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第47話 「入試要項変更から予測する2014年中学入試」
2013年9月11日
なお大手公開模試の志望動向は入試を予測するうえで重要な資料となりますが、現時点ではまだ受験生の志望校が流動的な7月段階の予備的なものしかなく、模試受験者数自体も9月以降に比べて少ないため、一部の顕著な傾向が見える学校のみ参考に見ていきます。本格的な模試動向の分析は秋以降にお伝えします。
なお今回は海外帰国子女入試と入学手続き・入学金・校納金に関係する変更については割愛しています。
(1)中学の新規開校
2013年4月は首都圏(1都3県+茨城県)では、埼玉県で私立中学が4校、茨城県で県立中等教育学校が1校、合わせて5校の新規開校がありました。2014年4月は神奈川県に公立中高一貫校が1校、茨城県に私立中学が1校で計2校が新規開校します。
注目されるのは、併設型公立中高一貫校である川崎市立川崎高校附属中学校(川崎市川崎区)です。現時点で入試を予想するのは困難ですが、昨年から行われている学校説明会には多くの参加者があり、入試では相当な応募者が集まることは間違いなさそうです。しかし公立中高一貫校は開校初年度に大量の受検生を集めますが、その多くは特に準備もせずに受ける「お試し受検生」のようで、このような受検生はほとんど適性検査に歯が立たないことが多いようです。開校2年目は、初年度入試の高倍率と適性検査の出題レベルの高さに恐れをなした「お試し受検生」が大幅に減って応募者が激減するのが通例です。結局入試レベルを決定するのは、合格圏内に入ってくる受検生のレベルです。つまり本気で適性検査対策をしてくる受検生、それに加えて私学を第一志望としながらも、公立も併願校に入れてくる受検生のレベルということになります。特に後者の受検生の割合がどの程度なのかが大きなポイントとなるでしょう。
母体校の川崎市立川崎高校について、地域の中での学校のイメージは専門学科(福祉科、生活科学科)を併設し、定時制課程を持つ学校としてのそれであり、進学校としてはあまり認知されていません。ただ母体校のイメージはあくまで過去のイメージであり、校舎も全面的に新築され、中高一貫の新しい教育が支持されれば、進学校としての期待感が生まれてくる可能性があります。 現時点では母体校のレベル、発表されている中高一貫の教育内容、地域の状況などを勘案して、先行する県立相模原中等教育学校と横浜市立南高校附属中学校よりは入学しやすいレベル、より限定すれば県立平塚中等教育学校と同等、あるいはやや上あたりと予想しています。(*募集要項の概要は前回の第46話に掲載)
このほか茨城県石岡市に英語、日本語、韓国語の3か国語に精通した豊かな人間性をもった国際人の育成を目標とした、全寮制の韓国系民族学校である青丘学院つくば中高が開校します。学校教育法第一条に基づき認可を受けた在日韓国人の民族学校としては、関東で初の開校です(関西には3校ある)。いわゆる「一条校」ですから、通常の公立高校や私立高校とおなじように日本国内の上級学校の受験資格があります。
(2)共学化
さまざまな学校改革・入試改革がありますが、なんといっても学校の在り方や入試状況への影響の大きさでは共学化が最大のものです。首都圏ではこの10数年の間に多くの男子校、女子校が共学校へ転換しましたが、2014年4月からの共学化するのは、新渡戸文化中と安田学園中高の2校です。
新渡戸文化中(中野区)は初代校長の新渡戸稲造にちなんで、2010年に東京文化から校名変更をした女子校です。もともと小規模な学校ですが、2013年入試では19名が受験し全員合格して11名が入学と生徒募集では苦戦しています。
教育内容から見て決して悪い学校には見えませんが、併設の短大があるためか4年制大学への進学の取り組みが遅れ、周辺の女子校の共学化・進学校化で受験生を奪われているのでしょう。
共学募集初年度の2014年入試は男女合わせて60名の定員。2月1日(午前・午後)、3日、5日、15日と計5回の入試で、2科目入試、4科目ベスト2入試、グローカル入試(作文とプレゼンテーション)、1科目入試(国語、算数、英語、から1科目選ぶ)、2科目ベスト1入試、さらに適性検査型入試など様な入試方法から選んで受験することになります。また特待制度があり、採用人数に定員はなく入試の得点率で決定され、その基準は入試方法ごとに基準得点が%表示で明示されています。
