春の卒業生は150名ですが、東大7名、東工大5名、東北大2名、早慶上智大126名、GMARCHが172名と非常に大学合格実績が良く、また今春は新制服の採用によって女子の人気が急上昇しました。7月模試の志望者数で男子は1回が15%減、2回が9%減、3回が12%増ですが、女子は1回が19%増、2回はなんと40%増、3回は18%増と女子の人気が続いているようです。

桜美林 桜美林(町田市)は東大、一橋大、東工大、東京外大各1名など難関国立大で実績をあげて注目されたためか、7月模試の志望者も好調です。1回午前の男子が11%、女子は7%の増、1回午後は男子が7%増で、女子は11%減、2回午前は男子が23%増、女子は9%減、2回午後は男子が5%、女子は21%の増加、3回は男子が17%、女子は16%の増加です。すなわち5回の入試で男子は5回全て、女子は3回が増えていて中堅レベルの学校としては相当な人気ぶりといえます。
国学院久我山(杉並区)は共学校ではなく別学校ですが、便宜上ここであわせて見ておきます。人気のSTは1回の男子が11%、女子は10%の増加、2回は男子が1%減、女子は16%増です。ただし午後入試のSTの増加傾向に対し3回ある午前入試は男子の2回以外はすべて減っていて、特に女子は吉祥女子、鴎友学園女子、晃華学園などとの競合をうかがわせます。
今春入試でスーパー特進東大選抜コースが大人気だった淑徳(板橋区)は明らかに倍率急上昇(1回1.8→7.4倍)への反動で東大1回は男子が31%の大幅減、女子は7%減です。しかし減っているのはチャレンジ層で難易度が低下すると思うのは早計です。そしてこの層はスーパー特進コースの午後入試の2・3回へ回っていて、2回の男子が57%増、女子は86%の大幅増、3回は男子が32%増、女子はなんと189%増と3倍近い増加です。このスーパー特進コース2・3回は確実に難易度が上昇しそうです。
かつて城南地区で共学化に最も成功した学校といわれていた青稜(品川区)は、後述の広尾学園や東京都市大等々力という新興勢力との競合で勢いにブレーキがかかっているようです。中大横浜の共学化・新校舎移転の影響もあるでしょう。多くの応募者を集めていた午後入試の1回Bが男子16%、女子15%の減少、2回Bは男子が22%増ですが、女子は12%減です。3回ある午前入試は3回男子以外すべて減っています。ただし午前入試の1回Aと2回Aはやや上位層が厚くなっています。
帝京大学(八王子市)は初めて午後入試を導入します。2月3日午後の3回は男子が21%増と相当に増えていますが、女子は58%増と大幅な増加です。上位校との併願受験者が午後入試の3回に集中した結果、1・2回は男女とも2~3割減少していますが、1・2回は第一志望者の割合が高くなり手続き率の上昇により合格者が絞られる可能性があり、易化するとは限らないので注意が必要です。
共学化して3年目の東京都市大等々力(世田谷区)は勢いが衰えるどころかますますパワーアップしています。午後入試の特選1回・2回と午前入試の特選3回、特進1回・2回・3回と6回の入試がありますが、男子の特進3回と女子の特選3回がわずかに減っている他は相当な増加で、しかもあきらかに受験者の上位層が増えてきています。各回とも難易度アップの可能性大です。

広尾学園 昨年新校舎が完成した広尾学園(港区)は来春共学一貫1期生が卒業し、その大学進学結果が注目されるところです。入試の方は以前のような爆発的人気の時期は過ぎたとはいえ相変わらずの人気ぶりです。特に男子は1回が13%増、2月1日午後の2回は48%増、2日午後の医進・サイエンスは64%増、5日の3回も48%増と相当な人気で、6年前までは女子校であったのがうそのようです。一方女子は2回が40%増ですが、1回が10%増、医進・サイエンスは11%増、3回は16%増と人気は相変わらずですが男子に比べれば落ち着いています。併願校は最難関レベルの学校も少数ありますが、主に男子が芝、世田谷学園、女子は鴎友学園女子、頌栄女子学院などが中心です。
つぎに神奈川の学校を見ていきます。
神奈川大学附(横浜市緑区)は2月2日のAが男子13%減、女子4%減、4日のBが男子1%減、女子8%増、6日のCは男子21%減、女子8%減です。今春東大など難関国立大の実績を伸ばしたにもかかわらずAとCで志望者数が減っているのは、今春入試でのAとCの倍率上昇に対する反動でしょう。市営地下鉄沿線に移転してくる中大横浜の影響も多少あるのかもしれません。ただしA、Bともに女子は上位層が厚くなっているのでボーダーは下がらないかもしれません。
