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そうだったのか中学入試
「そうだったのか!中学入試-市進の中学受験情報ナビ-」は、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)の国立・私立入試と公立中高一貫校受験の入試情勢・偏差値などを塾ならではの視点で総合的にお伝えします。
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コラム「そうだったのか!中学入試」
トップページ > コラム「そうだったのか!中学入試」第41~50話 > 第44話 「2013年首都圏中学入試(4) ―東京・神奈川の中学入試(その2)―」

第44話 「2013年首都圏中学入試(4) ―東京・神奈川の中学入試(その2)―」

 

2013年6月11日

シリーズ最終回は神奈川の入試状況および東京・神奈川・埼玉の主要大学付属校(早慶大・MARCH大系列校)の入試状況のご報告です。

1. 神奈川の私立中学入試

神奈川には公募している私立中学が61校あり、男子校が12校、女子校が23校、共学・別学校が26校です。その多くは横浜市、川崎市、および鎌倉市、藤沢市などの湘南地区に集中しています。横浜は神戸とならび幕末の開港以来欧米文化の受け入れの窓口となったため、明治初期から宣教師や修道女によって設立されたミッション系の伝統校が多いのも大きな特徴です。61校中キリスト教主義の学校は23校で3分の1を超えています。また高校募集のない完全中高一貫校が25校とその比率が高いのも特徴といえます。さらに神奈川私学が千葉・埼玉と異なるのが東京私学との関係で、東京・神奈川の私学はさまざまな面で連携していて、特に入試日程(入試解禁日)は東京と歩調をあわせて2月1日以降としています。そのため千葉・埼玉のような1月入試ではなく、東京の受験生の「試し受験」の対象にはなっていません。言い方を変えれば、東京と神奈川の私立中学は「同じ土俵」で戦っているといってもよいでしょう(高校受験でも同様です)。

(1)男子校

栄光学園
栄光学園
栄光学園(鎌倉市)はイエズス会によって設立された神奈川を代表するカトリックの男子進学校です。前年は応募者が10%増でしたが、2013年は6%減です。これは一般的に言えば前年の応募増への反動ですが、2012年春の大学合格実績が東大70名など好調で、さらに応募者増と倍率アップが予想され、これを避けて聖光学院に回った受験生がかなりいたためと思われます。受験者数が60名減で、合格者を6名増としたため倍率が2.5→2.2倍と下がっています。しかし非公表ながら例年10名から多い年は30名近く出ている追加合格が今年は1人も出ておらず難易度は変わっていません。なお2017年の完成予定で新校舎建設計画が始動しています。

栄光学園とならぶ聖光学院(横浜市中区)もキリスト教教育修士会によって設立されたカトリックの男子進学校です。応募者が1回は676→722名で7%増、 2回は前年の6%減に続き921→818名と11%減でした。1回の応募者増は現在建設中の新校舎に対する期待感も多少はありますが、好調な大学合格実績に加え、前述の栄光学園から受験生が回ってきたというのも要因になっていそうです。繰り上げ合格は例年より少なめの20名前後と思われます。

なお少々出来すぎていますが、栄光学園の応募者の減少46名に対し、聖光学院1回の応募者の増加が46名と同数でうまく話が合っています。

浅野(横浜市神奈川区)は2月3日という入試日のため東京・神奈川の難関校の併願受験者を中心に、毎年2,000名前後の応募者が集まります。前年の応募者はやや増加しましたが2013年は6%減で1,936名です。合格者を650→625名と絞りましたが手続き状況がよく、繰り上げ合格は8年ぶりに1人も出ませんでした。実質倍率は2.7→2.6倍とわずかに下がりましたが難易度は変わっていません。

なおこの3校は開成・麻布・駒場東邦などの都内の難関校との併願者が多いことが知られていますが、実は都内からの受験生も多く、在校生中で栄光学園が約10%、聖光学院は約25%、浅野は約15%が都内からの通学生です。そのために特に聖光学院は麻布や開成などの入試状況の影響を受けやすく、今年は開成の繰り上げの余波をかなり受けたようです。