共学化するといっても大々的に広報活動をしてはいないようで、まだ受験生へ浸透しているとは言えないようです。今後どこまで共学化が浸透するか次第ですが、今のところ応募者が劇的に増えるようには見えません。

安田学園 安田学園(墨田区)は富士銀行や安田生命などを興した安田財閥の創設者、安田善次郎によって1923年(大正12年)に設立され今年創立90周年を迎えた男子校です。商業系の学校としてスタートし、その後高校には工業科・商業科が併設されていましたが、現在高校は普通科のみの学校です。2013年春の大学合格実績は現浪計で国公立大12名、早慶上智大30名、GMARCH大80名とすでに中堅進学校としてのポジションにつけています。また中高一貫生は「一貫部」として高校からの入学者の「高等部」とは3年間別クラスです。今春入試からは「先進コース」が新設されて「総合コース」との2本立てになり、その入試では特待生選抜を兼ねて人気を呼びました。
'14年4月の中高同時共学化にむけて、8階建ての中学棟を建設中で、’14年8月完成予定です。また本館もリニューアルされコンビニ、カフェテラス、調理室、作法室が設置されるなど施設・設備面も大きく改善されます。
先進コースの特待生は40名募集で入学金・施設設備費が免除、さらに40名中25名は原則6年間の授業料全額免除、残りの15名は原則3年間の授業料全額免除という大胆なものです。先進特待入試1回の午前入試('13年は午後入試)は公立一貫型入試ですから、公立一貫校との併願受験者が相当に集まりそうです。
男子校のイメージが強かった安田学園ですが、共学進学校に転換してどこまで人気が上がるのか今後の動向が注目されます。
なお首都圏ではありませんが、東京入試を実施している奈良県の西大和学園(奈良県葛城郡)が、2014年4月に定員40名で女子中等部を開設します。
2013年3月には東大29名、京大82名、阪大23名(現浪計)などの合格者を出しているトップレベルの学校で、東京入試は御三家などの受験生の「試し受験」が多く、今春は391名が受験。2014年は1月13日に早稲田大学を会場として実施します。 ただし実際に入学する際、女子寮がないため女子は通学生であることが条件です。
(3)入試日および定員配分の変更
①ミッション校の入試日変更
よく知られているように、プロテスタント系ミッション校はキリスト教の安息日である日曜日には入試を行わないため、例年の入試日が日曜日になる年は入試日を変更します。(カトリック系と聖公会系はこの限りではありません。)
2013年は2月3日が日曜日だったので、3日に入試を行っていたプロテスタント系ミッション校が入試日を変更しましたが、2014年の2月3日は月曜日ですから、もとに戻ってきます。これに関連した学校は
の3校です。捜真女学校については2日・3日とも変更があるので後述します。入試日が3日に戻ることによって、一時的に増えた応募者・受検者も例年並みになるのが通例ですが、東洋英和女学院Bは青山学院の入試日変更(後述)により入試日が重複して、場所的にも近いだけに多少とも影響を受けるでしょう。
なお鎌倉女学院(鎌倉市)は横浜共立学園との併願受験者が多いため、入試日の重複を避けて2次試験日が横浜共立学園Bの入試日と入れ替わります。したがって'14年は2月3日から4日に戻ることになり、昨年かなり競合した横浜市立南高校附属中(2月3日入試)との併願者が増えて大きな影響を受けることが予想されます。
次は2014年の2月2日が日曜日になるために入試日(入試時間)を変更するプロテスタント系ミッション校です。これに関連した学校は、
の6校です。青山学院は今春入試で男女ともに応募者数を大幅に減らしていますから、常識的にはリバウンドがありそうですが7月の大手公開模試ではさらに減りそうな気配です。特に女子は2年連続の大幅減になる可能性があります。
捜真女学校はAを2日から1日午後とし、Bを4日から3日に戻します。これまで午前入試しか実施してきませんでしたが、新設のCが3日午後ですから、一気に2回の午後入試の実施となります。玉川聖学院は3回を2日午後から3日の午前・午後に変更。
また2月2日の入試を午前から午後に移すミッション系の学校が目につきます。日曜日はキリスト教の安息日ですが、信者の受験生・保護者(と教職員)は午前中に教会に行き、午後は入試ということでしょう。