関東学院(横浜市南区)は昨年2月1日に午後入試を新設、さらに今春は1日午前入試も新設して1日入試校として定着を図り受験総数も増やしました。それに対する反動か7月の志望者数は男子が1日午前のAで13%減ですが、午後のBは微増、Cは73%増、Dは13%増です。女子はBが微減なのを除き10%以上の減少です。

湘南学園 県内では中大横浜と並んで最も注目されるのが、明治時代に別荘地として開発されて以来高級住宅地として知られる鵠沼の湘南学園(藤沢市)です。山田校長自身が驚くほどの早慶上智大などの難関大合格実績が伸びて注目を集めているようで、あまり例がないことですが4回の入試すべてで男女ともに志望者が増えています。定員増(30→40名)のAは男子が52%増、女子は28%増。Bは男子が46%増、女子は18%増。Cは定員減(40→30名)にもかかわらず男子が18%増、女子はデータ不完全ですが微増です。最後のDも男子が40%、女子は41%の大幅増で、難易度も確実に上昇するでしょう。
桐蔭学園(横浜市青葉区)は男子校である中等教育学校と別学の中学校(男子部・女子部)という2つの学校からなっています。入試では日程も試験問題もすべて同じで、男子は中等教育学校を第一志望、中学校男子部を第二志望として受験できます。そのため中等教育学校と中学校男子部の志望者の多くは重なっており志望動向や入試結果の数字を見る際には注意が必要です。
7月模試の志望者は中等教育学校の2回Aが12%増、3回が9%増で1回は17%減、2回Bは前年並みです。中学校男子部は2回Bが2%増ですが、1回は13%減、2回Aが3%減、3回が10%減です。ここで中等教育学校と中学校男子部を合計してみると、1回が15%減で他の回はほぼ前年並みになっています。
中学校女子部も理数コースを第一志望、普通コースを第二志望として受験できるシステムです。理数コースは2回Aが32%増ですが他の回はデータ不完全ながら相当な減少です。普通コースも同様に2回Aが42%増で2回Bが9%増ですが他の2回は減っています。両方を合計しても2回Aが増加で他の回は2回Bを含めて減少しています。
東海大学付相模(相模原市南区)は多くの中堅大学付属校が他大学進学にシフトしている中で、他の東海大系同様に中高大10年一貫教育を基本方針としています。そのため受験者層が限定されるせいもあってか年々応募者が減少傾向にありました。しかし7月模試の志望者はAの男子が29%減ですが、女子は5%ながら増加に転じました。Bは男女とも前年並みです。
桐光学園(川崎市麻生区)も別学校です。今春は早慶上智大の実績が大きく伸びましたが7月模試の志望者数は明らかに変調です。男子は1回が23%減、2回が28%減、3回も10%減と大きく減っています。女子は2回が10%の増加ですが、1回は12%減、3回も16%減です。おそらく新校舎への移転によって近くなる中大横浜の影響を受けているものと思われます。
日本大学(横浜市港北区)は午後入試の導入で一時応募者が激増しましたが、中大横浜や山手学院の午後入試導入で競合し徐々に落ち着いた入試になってきています。男子は1回が9%減、午後入試の2回は5%減、3回は14%減で、女子は1回が22%減、2回・3回は前年並みです。志望者の減り具合から見て男子の方が中大横浜の影響を強く受けているようです。
開校4年目の日本大学藤沢(藤沢市)は定員増にもかかわらず志望者が減っています。1回(男女各25→各35名)は男子が22%減、女子は18%減です。2回(男女各15→25名)は男子が13%減、女子は10%増です。ただし定員増効果が今後出てきて志望者が増えてくる可能性もありますから注意が必要でしょう。
森村学園(横浜市緑区)はもともと女子に人気が高い学校ですが、今春入試では男子の応募者をかなり減らしました。7月模試の志望者数でもその傾向が続いていて、男子は1回が15%減、2回は4%減、3回は15%減です。逆に女子は1回が11%増、2回は14%増で、3回は13%減です。
山手学院(横浜市栄区)は2011年入試で応募者数を大きく伸ばしましたが、2012年で男子が大幅に減り女子も若干減りました。7月模試の志望者数では2月2日午後のBの男子が5%増、2月3日から4日に入試日変更のCの女子が2%増の他は1割前後の減少です。中大横浜の影響が続いているのか男子の減少が目立ちます。ただし午後入試のBは男女とも上位層が厚くなっています。
