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第37話「2013年 中学入試予想第2弾 ―9月公開模試から入試動向を読む―(つづき) 」
2012年11月22日
(4)共学上位校の志望動向
主要大学の付属校の志望動向は前回の第36話で見ましたので、今回は進学校系の学校について見てみます。東京と神奈川の伝統的進学校はほとんどすべてが別学校で、共学の上位校は慶應中等部、青山学院などほとんどが大学付属校です。そのため共学の上位進学校はほとんどが千葉と埼玉の学校ということになります。
最初は東京で、共学の上位進学校は次の1校だけです。
渋谷教育学園渋谷(渋谷区)は都内の上位進学校では唯一の共学校です。今春入試の応募者は、女子が前年並みでしたが男子は大きく増え倍率も急上昇しました。その反動のためか9月の志望者数では男子が1回6%減、2回4%減、3回5%減と全ての回でやや減っています。女子も1回、3回が2%減、2回は5%減です。ただしこの程度の減少では難易度は下がってもわずかなものでしょう。
次は千葉の学校を見ていきます。
共学トップ校の渋谷教育学園幕張(千葉市美浜区)は今春入試で1回・2回とも応募者が11%減でした。東大合格実績は47→34→49名とV字回復していますが、模試の志望者数は前年並みで今のところ応募者数を回復しそうには見えません。おそらくは東京・神奈川からの試し受験のターゲットが千葉の学校から近年人気急上昇の埼玉の有力校にシフトしてきているのが主な要因でしょう。今春と変わらない入試状況になるものと思われます。
同様に今春入試で応募者を大きく減らした市川(市川市)も模試の志望者数は男子がやや減、女子は前年並みで、やはり今春並みの入試になりそうです。
以上の2校に対し東邦大東邦(習志野市)は東大合格実績が2→7→10名と好調だったためか、前期の志望者数は女子が前年並みですが、男子は7%増です。男子は上位層も厚くなっています。
昭和学院秀英(千葉市美浜区)の1回は第一志望入試ですので、一般入試は2回からです。2回の今春入試は応募者数が17%という大幅な減少でしたが、9月の志望者は男女とも9%減で減少に歯止めがかかっていません。このまま行けば難易度も緩和する可能性があります。
次に埼玉の学校を見てみます。
開智(さいたま市岩槻区)は人気の先端クラスの定員をA20→30名、B30→50名と増員し、一貫クラスは1回150→130名、2回40→30名と減員します。先端クラスは男子の志望者増が目立ち、Aが14%増、Bは15%増、女子はAが11%増ですが、Bは14%減です。一貫クラスは1回が男女とも微減、2回は男子が5%増で女子はなぜか24%の大幅増です。
先端クラスは応募者が相当に増えると予想されますが、おそらく増加分の多くは東京・神奈川からの試し受験者ですから辞退者を見込んで合格者をかなり出すと思われ、形式倍率が上がっても実際のボーダーが上がることはないでしょう。

栄東 開智と並ぶ人気校の栄東(さいたま市見沼区)は昨年総定員を倍増し、今春は東大クラスの定員を倍増と積極策で毎年人気が上がり、今春入試では応募者が延べ8、172名という大規模入試になりました。来年は定員の変更はありませんがますます人気が上昇しているようで、男子は東大クラスⅠが47%増、Ⅱは24%増、難関大クラスAが21%増、Bは7%減です。女子はさらに大きく増えていて、東大クラスⅠが62%増、Ⅱはなんと119%増、難関大クラスではAが13%増、Bは11%減です。やはり増加分はほとんどが東京・神奈川の試し受験生と思われ、応募総数で15%増でしたが合格者総数を57%増として難易度が低下した今春の例から見て難易度の上昇は考えにくいところです。
(5)注目される中堅校の志望動向
①中堅男子校