恵泉女学園 恵泉女学園は2月1日、2日、4日と3回の入試(すべて午前)を行っていましたが、'14年入試に限って従来通りの面接を行う午前入試のA方式1回・2回(前年の1回、3回)と、面接にかえて入試当日に志望理由や小学校生活などについて簡単な記述の自己紹介カードを提出する2日午後のS方式(前年の2回)を実施します。2日の午後入試は応募者も相当に増加しそうで、桜美林、大妻中野、東京女学館の午後入試など他校への影響も予想されます。関東学院六浦と女子聖学院も2月2日の午前入試を午後入試に変更します。
最後に女子学院(千代田区)の合格発表日についてのトピックです。 女子学院はプロテスタント系ミッション校のため日曜日には入試だけでなく合格発表も行っていませんでした。例年は2月1日に入試、2日に合格発表ですが、’14年は2日が日曜日になるため、いったん合格発表は2月3日予定と公表。しかしその後、2月2日と変更され、例年通りにもどりました(ただし午前11:00から午後1:00に変更。)。受験生の立場に配慮した措置で歓迎されます。
②男子校の入試日・定員配分変更
男子校の入試日変更で最も注目されるのは本郷(豊島区)の1日参入です。具体的には入試日と定員が以下のようになります。

本郷 今まで御三家、駒場東邦などの最難関校や海城、芝などの上位校が入試を行う2月1日を避けて上位校併願者が受験しやすい2日、3日、5日に3回の入試を行ってきましたが、教育内容の充実、進路実績の向上で人気が定着、第一志望者の増加を受けて、3日を廃止していよいよ1日に参入します。当然ながら1日は第一志望者中心の入試になりますが、1日入試でどれだけ第一志望者を集めることができるか?その難易度は?また定員減の2日の入試はどうなるか?3日の廃止の影響で5日の入試はどうなるか?といった点が気になるところです。また男子進学校で地域的にもレベル的にも競合する城北、巣鴨など他校への影響も無視できません。
7月模試では1日の志望者が500名台でかなりの人数が出ており、定員減の2日はさすがに志望者数が減っていますが、上位層は厚くなっています。まだまだ今後の変動はあるかもしれませんが、非常に勢いがあることは間違いなさそうです。また城北、巣鴨ともに1日の志望者数を減らしており、3校の間で激しく競合していることをうかがわせます。
成城(新宿区)は創立128年目を迎えた都内でも有数の伝統校です。中堅男子校のなかではやや地味な印象ですが、このところ大学合格実績が上がってきていて、今春は国公立大が東大1、東工大3、北大2などを含めて28→41名、早慶上智大は73→80名と伸びています。また新校舎が建設中で、すでに一部は完成しています。さらに大きな話題がこの4月に校長に就任した前都立小石川中等教育学校長の栗原卯田子先生で、非常に珍しい男子校の女性校長(全国初?)です。
といっても単に女性校長だから話題というだけでなく、なんといっても名門公立中高一貫校校長として成果をあげた手腕に対する期待感が大きいようです。実際に着任早々、今までまったく取り組んでこなかった海外研修やグローバル対応を立ち上げ、早くも5月13日には生徒への説明会を実施、また高3の進学指導体制の改革やスクールカウンセラーの設置など就任2か月でスピード感のある施策を開始、さらに6月中には入試要項を見直し、入試日と定員配分の変更を決定しています。
実はここ数年の入試では応募者が減少傾向にありました。おそらく成城の教育に対する評価が低くなったというより、前述の本郷や世田谷学園、高輪などの他の男子校の積極的な動きの中で埋没気味になったためと思われます。入試の変更は長年行われてきた2回入試を3回入試に増やす変更で、具体的には、
と受験機会を1回増やし、それにともなう定員配分の変更です。7月の模試データにはまだ入試要項の変更が反映されていませんが、大学実績の向上、新校舎への期待、また新校長への期待などがあいまって応募者数が回復する可能性が高く、特に2回は定員が減員されるうえ応募者増の気配があり要注意です
応募者数が3年連続で都内最多を記録した東京都市大付(世田谷区)は、昨年導入したⅡ類、Ⅰ類のコースの定員配分を変更します。Ⅱ類は最難関国公立大を目指すコース、Ⅰ類は難関国公立私大を目指すコースで、具体的には、
とⅡ類の定員増とⅠ類の定員減で、東大1名、京大2名、一橋大1名、東工大2名、東北大3名、北大2名などの大学合格実績のある学校でグレード上位のⅡ類の定員倍増ですから、人気上昇は間違いありません。