サレジオ修道会によって設立されたカトリックの男子進学校サレジオ学院(横浜市都筑区)は第一志望者の増加に対応して、前年は2月1日Aの定員を増員、しかしその前から続いていた難化傾向で敬遠され応募者が12%減で倍率も2.7→2.1倍と低下しました。2013年は学校の狙い通り応募者が16%増の494名となり、実質倍率も2.1→2.5倍と大きく回復しています。また同じカトリックの栄光学園との併願者が増えて上位層が厚くなって難易度もアップしています。なおBの応募者は617→583名と6%減ですが、実受験者を見ると437→435名とほとんど同数でした。

逗子開成
逗子開成
逗子開成(逗子市)は湘南地区の人気男子校です。しかしここ数年応募者の減少が続き2013年は1次が585→510名と13%減、2次も14%減、3次も11%減でした。しかし地元の受験生が増え、併願者が多い栄光学園の繰り上げがなかったため、手続き率が予想外に高くなり入学者が超過し2クラス増になっています。そしてなんといっても話題は難関国公立大合格実績の大躍進で、東大4→4→14名、一橋大2→4→10名、東工大7→5→10名などその伸びは首都圏でも最も大きく、週刊誌などでも大きく取り上げられているのは周知のところです。これは何年間にわたる授業改善などの地道な努力によるもので、この躍進は単年度で終わるものではないでしょう。2014年入試では応募者が急増する可能性が高く注意を要します。

鎌倉学園(鎌倉市)も湘南地区の他の男子校同様に応募者が減っています。前年の大学合格実績がやや停滞したこともあるかもしれませんが、湘南地区の男子受験生自体が少なかった可能性もあるようです。応募総数で1,678→1,293名と23%減で難易度もやや低下しています。

藤嶺学園藤沢(藤沢市)は一遍上人を開祖とする浄土教系の時宗の教えに基づき創立された仏教主義教育の男子進学校で、伝統文化を大切にするユニークな学校です。2012年春の大学合格実績がやや低下したためか、県内の男子校でも応募者の減少が大きく応募総数では946→583名と38%の大幅減です。また中学校の募集再開13年目にして初めての定員割れとなってしまい、各回の難易度も低下しているようです。この応募者数の急減の主因は、同じ藤沢市内の共学校で進路実績が大きく伸びて応募総数70%増と人気急上昇した湘南学園へ受験生が回ったためと思われます。また定員を確保できなかった要因のひとつに、逗子開成の入学者超過も関係しているでしょう。2013年春の大学合格実績は、一橋大2名、東北大2名、九州大1名、横浜市立大5名など国公立大合計で27名(全員一貫生)早慶上理大41名、GMARCH大101名と大きく回復していますから、2014年入試では応募者数も元に戻るものと思われます。

(2)女子校

神奈川の女子最上位の3校はすべて創立100年を超えるミッション校で、外人墓地や洋館で有名な横浜山手の丘の上にあります。また偏差値が高いだけでなく東京の女子御三家と同様に非常にブランド性が高い学校としても知られています。

フェリス女学院
フェリス女学院
トップのフェリス女学院(横浜市中区)は東京の女子学院と並ぶ、創立143年目の日本最古のプロテスタントミッション校です。ここ数年応募者の減少傾向が続いていましたが2013年入試では416→466名と12%の増加に転じています。前年の大学合格実績が東大12名、京大1名、北大3名、一橋大7名、東工大11名、早慶上智大227名など大きく伸びて(卒業生182名)、桜蔭や女子学院など都内へ流出していた横浜市内のトップ層が地元回帰したものと思われます。実質倍率、難易度とも若干上昇しています。2013年春の大学合格実績も東大10名、京大1名、阪大2名、東北大2名、一橋大11名、東工大5名など好調ですから2014年入試でも今年と同じ程度の応募者が集まるものと思われます。