攻玉社(目黒区)は7月から9月にかけて志望者数が増えてきています。定員を80→100名と増員する1回が13%減→2%減、逆に定員を90→70に減員する2回は9%減→6%減と増加。定員増の1回がようやく前年並みになってきましたが、後述の世田谷学園との競合によるものと思われます。

世田谷学園 その世田谷学園(世田谷区)は3回の志望者数が21%増→8%増と減った以外は7月から9月にかけてほとんど変わっていません。しかし1回はわずか5%の増加ながら上位層が激増、受験者層が完全にワンランク上の層と入れ替わっています。入試レベルの上昇は確実で厳しい入試になりそうです。
城北(板橋区)は1回が4%増、2回は9%減、3回は2%増と志望者数では前年と大きく変わってはいませんが、学校に対する評価が上がっているのか、第一志望者が多い1回は上位層が非常に厚くなってきていますから、ボーダーラインが上昇する可能性が高いでしょう。
高輪(港区)は中堅上位の受験生が世田谷学園1回、城北1回に回っているのか2月1日のAが21%減で、逆に2日のBは世田谷学園、城北の併願校になっているようで15%増で上位層も増えています。
都内私立中で2年連続応募者数(延べ)最多だった東京都市大付(世田谷区)はさすがに急激な応募者増の反動か、1回の志望者が7月より減って10%減、2回は逆に7月より増えて2%増です。2月1日午後入試の1回の減少は大学合格実績が好調だった国学院久我山や東京農大一に志望者が回っているためと思われます。
②中堅女子校

大妻多摩 大妻多摩(多摩市)は2月1日に新設する午後入試で400名を超える志望者を集めています。これだけの志望者がいるにもかかわらず1回、2回とも5%増で減っていません。今春の大学合格実績で難関国公立大などを伸ばしていますから学校自体の評価が上がっているのでしょう。
同じく一般学級に午後入試を新設する東京女学館(渋谷区)は2回(2日午後)に500名近い志望者を集めていますが、大妻多摩と異なり1回が31%減、3回は32%減となっていて志望者が新設の午後入試に集中しています。一般的にいって午後入試は併願者が多く手続き率は低くなりますから、第一志望者が多い1回の大幅減は学校にとっては心配なところでしょう。
都心の伝統校山脇学園(港区)は「山脇ルネサンス」と称する学校改革の成果が出始めて今春は東工大2名など難関大の大学合格実績も出てきています。また新校舎の建設も始まり期待感が高まっているようで、Aが22%増、Bは19%増、Cは7%増と全ての回で志望者が増えています。このレベルの中堅女子校のほとんどが志望者を減らしている中で全ての回で増加しているというのは特筆すべきことでしょう。
同じく都心の伝統校三輪田学園(千代田区)も前年の倍率低下の反動もありそうですが、着実な学校改革が支持され、早慶上智大やMARCH大の合格実績の伸びも評価されているのか、1回の志望者が7%増、2回は5%増で、3回は3%減です。
神奈川学園(横浜市神奈川区)は今春新設した午後入試で多くの受験生を集めましたが、9月模試では志望者が9%増と好調を維持しています。ただし他の回が10%前後減っています。
捜真女学校(横浜市神奈川区)は今春から導入した第一志望者向けの基礎的な出題によるS入試が好調で志望者が24%増です。ただし従来からのA入試が13%減、B入試は26%減です。

国府台女子学院 千葉には女子校は3校しかありませんが、国府台女子学院(市川市)は新校舎完成にくわえ、東大2名など大学合格実績が大きく伸びて人気が上がっているようです。県内の多くの学校が志望者を減らしている中で、生徒募集の主力である1回が3%増で、2月5日の定員20名の2回は5%減が生徒募集の主力である1回は3%増で堅調を維持しています。
③中堅共学校
新制服を採用した穎明館(八王子市)は今春に続いて女子の人気が高くなっていますが、7月から9月にかけて志望者の状況に変化が見られます。1回は男子が15%減→13%減ですが、女子は19%増→47%増と大幅増で、2回は男子が9%減→20%増、女子は40%増→15%増と大きく減少、3回は男子が12%増→1%減、女子は18%増→17%増です。女子の増加が2回から第一志望中心の1回に移っているのが注目されます。