京北 2011年4月に東洋大学と法人合併した京北(北区)は現在北区赤羽の仮校舎ですが、2015年4月へ文京区白山の新キャンパス・新校舎への再移転と同時に共学化を予定しています。2012 年4月に校長に就任した前都立日比谷高校校長の石坂康倫先生をトップに学校改革が昨年から始まっていて、学年の75%が国公立大、早慶上智大、GMARCH大に進学できるような共学進学校への大転換を図っています。2014年入試はまだ男子校としての募集ですが、共学化に先行して大きな入試改革を行います。最大の変更点は5回入試を4回入試にするのと、総定員を90名から120名に増員することでしょう。
具体的には、
その他の主な変更がある学校は、
③女子校の入試日・定員配分変更
ここでは①で扱ったミッション校以外について見ていきます。
全般的な入試前倒し傾向が続いていて、受験生の多くは前半日程の入試で合格を決めて受験を終えるため、後半日程の入試は出願者が多いようでもほとんどが欠席という学校が増えています。したがって入試日の前倒し、あるいは定員配分を早い日程の入試の方に増員していく動きが今年も続いています。
また午後入試の新設や増設も相変わらず続いていますが、逆に午後入試を午前入試に戻す、または午後入試の定員を減らす動きも見受けられます。午後入試は上位校との併願者が増える代わりに手続き率が下がるので、志望順位の高い受験生中心となる午前入試に戻す、あるいは午前入試の定員を増やすのでしょう。
入試日の前倒しパターンは、跡見学園の3回、共立女子のA・B、品川女子学院の2回・3回、十文字の4回、東京家政大の3回・4回、目黒星美学園の発想力入試、2回特待、特待、カリタス女子の3回などです。和洋国府台女子は初の午後入試導入です。
また定員の前倒しパターン、つまり早い日程の入試を増員していくのは、鴎友学園女子の1回、大妻の1回、国府台女子の推薦、十文字の2回などです。

鴎友学園女子 なお鴎友学園女子は'02年入試に定員50名で2月1日に参入して以来徐々に1日の定員を増やして、'06年に100名、’10年に120名、'12年には140名と着々と増員し、1日入試校として定着をはかってきましたが、2014年は1日の1次が160名、2日の2次が40名となりますから、募集の主力は完全に1日の1次となります。すでに豊島岡女子学園とならんで桜蔭、女子学院、雙葉に次ぐ位置まできており、この3年間で東大合格者が3→4→11名、国公立大の合計で78→88→99名と大きく伸びていますから、1日の1次で入学レベルを維持しながら第一志望者を確保することができるという判断でしょう。
また学校全体の教育改革でコース制が導入される文化学園大杉並(杉並区) は今後注目を集めそうな学校です。新たに導入されるコースは
で、グローバルコースはネイティブ教員主導によるオールイングリッシュレッスンで、中学卒業時には英語で卒業論文を書き、高校のインターナショナルコースに進めば、カナダの高校との提携により約5週間のホームステイなどによって日本の高校卒業資格と同時にカナダの高校卒業資格も与えられるという、今までにない画期的なものです。これにより早大、慶応大、上智大、ICUなどを帰国生として受験できるようになります。当然入試も大きく変わり、4回の入試(実質5回)のうち第2回でグローバルコースの選抜を行ない難進グローバル入試の1が2/1P、2が2/2です。これに伴い3回は午後入試となり、5回は廃止されます。
これ以上は触れませんが、このほかにも、競合校との入試日重複を避けるために、あえて入試日を後ろに移したり、午前入試と午後入試の入れ替えなどの細かい動きも相当数あります。
④共学校の入試日・定員配分変更

開智 最初に埼玉の開智と栄東の動向を見ておきます。これは埼玉の中学入試が、圧倒的な人数の受験生を集めているこの2校を中心に動いているだけではなく、首都圏中学入試全体にも大きな影響を与えているからです。
開智(さいたま市岩槻区)は2014年入試で人気の先端創造クラスを60→120名に倍増し、一貫クラスは180→120名に減員します。また先端Aの入試日を1月12日から繰り上げて埼玉の入試解禁初日の1月10日に移動してライバルの栄東Aにぶつける大胆な入試改革です。主な変更点は、
また開智は入学金がない学校として知られていますが、すべての入試回の入学手続きの締切日が、9日が日曜日のためか2/9→2/10と1日延長されます。
栄東(さいたま市見沼区)は2013年入試で東大クラスの定員を80→120名と増員して人気をよび、応募総数が8,172→9,703名と驚異的な人数となりましたが、2014年入試では逆に東大クラスの定員を120→80名に、難関大クラスの定員を120→160名に戻します。一見すると不可解な入試変更に見えますが、これは強力なライバル校の開智との対抗関係を考えた戦略が背景にあるようです。