3校中で唯一のカトリックミッション校横浜雙葉(横浜市中区)は、併設小学校があるため一般の公募定員が90名と小規模募集の学校です。応募者を230→215名と6%減らしていますが合格者も6%減のため倍率は変わっていません。応募者が減少した要因としては、一部がフェリス女学院へ回ったようですが主にチャレンジ層の敬遠で、難易度はむしろやや上がっています。

横浜共立学園(横浜市中区)はA・B2回の入試を行いますが、今年は2月3日が日曜だったためBの試験日が4日に移動しました。Aは2012年に応募者が大きく減りましたが、2013年は356→369名と回復、Bは前述の入試日変更で予想通り532→711名と大幅増です。 難易度はAが前年並みでBは上がっていますが、来年入試日が3日に戻ればBの難易度も元に戻るものと思われます。

以上のトップ3校に次ぐのが定番の併願校だった鎌倉女学院、湘南白百合と近年伸びが著しい洗足学園の3校です。

来年創立110周年を迎える鎌倉女学院(鎌倉市)は前年応募者がかなり減りましたが2013年は1次が前年並みですが、2次は横浜共立学園と入れ替わって入試日が3日となり応募者が5%増、しかし欠席者が多く受験者は11%減となり倍率低下です。併願校は前記のトップ3校は変わりませんが、前年多かった横浜市立南高附は入試日が2次と重なり減っています。

江の島を望む高台のカトリックミッション校湘南白百合学園(藤沢市)は併設小学校があるため公募定員が一般60名、帰国生が5~10名と小規模募集の学校です。2012年春の大学合格実績が東大4名、阪大1名、東京外語大4名など好調で、予想通り一般の応募者が前年に続き247→286名と増加しています。合格者をかなり増やしたため実質倍率はわずかに低下しましたが難易度は変わっていません。今年の東大は2名に減りましたが、東京医科歯科大3名、横浜市立大医学部4名など国公立大医学部11名、慶応大医学部1名、東邦大医学部4名など私大医学部26名など医学部合格者数で大きく実績を伸ばし、来年の入試も好調を維持しそうです。

洗足学園(川崎市高津区)の応募者は1回が5%減、2回は3%減、3回17%減と3回とも減っていますが、これはチャレンジ層が減っているためで受験者のレベルはむしろ上がっています。特に2日の2回の併願校は、女子学院やフェリス女学院が多いのは今まで通りですが、桜蔭が急激に増えて併願者数の上位にきていて、明らかに最上位層が厚くなってきているのが見てとれます。なおこの2年出ていなかった東大が4名のほか、一橋大2名、東工大1名、北大2名、東北大1名など国公立大59名(内過年度生9名)、早慶上智大130名(内過年度生7名)、MARCH大224名(内過年度生18名)、またハーバード大1名,イェール大1名など米国の名門大にも合格者を出し好調な大学合格実績を維持しています。

横浜女学院(横浜市中区)は2年前に応募者数が大きく落ち込みましたが、前年に続き2013年も応募者数を大きく回復しています。また上位層が厚くなっていて特進合格者で入学者が61名となり初めて特進2クラスとなりました。併願校もお隣の横浜共立学園が多いのは例年通りですが、フェリス女学院との併願者が増えています。2013年春は大学合格実績も東工大1名、東京医科歯科大1名、東京外語大1名、北大1名など難関国立大を大きく伸ばし、国公立大合計はこの3年で3→7→12名、早慶上智大は8→13→27名と着実に実績を上げています。2014年入試ではさらに人気が上がることが予想されます。

神奈川学園(横浜市神奈川区)は横浜市内の私立女子校では数少ない非宗教系の学校です。2012年入試では午後入試の導入などで大幅に応募者数が増えましたが、2013入試では前年の反動や前年春の進路実績の停滞などのためか応募総数で1,357→1,177名と13%減でした。Aの午前・午後とBは前年並みの難易度でしたが、Cは欠席者が多く倍率が下がったため難易度もやや低下したようです。しかし2013年春の大学合格実績は「21世紀教育プラン」に基づく学校改革の成果が実ったのか、一橋大1名、東京外語大1名、北大1名など難関国立大で合格者を出し、私大上位校もこの3年間で早慶上智大が7→8→35名、GMARCH第は54→55→70名と大きく伸びていますから、2014年入試では応募者の増加が予想され要注意です。