中堅の共学ミッション校桜美林(町田市)は今春難関大学合格実績が伸びて人気が上がっているようですが、男女で志望動向に違いが見られます。男子は上位併願者が増えているようで1回午後が7%増ですが、女子は第一志望者が増えているようで1回午前が15%増です。上位併願者が増えるはずの1回午後は大妻多摩の午後入試導入の影響を受けているものと思われ、2%の増加にとどまっています。
国学院久我山(杉並区)は早慶上智大の実績を伸ばし、午後入試のSTの男子1回が26%、2回が5%増、午前入試の一般2回が10%増と相当な増加で、特にSTの1回は上位層が大幅に増加しています。女子の志望者数はほぼ各回とも前年並みですが、やはりSTの1回はやや上位層が増加しています。
順天(北区)は中堅進学校として人気の高い学校です。9月の模試志望者は男子の午後入試の1回Bが7%増、2回Bは29%増で上位層も増えていますが、午前入試の1回Aが29%減、2回Aは26%減と大きく減っています。つまり上位校との併願者は増えているが第一志望者は減っているということでしょう。女子は午後入試の1回Bが29%減、2回Bは18%減で上位層も薄くなっていて、明らかに上位校との併願者が減っています。第一志望者中心の午前入試もやや減少で、1回Aは9%減、2回Aは1%減です。
成蹊(武蔵野市)は大学の併設校ですが進学色の強い学校です。男子はここ2年ほど応募者の減少が続いていますが、模試の志望者も1回が28%減、2回は13%減と相当な減少です。比較的応募者数が安定していた女子も1回が20%減、2回は10%減です。男子は難易度低下の可能性大です。

青稜 2014年に新校舎が完成する青稜(品川区)は7月から9月にかけて志望状況が大きく変わっています。国公立大や早慶上智大の合格実績が伸びたためか、上位校との併願者が多い午後入試の1回Bは男子が16%減→3%増に、女子は15%減→14%増に、2回Bの男子は22%増→31%増に、女子は12%減→28%増に転じています。受験者層も男女とも上位層が増えていることから見て、競合している東京都市大等々力や広尾学園から中下位層が回ってきているものと思われます。特に東京都市大等々力は青稜と入試レベルも近い上に受験生のエリアもほとんど重なっていますから、今後も両校の綱引きは注視していく必要がありそうです。
帝京大学(八王子市)の注目される初の午後入試導入(3回)は午前入試だった前年に比べ男子が23%増で、女子はさらに大きく61%の増加です。ただし他の回はむしろ減り気味で、上位併願層が3回の午後入試に集中しているようです。
東京都市大等々力(世田谷区)は共学化以来の志望者の増加に歯止めがかかってきたようです。しかしこれは今までの異常ともいえる応募者増とレベル上昇に対する敬遠傾向が出てきたということで、特進1回は男子が11%減、女子は5%減、2回は男子が46%増、女子は10%増です。午後入試の特選は1回の男子が38%増、女子は4%減、2回は男子が22%減、女子は20%減です。しかし志望者が減っている回でも特進2回の女子以外はほとんど受験者の学力層が上がっていて、ボーダーラインの低下は望めそうもありません。倍率が下がっても難易度アップの可能性もあり注意が必要です。減っているのは中位以下の層でワンランク下の青稜や宝仙理数インターなどに回っているものと思われます。
東京農大一(世田谷区)は今春卒業した中等部の2期生が難関国公立大や早慶上智大の合格実績を大きく伸ばしました。そのためか男子の志望者増が目立ちます。午後入試の1回は男子が6%増、女子は20%減、2回は男子が前年並みで女子は微減、3回は男子が9%増、女子は8%減です。男子は3回とも受験者層が上がっていますから合格ラインが上昇しそうです。志望者が減っている女子も1回は受験者層が上がっていますから合格ラインの上昇もありえます。