注目されるのは、難関Aが140名に増員されるだけでなく、東大クラスの合格を出すようになることです。つまり1月10日は難関Aと試験名称は変わりませんが、実質的に東大クラスの選抜を兼ねているわけです。しかも学校のアナウンスによれば、標準的なレベルの問題で、合格者数を増やし、半数程度は東大クラス合格を出すとのことで、受験生を極力1月10日の難関Aに誘導して、入試日が重複する開智の先端Aに対抗しようということでしょう。
最難関レベルで変更があるのは、慶應義塾湘南藤沢(藤沢市)で、2段階選抜を行っているため、入試期間が2月2日の1次試験から2月7日の2次の合格発表まで6日間かかりましたが、これを4日間に短縮します。2月2日の1次試験は変わりませんが、1次の合格発表以降に変更があります。
・1次合格発表 2/4→2/3
・2次試験 2/5(男子)、2/6(女子)→2/4(女子→男子の順に実施)
・2次合格発表 2/7→2/5
入試期間の短縮は受験生にとっては大歓迎ですが、それ以上に影響があるのは2次試験日の変更によって併願校の組み方が変わることです。
その他の学校では、
この中で入試日程の前倒しは日本工業大駒場の4回、八王子学園の2回、目白研心の2回、2回特待、特待、山手学院Cの4校で、定員の前倒しは多摩大聖ヶ丘の2回、東京成徳大の1回、東京電機大の2回、明治学院1回の4校です。山手学院Cについては競合している横浜市立南高附の入試にぶつける意図もあるようです。
また午後入試の新設(増設)はだいぶ減ってきましたが前述の八王子学園以外に以下の3校があります。
(4)入試科目の変更
①入試科目の軽量化
かつて中学受験人口が大きく増え続けていた時期には、2科入試中心だった中堅校や大学付属校にも4科入試が広がっていきました。いわゆる「入試科目の4科化」と言われた動きです。しかし受験人口もピークを過ぎたころから逆の動きが目につくようになりました。すなわち「入試科目の軽量化」で、具体的には4科→2科・4科選択→2科(→1科)という流れです。(午前入試→午後入試にともない4科→2科となる場合を除く)
男子校では前述の京北以外に、
の2校で、女子校では前述の捜真女学校の2回・4回、玉川聖学院2回のほか、
などがあります。
共学校では前述の自修館Cのほか、
などがあります。
② 入試科目の重量化
以上が「入試科目を軽量化」する学校ですが、「入試科目を重量化」(科目増)する学校も数校あります。午後入試から午前入試に変更にともなう4科化を除けば、以下の学校です。

中村 「軽量化」のところでも挙げた瀧野川女子学園は、特進コースと進学コースの入試科目を統一するための変更で、結果的には特進コースが「軽量化」、進学コースは「重量化」となります。
注目されるのは、いっきに2科から4科とする明星学園と、近年勢いのある中村で、2科・4科の選択から4科必修ですからよりハードな「重量化」です。
日本橋女学館はすべての入試回で難関大進学クラスと奨学生の選抜を行うようになるための変更です。
③適性検査型入試の導入
この数年で中堅校を中心に公立中高一貫校の入学選抜で行われている適性検査型の入試を導入する学校が増えています。いままでの通常の入試問題で見ることができない、知識集積型とは異なる思考力や表現力を適性検査で見ていこうという狙いもちろんありますが、本音は公立一貫校受検生の取り込みにあるようです。入学手続きを公立一貫校の合格発表まで待つのはもとより、前述の安田学園のような特待制度が適応される場合が多いのも当然でしょう。2014年から新規導入するのは、現在判明分すべて都内の学校で以下の7校です。
(5)総定員の削減
入試回ごとの定員配分ではなく、総定員を削減する学校があります。これは教育環境の改善を目的とする場合もありますが、名目上の定員と実際の入学者数に大きな隔たりがあり、実状に合わせて定員を減員するもので、要するに学校規模のダウンサイジングです。
桐蔭学園の女子部は2013年入試で合格者をやや絞り込みましたが、定員減でさらに合格者が絞られて厳しい入試となる可能性があります。
なお聖心女子学院(港区)は中等部の一般募集を停止して帰国生募集のみになります。