つぎに千葉の共学校を見てみます。千葉の私立中学校は24校中21校が共学校で、残り3校は女子校です。2012年入試では千葉の私立中はいくつかの例外を除きほとんどの学校が応募者数を大きく減らしました。その要因のひとつは東日本大震災で湾岸部の津波や液状化に対する不安、またホットスポット報道による放射線に対する不安ですが、より大きい要因は千葉の1月入試を試し受験として大量に受けていた東京・神奈川の受験生が埼玉の近年評判の高い共学校にターゲットを代えてきているというのが最大の理由でしょう。
トップの渋谷教育学園幕張(千葉市美浜区)は今春入試で相当に応募者を減らしましたが、7月模試の志望者数もわずかながら減っています。1回男子が2%減、女子は3%減です。2月入試の2回は男子2%増、女子は10%減です。
市川(市川市)も今春入試で応募者をかなり減らしましたが、模試の志望者は1回の男子が6%減、女子は14%減、2回は男子が5%減ですが、女子は7%増です。

東邦大付東邦 東邦大付東邦(習志野市)は東大10名、一橋大5名、東工大10名など難関国立大の合格実績をあげて男子の志望者は増えています。男子は前期が7%増、後期は14%増です。しかし女子は前期が3%減で、後期は29%の大幅減です。女子の後期の大幅減は今春の倍率急上昇(6.6→17.8倍)に対する反動でしょうか。
昭和学院秀英(千葉市美浜区)の1回は第一志望者対象の入試で模試のデータがないため割愛します。人数的に最もメインの2回は男子が12%減、女子は14%減です。前年は男女ともわずかの減少でしたが今年の模試志望者は相当な減少となっています。2回は男子16%増ですが女子は36%の大幅減です。
芝浦工大附柏(柏市)は東大2名や早慶上智大の飛躍的な伸び(70→65→129名)で注目度が上がっていて、7月模試の志望者も男子は1回が22%増、2回は5%増です。しかし女子は1回が9%減、2回は28%の大幅減と男女で志望動向が大きく異なります。
専修大松戸(松戸市)も今春入試では男女とも応募者が大きく減りましたが、7月模試の志望者では女子の減少が目立ちます。1回の男子が7%減、女子が15%減、2回は男子が8%増で、女子は20%と大幅な減少です。
東海大付浦安(浦安市)は2011年入試より推薦入試を導入していますが模試のデータがないので推薦入試については割愛します。この学校もやはり女子の志望者減が大きくなっていて、一般入試の1回で男子が55%減、女子は26%減、2回は男子が前年並みで、女子は18%減です。
千葉日大一中(船橋市)もやはり女子の志望者が大きく減っています。1期の男子が7%増、女子は17%減、2期の男子が13%減、女子は29%の大幅減です。
最後に埼玉の共学校を見てみましょう。埼玉では大人気の2校に志望者が集中し、他の学校は来春4校も新規開校があることもあって、ほとんどの学校が志望者を減らしています。(新規開校の4校については模試データがないため今回は扱いません。)

開智 人気の開智(さいたま市岩槻区)は先端クラスの定員を30→60名に増員し、一貫クラスは210→180名に減員します。先端クラスの定員増でますます人気が上がっているようで、一貫クラスも含めたすべての入試回で男女ともに志望者が増加しています。先端Aは東京・神奈川の最難関校の併願者が多い入試で、20→30名と定員増で志望者は男子が6%増、女子は27%増です。なお先端Aの合格者は全員特待生です(他の回は成績上位者のみ)。先端Bは一貫クラスへのスライド合格があります。先端が10→30名の増員で一貫の定員20名は変わりません。男女とも44%と大幅な志望者の増加です。一貫クラスの1回は150→130名の定員減ですが男子が5%増、女子は4%増、2回は40→30名の定員減ですが男子が16%増、女子は13%増です。実際の入試では応募者が増加しても合格者も増やしますから、難易度の上昇はあってもわずかでしょう。
人気の開智と並ぶ人気校栄東(さいたま市見沼区)も昨年の総定員倍増、今春の東大クラスの定員倍増につづいてさらに東大クラスの定員を80→120名と増員し、難関大クラスは160→120名に減員します。そのため東大クラスの人気はさらに上がっています。東大Ⅰは60→80名の定員増で、志望者は男子が42%増、女子は32%増、東大Ⅱは20→40名の定員増で、男子が16%増、女子はなんと54%増です。また定員減の難関大クラスは120→100名と減員のAが男子9%増、女子21%増です。しかし30→20名に減員のBは男子16%減、女子19%減、10→若干名に減員のCは男子20%減、女子は3%減です。開智と同じよう応募者増には合格者増で対応すると思われますので難易度の変動はあってもわずかでしょう。