日大系はどこも男女とも1割前後の志望者減ですが、日大三(町田市)のみ2回で男子が24%増、女子は20%増です。今春相当に緩和した入試状況だった反動でしょうか。
広尾学園(港区)の志望者増加は続いていますが七月よりはやや減ってきています。1回は男女とも7月から減って前年並みになりましたが、午後入試の2回は男子がわずかに減って43%増、女子はかなり減って16%増、同じく午後の医進・サイエンスは男子が34%増、女子は22%増です。3回は男子が34%増、女子は43%増です。また注目すべきは志望者の学力レベルで、男子はすべての回で、女子も2回と3回で受験者層が大きく上がっています。つまり7月以降に減っているのはあきらかに中下位層です。したがって難易度はむしろ上昇する可能性を考えておいた方が良さそうです。

湘南学園 大学合格実績が飛躍的に伸びて大人気になっている湘南学園は第35話でも触れたように男女ともすべての回の入試で志望者数が大幅に増えていますが、特にBの女子は7月から9月にかけて18%増→129%増に激増しています。
早慶上智大の合格実績を大きく伸ばしたにもかかわらず7月模試では志望者減が目立った桐光学園(川崎市麻生区)は、9月になってだいぶ志望者数を回復してきています。1回の男子は23%減→12%減、女子は12%減→4%減、2回は男子が28%減から12%減、女子はなぜか10%増→7%減、3回は男子が10%減→8%減、女子は16%減→±0%と2回の女子以外は減少幅を縮めています。
関東学院(横浜市南区)は昨年2月1日に午後入試を始めて1日に参入、今春は1日午前にも入試を構えて2日入試校から1日入試校へのシフトを完了しています。1日午前のAは男女合わせて10%増で、男子は微減ですが女子は大きく増えています。午後のBは3%減、こちらは逆に女子の減少が目立ちますが、横浜女学院との競合によるものでしょうか。 3日のCは19%増で、5日のDは3%減です。
主要大学の付属校の志望動向は前回の第36話で見ましたので、今回は進学校系の学校について見てみます。東京と神奈川の伝統的進学校はほとんどすべてが別学校で、共学の上位校は慶應中等部、青山学院などほとんどが大学付属校です。そのため共学の上位進学校はほとんどが千葉と埼玉の学校ということになります。
最初は東京で、共学の上位進学校は次の1校だけです。
渋谷教育学園渋谷(渋谷区)は都内の上位進学校では唯一の共学校です。今春入試の応募者は、女子が前年並みでしたが男子は大きく増え倍率も急上昇しました。その反動のためか9月の志望者数では男子が1回6%減、2回4%減、3回5%減と全ての回でやや減っています。女子も1回、3回が2%減、2回は5%減です。ただしこの程度の減少では難易度は下がってもわずかなものでしょう。
次は千葉の学校を見ていきます。
共学トップ校の渋谷教育学園幕張(千葉市美浜区)は今春入試で1回・2回とも応募者が11%減でした。東大合格実績は47→34→49名とV字回復していますが、模試の志望者数は前年並みで今のところ応募者数を回復しそうには見えません。おそらくは東京・神奈川からの試し受験のターゲットが千葉の学校から近年人気急上昇の埼玉の有力校にシフトしてきているのが主な要因でしょう。今春と変わらない入試状況になるものと思われます。
同様に今春入試で応募者を大きく減らした市川(市川市)も模試の志望者数は男子がやや減、女子は前年並みで、やはり今春並みの入試になりそうです。
以上の2校に対し東邦大東邦(習志野市)は東大合格実績が2→7→10名と好調だったためか、前期の志望者数は女子が前年並みですが、男子は7%増です。男子は上位層も厚くなっています。