以上、2014年中学入試で現在判明している入試変更のうち、入試状況に影響がありそうな主要な学校について見てきましたが、まだ募集要項の概要しか発表されていない学校も多く、細部についてはすべてお伝えすることはできませんでした。受験にあたっては各校の正式な募集要項でご確認されるようお願いします。
なお今回は海外帰国子女入試と入学手続き・入学金・校納金に関係する変更については割愛しています。
(1)中学の新規開校
2013年4月は首都圏(1都3県+茨城県)では、埼玉県で私立中学が4校、茨城県で県立中等教育学校が1校、合わせて5校の新規開校がありました。2014年4月は神奈川県に公立中高一貫校が1校、茨城県に私立中学が1校で計2校が新規開校します。
注目されるのは、併設型公立中高一貫校である川崎市立川崎高校附属中学校(川崎市川崎区)です。現時点で入試を予想するのは困難ですが、昨年から行われている学校説明会には多くの参加者があり、入試では相当な応募者が集まることは間違いなさそうです。しかし公立中高一貫校は開校初年度に大量の受検生を集めますが、その多くは特に準備もせずに受ける「お試し受検生」のようで、このような受検生はほとんど適性検査に歯が立たないことが多いようです。開校2年目は、初年度入試の高倍率と適性検査の出題レベルの高さに恐れをなした「お試し受検生」が大幅に減って応募者が激減するのが通例です。結局入試レベルを決定するのは、合格圏内に入ってくる受検生のレベルです。つまり本気で適性検査対策をしてくる受検生、それに加えて私学を第一志望としながらも、公立も併願校に入れてくる受検生のレベルということになります。特に後者の受検生の割合がどの程度なのかが大きなポイントとなるでしょう。
母体校の川崎市立川崎高校について、地域の中での学校のイメージは専門学科(福祉科、生活科学科)を併設し、定時制課程を持つ学校としてのそれであり、進学校としてはあまり認知されていません。ただ母体校のイメージはあくまで過去のイメージであり、校舎も全面的に新築され、中高一貫の新しい教育が支持されれば、進学校としての期待感が生まれてくる可能性があります。 現時点では母体校のレベル、発表されている中高一貫の教育内容、地域の状況などを勘案して、先行する県立相模原中等教育学校と横浜市立南高校附属中学校よりは入学しやすいレベル、より限定すれば県立平塚中等教育学校と同等、あるいはやや上あたりと予想しています。(*募集要項の概要は前回の第46話に掲載)
このほか茨城県石岡市に英語、日本語、韓国語の3か国語に精通した豊かな人間性をもった国際人の育成を目標とした、全寮制の韓国系民族学校である青丘学院つくば中高が開校します。学校教育法第一条に基づき認可を受けた在日韓国人の民族学校としては、関東で初の開校です(関西には3校ある)。いわゆる「一条校」ですから、通常の公立高校や私立高校とおなじように日本国内の上級学校の受験資格があります。
(2)共学化
さまざまな学校改革・入試改革がありますが、なんといっても学校の在り方や入試状況への影響の大きさでは共学化が最大のものです。首都圏ではこの10数年の間に多くの男子校、女子校が共学校へ転換しましたが、2014年4月からの共学化するのは、新渡戸文化中と安田学園中高の2校です。
新渡戸文化中(中野区)は初代校長の新渡戸稲造にちなんで、2010年に東京文化から校名変更をした女子校です。もともと小規模な学校ですが、2013年入試では19名が受験し全員合格して11名が入学と生徒募集では苦戦しています。
教育内容から見て決して悪い学校には見えませんが、併設の短大があるためか4年制大学への進学の取り組みが遅れ、周辺の女子校の共学化・進学校化で受験生を奪われているのでしょう。
共学募集初年度の2014年入試は男女合わせて60名の定員。2月1日(午前・午後)、3日、5日、15日と計5回の入試で、2科目入試、4科目ベスト2入試、グローカル入試(作文とプレゼンテーション)、1科目入試(国語、算数、英語、から1科目選ぶ)、2科目ベスト1入試、さらに適性検査型入試など様な入試方法から選んで受験することになります。また特待制度があり、採用人数に定員はなく入試の得点率で決定され、その基準は入試方法ごとに基準得点が%表示で明示されています。
共学化するといっても大々的に広報活動をしてはいないようで、まだ受験生へ浸透しているとは言えないようです。今後どこまで共学化が浸透するか次第ですが、今のところ応募者が劇的に増えるようには見えません。