県内に4校の新規開校があることもあって、この2校以外はほとんどの学校が志望者を減らしています。(新規開校の4校については模試データがないため今回は扱いません。)
西武学園文理(狭山市)は県西部地区の有力校ですが、レベル的に2校に次ぐ位置にあるため2校の影響を強く受けています。また東大が6→3→2名、早慶上智大も103→119→100名とやや大学合格実績が下がり気味なこともあってか、4回の入試のうち2回の一貫クラスで男子が33%増、女子は72%増とふえている以外は特選、一貫ともに志望者減です。特に男子の減少が目につくようです。
春日部共栄(春日部市)は女子の減少が目立ちます。1回が4%減、2回は9%減、3回は21%減です。男子は1回が4%減ですが2回は微増、3回は5%増です。
獨協埼玉(越谷市)は併設大への推薦合格者は24%でMARCH大などの他大学進学が主流となっている学校です。1回は男女とも8%減、2回は男子が20%増、女子は11%減です。
5.公立中高一貫校
まず7月の模試における1都3県の公立中高一貫校の志望者動向を一覧にしておきます。なお立川国際、平塚、伊奈学園、浦和はデータ不完全なため表示していません。Mは男子、Fは女子です。
(1)東京の公立中高一貫校
12年 | 11年 | 前年比 | ||
・千代田区立九段 | M | 206 | 179 | <115% /td> |
F | 206 | 209 | 99% | |
・東京都立桜修館 | M | 204 | 153 | 133% |
F | 262 | 173 | 151% | |
・東京都立大泉 | M | 121 | 111 | 109% |
F | 111 | 156 | 71% | |
・東京都立小石川 | M | 334 | 342 | 98% |
F | 302 | 321 | 94% | |
・東京都立白鴎 | M | 183 | 171 | 107% |
F | 249 | 206 | 121% | |
・東京都立富士 | M | 101 | 87 | 116% |
F | 119 | 96 | 124% | |
東京都立三鷹 | M | 122 | 118 | 103% |
F | 112 | 126 | 89% | |
・東京都立南多摩 | M | 64 | 82 | 78% |
F | 68 | 89 | 76% | |
・東京都立武蔵 | M | 157 | 146 | 108% |
F | 123 | 130 | 95% | |
・東京都立両国 | M | 208 | 208 | 100% |
F | 197 | 206 | 96% |
この中で目につくのは桜修館(目黒区)の志望者の大きな増加です。今春1期生が卒業した3校(桜修館、小石川、両国)では桜修館が東大4名、一橋2名、東工大4名、早慶上智大82名など最も大学合格実績が良かったので予想されたところです。それに対しかつての名門都立高校を母体校とする小石川(文京区)と両国(墨田区)は期待したほどの結果が出せなかったというのが大方の評価で、それが志望者数にあらわれているようです。
また昨年の1期生につづいて2期生でも好調な大学合格実績を出した白鴎(台東区)は男女ともに志望者が増えていて、とくに女子の増加は注目され小石川や両国の中位以下の層が回っている可能性もあります。
さて3年前の開校時には都内で最多の応募者を集めていた南多摩(八王子市)の志望者の減りの大きいのが気になるところです。もともと公立志向が強い地域でとりあえず受けてみようという受検生も多かったようですが、しっかりと受検準備をしないとまず合格できないことが周知されてきて、記念受検が減ってきているためでしょうか。
(2)神奈川の公立中高一貫校span>
12年 | 11年 | 前年比 | ||
・神奈川県立相模原 | M | 170 | 204 | 83% |
F | 190 | 178 | 107% | |
・横浜市立南 | M | 183 | 128 | 143% |
F | 328 | 171 | 192% |
何といっても横浜市立南(横浜市港南区)の志望者の増加は目を見はるものがあります。特に女子の92%増は驚異的です。横浜南部から湘南方面にかけては私立中受験が盛んな地域ですから、相当に国私立中との併願者も増えているものと予想されます。
(3)千葉の公立中高一貫校
12年 | 11年 | 前年比 | ||
・千葉県立千葉 | M | 350 | 367 | 95% |
F | 231 | 287 | 80% | |
・千葉市立稲毛 | M | 131 | 104 | 126% |
F | 95 | 126 | 75% |