昭和学院秀英(千葉市美浜区)の1回は第一志望入試ですので、一般入試は2回からです。2回の今春入試は応募者数が17%という大幅な減少でしたが、9月の志望者は男女とも9%減で減少に歯止めがかかっていません。このまま行けば難易度も緩和する可能性があります。
次に埼玉の学校を見てみます。
開智(さいたま市岩槻区)は人気の先端クラスの定員をA20→30名、B30→50名と増員し、一貫クラスは1回150→130名、2回40→30名と減員します。先端クラスは男子の志望者増が目立ち、Aが14%増、Bは15%増、女子はAが11%増ですが、Bは14%減です。一貫クラスは1回が男女とも微減、2回は男子が5%増で女子はなぜか24%の大幅増です。
先端クラスは応募者が相当に増えると予想されますが、おそらく増加分の多くは東京・神奈川からの試し受験者ですから辞退者を見込んで合格者をかなり出すと思われ、形式倍率が上がっても実際のボーダーが上がることはないでしょう。

栄東 開智と並ぶ人気校の栄東(さいたま市見沼区)は昨年総定員を倍増し、今春は東大クラスの定員を倍増と積極策で毎年人気が上がり、今春入試では応募者が延べ8、172名という大規模入試になりました。来年は定員の変更はありませんがますます人気が上昇しているようで、男子は東大クラスⅠが47%増、Ⅱは24%増、難関大クラスAが21%増、Bは7%減です。女子はさらに大きく増えていて、東大クラスⅠが62%増、Ⅱはなんと119%増、難関大クラスではAが13%増、Bは11%減です。やはり増加分はほとんどが東京・神奈川の試し受験生と思われ、応募総数で15%増でしたが合格者総数を57%増として難易度が低下した今春の例から見て難易度の上昇は考えにくいところです。
(5)注目される中堅校の志望動向
①中堅男子校
攻玉社(目黒区)は7月から9月にかけて志望者数が増えてきています。定員を80→100名と増員する1回が13%減→2%減、逆に定員を90→70に減員する2回は9%減→6%減と増加。定員増の1回がようやく前年並みになってきましたが、後述の世田谷学園との競合によるものと思われます。

世田谷学園 その世田谷学園(世田谷区)は3回の志望者数が21%増→8%増と減った以外は7月から9月にかけてほとんど変わっていません。しかし1回はわずか5%の増加ながら上位層が激増、受験者層が完全にワンランク上の層と入れ替わっています。入試レベルの上昇は確実で厳しい入試になりそうです。
城北(板橋区)は1回が4%増、2回は9%減、3回は2%増と志望者数では前年と大きく変わってはいませんが、学校に対する評価が上がっているのか、第一志望者が多い1回は上位層が非常に厚くなってきていますから、ボーダーラインが上昇する可能性が高いでしょう。
高輪(港区)は中堅上位の受験生が世田谷学園1回、城北1回に回っているのか2月1日のAが21%減で、逆に2日のBは世田谷学園、城北の併願校になっているようで15%増で上位層も増えています。
都内私立中で2年連続応募者数(延べ)最多だった東京都市大付(世田谷区)はさすがに急激な応募者増の反動か、1回の志望者が7月より減って10%減、2回は逆に7月より増えて2%増です。2月1日午後入試の1回の減少は大学合格実績が好調だった国学院久我山や東京農大一に志望者が回っているためと思われます。
②中堅女子校

大妻多摩 大妻多摩(多摩市)は2月1日に新設する午後入試で400名を超える志望者を集めています。これだけの志望者がいるにもかかわらず1回、2回とも5%増で減っていません。今春の大学合格実績で難関国公立大などを伸ばしていますから学校自体の評価が上がっているのでしょう。
同じく一般学級に午後入試を新設する東京女学館(渋谷区)は2回(2日午後)に500名近い志望者を集めていますが、大妻多摩と異なり1回が31%減、3回は32%減となっていて志望者が新設の午後入試に集中しています。一般的にいって午後入試は併願者が多く手続き率は低くなりますから、第一志望者が多い1回の大幅減は学校にとっては心配なところでしょう。