安田学園 安田学園(墨田区)は富士銀行や安田生命などを興した安田財閥の創設者、安田善次郎によって1923年(大正12年)に設立され今年創立90周年を迎えた男子校です。商業系の学校としてスタートし、その後高校には工業科・商業科が併設されていましたが、現在高校は普通科のみの学校です。2013年春の大学合格実績は現浪計で国公立大12名、早慶上智大30名、GMARCH大80名とすでに中堅進学校としてのポジションにつけています。また中高一貫生は「一貫部」として高校からの入学者の「高等部」とは3年間別クラスです。今春入試からは「先進コース」が新設されて「総合コース」との2本立てになり、その入試では特待生選抜を兼ねて人気を呼びました。
'14年4月の中高同時共学化にむけて、8階建ての中学棟を建設中で、’14年8月完成予定です。また本館もリニューアルされコンビニ、カフェテラス、調理室、作法室が設置されるなど施設・設備面も大きく改善されます。
先進コースの特待生は40名募集で入学金・施設設備費が免除、さらに40名中25名は原則6年間の授業料全額免除、残りの15名は原則3年間の授業料全額免除という大胆なものです。先進特待入試1回の午前入試('13年は午後入試)は公立一貫型入試ですから、公立一貫校との併願受験者が相当に集まりそうです。
男子校のイメージが強かった安田学園ですが、共学進学校に転換してどこまで人気が上がるのか今後の動向が注目されます。
なお首都圏ではありませんが、東京入試を実施している奈良県の西大和学園(奈良県葛城郡)が、2014年4月に定員40名で女子中等部を開設します。
2013年3月には東大29名、京大82名、阪大23名(現浪計)などの合格者を出しているトップレベルの学校で、東京入試は御三家などの受験生の「試し受験」が多く、今春は391名が受験。2014年は1月13日に早稲田大学を会場として実施します。 ただし実際に入学する際、女子寮がないため女子は通学生であることが条件です。
(3)入試日および定員配分の変更
①ミッション校の入試日変更
よく知られているように、プロテスタント系ミッション校はキリスト教の安息日である日曜日には入試を行わないため、例年の入試日が日曜日になる年は入試日を変更します。(カトリック系と聖公会系はこの限りではありません。)
2013年は2月3日が日曜日だったので、3日に入試を行っていたプロテスタント系ミッション校が入試日を変更しましたが、2014年の2月3日は月曜日ですから、もとに戻ってきます。これに関連した学校は
・捜真女学校(横浜市神奈川区) | B | 2/4→2/3 4科→2・4科 |
・東洋英和女学院(港区) | B | 2/4→2/3 |
・横浜共立学園(横浜市中区) | B | 2/4→2/3 |
の3校です。捜真女学校については2日・3日とも変更があるので後述します。入試日が3日に戻ることによって、一時的に増えた応募者・受検者も例年並みになるのが通例ですが、東洋英和女学院Bは青山学院の入試日変更(後述)により入試日が重複して、場所的にも近いだけに多少とも影響を受けるでしょう。
なお鎌倉女学院(鎌倉市)は横浜共立学園との併願受験者が多いため、入試日の重複を避けて2次試験日が横浜共立学園Bの入試日と入れ替わります。したがって'14年は2月3日から4日に戻ることになり、昨年かなり競合した横浜市立南高校附属中(2月3日入試)との併願者が増えて大きな影響を受けることが予想されます。
次は2014年の2月2日が日曜日になるために入試日(入試時間)を変更するプロテスタント系ミッション校です。これに関連した学校は、
・青山学院(渋谷区) | 2/2→2/3 | |
・関東学院六浦(横浜市金沢区) | B | 2/2→2/2P |
C | 2/3P→2/3 | |
・恵泉女学園(世田谷区) | S方式 | 2/2→2/2P |
・女子聖学院(北区) | 2回 | 2/2→2/2P 30→40名 |
3回 | 2/3P→2/3 40→30名 | |
・捜真女学校(横浜市神奈川区) | S | 70→80名 |
A | 2/2→2/1P 60→40名 4科→2科 | |
B | 2/4→2/3 4科→2・4科 | |
C | 2/3P 10名 2・4科 新設 | |
・玉川聖学院(世田谷区) | 1回 | 2/1 90名 2・4科 変更なし |
2回 | 2/1P 定員定めず→50名 2・4科→2科 |
|
3回 | 2/2p→2/3午前または2/3午後 午前 定員定めず 2科総合 午後 定員定めず 2科総合 *午前・午後どちらかを選択受験 *前年の3回は30名 |