カリタス女子(川崎市多摩区)はカナダのケベック・カリタス修道女会によって設立されたカトリックミッション校です。2012年は新設された3回入試の人気が高く、これによって応募総数が大幅に増加しましたが、2013年入試は前年の反動に加え、大妻多摩の午後入試導入、中大横浜の移転などの要因が重なったためか1回が22%減、2回は32%減、3回は45%減と3回とも相当な減少となりました。しかし2013年春の大学合格実績で、京大1名、東北大1名、一橋大2名、東京外語大2名、東京農工大1名など難関国立大の実績を伸ばし、早慶上智大も51→79名と大きく伸びていますから応募者数を回復する可能性が高いでしょう。

横浜富士見丘学園
横浜富士見丘学園
横浜富士見丘学園(横浜市旭区)は中等教育学校を立ち上げて現在の校地に移転して7年目となります。最初の3年は好調な入試でしたが、その後は応募者の減少傾向が続き2013年入試でも応募総数で9%減となりました。移転により横浜の中心部からはなれ、また1期生が卒業するまではアピールできる進路実績がなく苦しい戦いを強いられていましたが、今春中等教育学校1期生183名が卒業し待望の大学合格実績が出ました。主なところでは東工大1名、早稲田大2名、上智大4名、東京理科大3名、GMARCH大19名、津田塾大1名、日本女子大2名、学習院女子大2名など難関大にも合格者を出しています。特筆されるのは中堅の女子校としては異例なほどの理系の多さで、理工系大学・学部の合格者が70名、医歯薬・医療系学部に30名の合格者がいることです。これによって2014年入試は応募状況が大きく変わるものと思われます。なおこの4月から実践女子学園中高の前校長で、ご自身、中・高・大・院と女子校で学ばれた女子教育のエキスパートで、キャリア教育、国際教育などを柱に実践女子学園の進学校への転換を強力に推進した松田由紀子先生が新校長に就任しています。

(3)共学校

早慶・MARCH大の系列校はあとでまとめて見ていきますので、ここではそれ以外の共学校について見ていきます。

神奈川大附(横浜市緑区)はほとんどが他大学受験の進学校です。2012年春は東大3名、一橋大2名、東工大3名、阪大1名、東北大1名、北大1名など最難関国公立大の実績をあげ注目を集めました。2013年入試の応募者は中大横浜が近くに移転してきましたが影響を受けることなく、C日程の男子が微減だったほかは男子が4~9%の増加、女子は10~12%の増加でした。しかし前年入学者が超過したこともあり、合格者数を絞ったところ、公立一貫校との併願者が増えて辞退者が多くなり、結局追加合格を37名出しています。共学でくせのない校風や入学レベルが公立一貫校受検者のボリュームゾーンと重なることから併願校に選ばれているものと思われます。なお2014年入試では変更はありませんが、2年後の2015年入試ではB日程を2/4→2/3、C日程は2/6→2/5とするとともにC日程の入試科目を2科→4科とする大きな変更を予定していて、周辺の学校にもかなりの影響が予想されます。2013年春の東大合格者はいませんでしたが、一橋大2名、東工大2名、北大4名、東北大3名など国公立大合格者計38名(内現役36名)で好調な進路状況を維持しており人気が続いていくものと思われます。

山手学院(横浜市栄区)は2011年から中高一貫体制の充実のためカリキュラムの改定や中学の定員増、また入試では午後入試の導入などで人気を呼んで応募者も急増しましたが、中大横浜との競合が厳しくなってきて、加えて前年に開校した横浜市立南高附との競合も強めています。また2013年は応募者が激増した湘南学園と中位層を中心に競合したようで、応募者総数で12%減でした。特に男子の減少が大きくなっています。合格者を絞っているため難易度は下がっていないようです。