都心の伝統校山脇学園(港区)は「山脇ルネサンス」と称する学校改革の成果が出始めて今春は東工大2名など難関大の大学合格実績も出てきています。また新校舎の建設も始まり期待感が高まっているようで、Aが22%増、Bは19%増、Cは7%増と全ての回で志望者が増えています。このレベルの中堅女子校のほとんどが志望者を減らしている中で全ての回で増加しているというのは特筆すべきことでしょう。
同じく都心の伝統校三輪田学園(千代田区)も前年の倍率低下の反動もありそうですが、着実な学校改革が支持され、早慶上智大やMARCH大の合格実績の伸びも評価されているのか、1回の志望者が7%増、2回は5%増で、3回は3%減です。
神奈川学園(横浜市神奈川区)は今春新設した午後入試で多くの受験生を集めましたが、9月模試では志望者が9%増と好調を維持しています。ただし他の回が10%前後減っています。
捜真女学校(横浜市神奈川区)は今春から導入した第一志望者向けの基礎的な出題によるS入試が好調で志望者が24%増です。ただし従来からのA入試が13%減、B入試は26%減です。

国府台女子学院 千葉には女子校は3校しかありませんが、国府台女子学院(市川市)は新校舎完成にくわえ、東大2名など大学合格実績が大きく伸びて人気が上がっているようです。県内の多くの学校が志望者を減らしている中で、生徒募集の主力である1回が3%増で、2月5日の定員20名の2回は5%減が生徒募集の主力である1回は3%増で堅調を維持しています。
③中堅共学校
新制服を採用した穎明館(八王子市)は今春に続いて女子の人気が高くなっていますが、7月から9月にかけて志望者の状況に変化が見られます。1回は男子が15%減→13%減ですが、女子は19%増→47%増と大幅増で、2回は男子が9%減→20%増、女子は40%増→15%増と大きく減少、3回は男子が12%増→1%減、女子は18%増→17%増です。女子の増加が2回から第一志望中心の1回に移っているのが注目されます。
中堅の共学ミッション校桜美林(町田市)は今春難関大学合格実績が伸びて人気が上がっているようですが、男女で志望動向に違いが見られます。男子は上位併願者が増えているようで1回午後が7%増ですが、女子は第一志望者が増えているようで1回午前が15%増です。上位併願者が増えるはずの1回午後は大妻多摩の午後入試導入の影響を受けているものと思われ、2%の増加にとどまっています。
国学院久我山(杉並区)は早慶上智大の実績を伸ばし、午後入試のSTの男子1回が26%、2回が5%増、午前入試の一般2回が10%増と相当な増加で、特にSTの1回は上位層が大幅に増加しています。女子の志望者数はほぼ各回とも前年並みですが、やはりSTの1回はやや上位層が増加しています。
順天(北区)は中堅進学校として人気の高い学校です。9月の模試志望者は男子の午後入試の1回Bが7%増、2回Bは29%増で上位層も増えていますが、午前入試の1回Aが29%減、2回Aは26%減と大きく減っています。つまり上位校との併願者は増えているが第一志望者は減っているということでしょう。女子は午後入試の1回Bが29%減、2回Bは18%減で上位層も薄くなっていて、明らかに上位校との併願者が減っています。第一志望者中心の午前入試もやや減少で、1回Aは9%減、2回Aは1%減です。
成蹊(武蔵野市)は大学の併設校ですが進学色の強い学校です。男子はここ2年ほど応募者の減少が続いていますが、模試の志望者も1回が28%減、2回は13%減と相当な減少です。比較的応募者数が安定していた女子も1回が20%減、2回は10%減です。男子は難易度低下の可能性大です。