関東学院(横浜市南区)は横浜三春台の丘の上のプロテスタントミッション校です。他大学進学を目指す進学校への転換が進み、現在は併設の関東学院大学への進学は5%未満です。2013年入試では中大横浜は都筑区への移転で競合は弱まったようですが、湘南学園との競合があり、前年新設の2月1日午前のAは応募者が202→184名と減ってしまいました。日曜日にもかかわらず3日に実施したCは試験日を変えた他のミッション校からの流入があり応募者がやや増加。AとDは難易度が下がっているようです。入学者では男子が大きく増え、女子は減っています。

湘南学園
湘南学園
湘南の高級住宅地として知られる鵠沼の湘南学園(藤沢市)は40%前後が併設小学校からの入学者です。ここ数年で進学校化が進み、前年春の大学合格実績が飛躍的に伸び応募者が激増しました。応募総数は929→1,581名でなんと70%増と予想をはるかに超える増加です。応募者が増えただけでなく、地元の鎌倉学園、逗子開成、鎌倉女学院、清泉女学院などはもとより、渋谷教育学園渋谷、芝などの東京の上位校との併願者が増えるなど受験生のレベルも上がり、難易度もアップしています。

森村学園(横浜市緑区)は約半分が併設小学校からの入学者のため、外部募集は90名と小規模募集の学校です。学校改革によって進学を柱とする学校への転換に成功し大学合格実績も上がってきていましたがここ数年はやや停滞気味で、同じ緑区内の神奈川大附が難関大実績を伸ばしやや差が開いた感がありました。さらに2013年入試では隣の都筑区に移転してきた中大横浜の影響を受け、帰国生を除いた応募総数が820→679名と17%減となりました。コアの受験者層は変わっていないので入学者の平均的なレベルは下がっていませんが、3回はボーダーあたりが緩和しています。しかし2013年春の大学合格実績は東工大4名、一橋大1名、阪大1名、北大2名、東北大1名、山梨大医学部1名など難関国公立大の実績が大きく伸び、国公立大合計15→26名と大幅増です。早慶上理大も42→78名、GMARCH大は94→135名と大躍進していますから2014年入試では応募者数も大きく回復するものと思われます。

桐蔭学園
桐蔭学園
桐蔭学園(横浜市青葉区)は男子校の中等教育学校と別学の中学校(男子部・女子部)がありますが、ここでは便宜上まとめて見ていきます。
中等教育学校は帰国生を除く応募者が14%減となりましたが、各回とも合格者を絞り込んだため、特に1次は倍率が4.5→6.3倍と大幅にアップしました。2013年春は大学合格実績を、東大9→13名(うち理Ⅲ現役2名)、一橋大3→4→7名など国公立大計73名と大きく回復し、トップレベルの学校と比べても遜色ありません(卒業生数171名)。2014年入試では応募者の減少傾向に歯止めがかかりそうです。

中学校の男子部は中等学校の第2志望として受験できます。2012年入試では3次を除き前年並みでしたが、2013年は4回の入試すべてで応募者減です。しかし1次、2次A・Bでは合格者を絞って難易度を維持しているようです。

中学校の女子部は理数コースと普通コースの2コースがあり、やはり後者を第2志望として受験できます。前年は応募者が大幅に減りましたが、2013年も前年ほどではありませんが減少が続いています。理数コースの1次は42名が受験して合格者が5名と厳しい入試となっていますが、全体的には前年並みの入試状況でした。

桐光学園(川崎市麻生区)は前年の大学合格実績が好調だったにもかかわらず、2013年入試では応募総数で9%減、受験総数では17%の減少です。主に上位層と下位層が減っていて、元からのボリュームゾーンのみになったような状態です。入学者の平均レベルは変わっていませんが、ボーダーで難易度がやや緩和しているようです。2013年春は東大6名東北大5名、北大2名、筑波大5名、東京外語大8名もさることながら東工大が16名と大きく伸びて注目され、2014年入試では応募者数を回復する可能性が高いでしょう。

2.首都圏主要大学系列中学の入試状況

2013年の首都圏主要大学の系列中学の入試は、昨年秋以来予想してきた通りほとんどの学校が応募者を減らしました。かつて「付属校人気」などと言われ大学系列校は多くの応募者を集めていた時期もありましたが、2012年入試から兆候が見られた「付属校ばなれ」は各学校の個別的な事情を超えた大きな流れと見ることができそうです。これはおそらく系列大学あるいは系列校、付属校の教育内容が変わったわけではなく、教育を取り巻く経済情勢、社会情勢の方が変わったためと思われます。直接的な要因として考えられるのは以下の2点です。

①学費の高さ
・・・有名私大系列校は私立中のなかでも総じて学費が高めです。一部の学校では初年度納入金が150万円を超えています。
②国公立大志向
・・・これには学費の問題だけでなく、理系志向の高まりも関連しています。ほとんどの私大は文系学部が中心で、理系学部は定員から見ても、実績からみても圧倒的に国公立大が優位です。

いずれも背景には長引く不況という経済情勢があります。このところ株価の上昇や円安など経済情勢に明るい兆しが見えてきたとはいえ、まだ一般家庭の家計に反映するまでには時間がかかるようです。
以下に早慶大系列校とGMARCH大系列校に分けて見ていきます。
数字は'12年応募者数→'13年応募者数です。

(1)早慶大系列校

・早稲田 1回 898→842名
2回 1,326→1,272名
計  2,224→2,114名(-5%)
・早稲田大学高等学院 472→352名(-25%)
・早稲田実業 男子 376→401名
女子 197→233名
計  573→634名(+11%)
・慶応義塾普通部 472→352名(-25%)
・慶応義塾中等部 男子 878→816名
女子 434→444名
計  1,312→1,260名(-4%)
・慶応義塾湘南 男子 388→373名
女子 336→340名
計  724→713名(-2%)

早稲田(新宿区)は約半数が早稲田大に進学し、残りは東大・一橋大・東工大・慶応大などに他大学進学する半付属校で、早慶大系列校のなかでは色合いが相当異なる学校です。
早大系では早稲田大学高等学院(練馬区)の25%の大幅減が目立ちます。倍率も3.2→2.4倍と低下しましたが、難易度はわずかな低下にとどまったようです。コアな第一志望層はさほど減ってはいなかったためでしょう。
大学系列校のなかで早稲田実業(国分寺市)は数少ない応募者増でしたが、これは前年の応募者の大幅減の反動と思われます。

慶応系の3校は慶応義塾中等部(港区)の女子がわずかに増えている以外は、いずれもやや応募者数を減らしていますが、難易度に影響を与えるほどではなかったようです。
ただし慶応義塾普通部(横浜市港北区)は応募者の減少はわずかですが、進学校系に回っているのか上位層が薄くなっています。
なお慶応義塾湘南藤沢(藤沢市)は2014年入試から、1次試験の2月2日は変わりませんが、その後を変更して2次合格発表を5日とし、日程を2日短縮する予定です。

(2) GMARCH大系列校

・学習院 1回 324→312名
2回 390→350名
計  714→662名(-7%)
・学習院女子 A 280→263名
B 410→400名
計 690→663名(-4%)
・明治大学付中野 1回 893→904名
2回 790→821名
計  1,683→1,725名(+2%)
・明治大学付中野八王子 1回男子 217→193名
  女子 173→169名
2回男子 239→229名
  女子 184→181名
計    813→772名(-5%)
・明治大学付明治 1回男子 506→466名
  女子 335→349名
2回男子 464→419名
  女子 333→344名
計    1,638→1,578名(-4%)
・青山学院 男子 452→275名
女子 629→427名
計  1,081→702名(-35%)
・立教池袋 1回 452→275名
2回 202→168名
計  445→434名(-2%)
・立教新座 1回 1,962→1,580名
2回 269→250名
計  2,231→1,830名(-18%)
・立教女学院 322→299名(-7%)
・中央大学附 1回男子 252→214名
  女子 235→176名
2回男子 229→217名
  女子 272→204名
計    988→811名(-17%)
・中央大学附横浜 1回男子 329→314名
  女子 247→275名
2回男子 524→527名
  女子 515→551名
3回男子 390→394名
  女子 357→404名
計    2,362→2,465名(+4%)
・法政大学第二 1回 554→600名
2回 644→625名
計  1,198→1,225名(+2%)
・法政大学 1回男子 143→118名
  女子 140→148名
2回男子 238→178名
  女子 222→209名
3回男子 182→133名
  女子 208→188名
計    1,133→974名(-14%)