青稜 2014年に新校舎が完成する青稜(品川区)は7月から9月にかけて志望状況が大きく変わっています。国公立大や早慶上智大の合格実績が伸びたためか、上位校との併願者が多い午後入試の1回Bは男子が16%減→3%増に、女子は15%減→14%増に、2回Bの男子は22%増→31%増に、女子は12%減→28%増に転じています。受験者層も男女とも上位層が増えていることから見て、競合している東京都市大等々力や広尾学園から中下位層が回ってきているものと思われます。特に東京都市大等々力は青稜と入試レベルも近い上に受験生のエリアもほとんど重なっていますから、今後も両校の綱引きは注視していく必要がありそうです。
帝京大学(八王子市)の注目される初の午後入試導入(3回)は午前入試だった前年に比べ男子が23%増で、女子はさらに大きく61%の増加です。ただし他の回はむしろ減り気味で、上位併願層が3回の午後入試に集中しているようです。
東京都市大等々力(世田谷区)は共学化以来の志望者の増加に歯止めがかかってきたようです。しかしこれは今までの異常ともいえる応募者増とレベル上昇に対する敬遠傾向が出てきたということで、特進1回は男子が11%減、女子は5%減、2回は男子が46%増、女子は10%増です。午後入試の特選は1回の男子が38%増、女子は4%減、2回は男子が22%減、女子は20%減です。しかし志望者が減っている回でも特進2回の女子以外はほとんど受験者の学力層が上がっていて、ボーダーラインの低下は望めそうもありません。倍率が下がっても難易度アップの可能性もあり注意が必要です。減っているのは中位以下の層でワンランク下の青稜や宝仙理数インターなどに回っているものと思われます。
東京農大一(世田谷区)は今春卒業した中等部の2期生が難関国公立大や早慶上智大の合格実績を大きく伸ばしました。そのためか男子の志望者増が目立ちます。午後入試の1回は男子が6%増、女子は20%減、2回は男子が前年並みで女子は微減、3回は男子が9%増、女子は8%減です。男子は3回とも受験者層が上がっていますから合格ラインが上昇しそうです。志望者が減っている女子も1回は受験者層が上がっていますから合格ラインの上昇もありえます。
日大系はどこも男女とも1割前後の志望者減ですが、日大三(町田市)のみ2回で男子が24%増、女子は20%増です。今春相当に緩和した入試状況だった反動でしょうか。
広尾学園(港区)の志望者増加は続いていますが七月よりはやや減ってきています。1回は男女とも7月から減って前年並みになりましたが、午後入試の2回は男子がわずかに減って43%増、女子はかなり減って16%増、同じく午後の医進・サイエンスは男子が34%増、女子は22%増です。3回は男子が34%増、女子は43%増です。また注目すべきは志望者の学力レベルで、男子はすべての回で、女子も2回と3回で受験者層が大きく上がっています。つまり7月以降に減っているのはあきらかに中下位層です。したがって難易度はむしろ上昇する可能性を考えておいた方が良さそうです。

湘南学園 大学合格実績が飛躍的に伸びて大人気になっている湘南学園は第35話でも触れたように男女ともすべての回の入試で志望者数が大幅に増えていますが、特にBの女子は7月から9月にかけて18%増→129%増に激増しています。
早慶上智大の合格実績を大きく伸ばしたにもかかわらず7月模試では志望者減が目立った桐光学園(川崎市麻生区)は、9月になってだいぶ志望者数を回復してきています。1回の男子は23%減→12%減、女子は12%減→4%減、2回は男子が28%減から12%減、女子はなぜか10%増→7%減、3回は男子が10%減→8%減、女子は16%減→±0%と2回の女子以外は減少幅を縮めています。
関東学院(横浜市南区)は昨年2月1日に午後入試を始めて1日に参入、今春は1日午前にも入試を構えて2日入試校から1日入試校へのシフトを完了しています。1日午前のAは男女合わせて10%増で、男子は微減ですが女子は大きく増えています。午後のBは3%減、こちらは逆に女子の減少が目立ちますが、横浜女学院との競合によるものでしょうか。 3日のCは19%増で、5日のDは3%減です。