GMARCH大系列校は13校ありますが、応募者が増えたのは以下の3校です。

明治大学付中野
明治大学付中野
明治大学付中野(中野区)は明大系で唯一の男子校です。8割近くが明大へ進学していますが、近年は他大学進学にも力を入れ、東大、一橋大、早慶上智大などにも実績をあげています。共学化して調布市の新校舎に移転した明治大学付明治の難易度が上がったこともあり、男子の明大系志望者には本校の人気が上がっているようです。応募者の増加は1回、2回ともさほど多くはありませんが、周辺の大学付属校のほとんどが大きく応募者を減らしていることを考えれば、なかなかの人数といえるでしょう。2010年に早大を抜いて4年連続で志願者数全国1位の明大人気に加え、この4月には明大の中野キャンパス(総合数理学部)がオープンしたのも追い風となったようです。

中央大学附横浜(横浜市都筑区)は2010年の中央大学との法人統合に続き2012年には共学化、2013年には都筑区の新校地への移転と大きな話題が続き、2012年入試では応募者が激増しました。2013年は新校舎への移転でさらに人気が上がるものと思われましたが、応募者数から見ると、男子は前年並みで女子はまだ増加傾向が続いていますが、ここ数年の人気急上昇も落ち着いてきたようです。難易度が上がってきたことにより競合校も慶應普通部、慶應湘南、フェリス女学院、横浜共立などの上位校が増え、合格者を合計で77名も増やしましたが、繰り上げ合格が48名出ています。

法政大学第二(川崎市中原区)は、共学化で人気上昇の中央大学横浜が近くに移転してきたにもかかわらず応募者数が増加しています。本校も2016年に共学化を予定しており、それに向けて新校舎が建設中で(2014年4月より教室棟の使用開始)、期待感が高まっているようです。もっとも1回の応募者には隔年現象が見られ、2013年の8%増は前年の応募者減の反動という要素もあるでしょう。また学校が所在する武蔵小杉は湘南新宿ライン・横須賀線の新駅オープン以来駅前の再開発が進み、高層マンションが続々と建設されていて人口急増地域という事情もあり、2014年入試でも目が離せない学校です。

以上の3校以外の10校は応募者を総数で減らしています。その理由の大きなところは冒頭に述べた教育をめぐる状況変化にあると思われますが、各学校の個別的な事情もありますのでいくつかの学校についてコメントしておきます。

明治大学付明治(調布市)は男女で志望動向に大きな差があり、女子の人気は根強いようです。かつて慶應中等部に次ぐ難易度だった青山学院の女子とは逆転して本校の方が上になっています。

青山学院(渋谷区)の応募者35%減は異常な事態ですが、これは昨年不祥事がマスコミで大々的に取り上げられて、大きな影響を受けたためです。事件そのものはすでに解決していて、一過性のものですから2014年入試では応募者が大きく回復するものと思われます。

立教新座(新座市)は埼玉に所在し、1月入試には多くの都内生・神奈川生が「試し受験」していましたが、ここ数年はそのターゲットが共学の進学校として大人気の栄東や開智に向かっていているため、2年連続で応募者が大幅に減少しています。しかし立教大学の人気は高く、減っているのは主に「試し受験者」で、姉妹校の立教池袋の応募動向から見てもコアな立教志望層は減っていないと思われます。とはいえ合格を945名出して入学者が154名ですから、まだまだ「試し受験者」あるいは併願受験者が多い学校で計131名が繰り上がっています。

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