|
4回 | 20→10名 2・4科→2科 |
の6校です。青山学院は今春入試で男女ともに応募者数を大幅に減らしていますから、常識的にはリバウンドがありそうですが7月の大手公開模試ではさらに減りそうな気配です。特に女子は2年連続の大幅減になる可能性があります。
捜真女学校はAを2日から1日午後とし、Bを4日から3日に戻します。これまで午前入試しか実施してきませんでしたが、新設のCが3日午後ですから、一気に2回の午後入試の実施となります。玉川聖学院は3回を2日午後から3日の午前・午後に変更。
また2月2日の入試を午前から午後に移すミッション系の学校が目につきます。日曜日はキリスト教の安息日ですが、信者の受験生・保護者(と教職員)は午前中に教会に行き、午後は入試ということでしょう。

恵泉女学園 恵泉女学園は2月1日、2日、4日と3回の入試(すべて午前)を行っていましたが、'14年入試に限って従来通りの面接を行う午前入試のA方式1回・2回(前年の1回、3回)と、面接にかえて入試当日に志望理由や小学校生活などについて簡単な記述の自己紹介カードを提出する2日午後のS方式(前年の2回)を実施します。2日の午後入試は応募者も相当に増加しそうで、桜美林、大妻中野、東京女学館の午後入試など他校への影響も予想されます。関東学院六浦と女子聖学院も2月2日の午前入試を午後入試に変更します。
最後に女子学院(千代田区)の合格発表日についてのトピックです。 女子学院はプロテスタント系ミッション校のため日曜日には入試だけでなく合格発表も行っていませんでした。例年は2月1日に入試、2日に合格発表ですが、’14年は2日が日曜日になるため、いったん合格発表は2月3日予定と公表。しかしその後、2月2日と変更され、例年通りにもどりました(ただし午前11:00から午後1:00に変更。)。受験生の立場に配慮した措置で歓迎されます。
②男子校の入試日・定員配分変更
男子校の入試日変更で最も注目されるのは本郷(豊島区)の1日参入です。具体的には入試日と定員が以下のようになります。
1回 | 2/1 | 80名 新設 |
2回 | 2/2 | 140→120名 |
3回 | 2/5 | 40名 |
*2/1の新設にともない2/3(定員60名)は廃止 |

本郷 今まで御三家、駒場東邦などの最難関校や海城、芝などの上位校が入試を行う2月1日を避けて上位校併願者が受験しやすい2日、3日、5日に3回の入試を行ってきましたが、教育内容の充実、進路実績の向上で人気が定着、第一志望者の増加を受けて、3日を廃止していよいよ1日に参入します。当然ながら1日は第一志望者中心の入試になりますが、1日入試でどれだけ第一志望者を集めることができるか?その難易度は?また定員減の2日の入試はどうなるか?3日の廃止の影響で5日の入試はどうなるか?といった点が気になるところです。また男子進学校で地域的にもレベル的にも競合する城北、巣鴨など他校への影響も無視できません。
7月模試では1日の志望者が500名台でかなりの人数が出ており、定員減の2日はさすがに志望者数が減っていますが、上位層は厚くなっています。まだまだ今後の変動はあるかもしれませんが、非常に勢いがあることは間違いなさそうです。また城北、巣鴨ともに1日の志望者数を減らしており、3校の間で激しく競合していることをうかがわせます。
成城(新宿区)は創立128年目を迎えた都内でも有数の伝統校です。中堅男子校のなかではやや地味な印象ですが、このところ大学合格実績が上がってきていて、今春は国公立大が東大1、東工大3、北大2などを含めて28→41名、早慶上智大は73→80名と伸びています。また新校舎が建設中で、すでに一部は完成しています。さらに大きな話題がこの4月に校長に就任した前都立小石川中等教育学校長の栗原卯田子先生で、非常に珍しい男子校の女性校長(全国初?)です。
といっても単に女性校長だから話題というだけでなく、なんといっても名門公立中高一貫校校長として成果をあげた手腕に対する期待感が大きいようです。実際に着任早々、今までまったく取り組んでこなかった海外研修やグローバル対応を立ち上げ、早くも5月13日には生徒への説明会を実施、また高3の進学指導体制の改革やスクールカウンセラーの設置など就任2か月でスピード感のある施策を開始、さらに6月中には入試要項を見直し、入試日と定員配分の変更を決定しています。
実はここ数年の入試では応募者が減少傾向にありました。おそらく成城の教育に対する評価が低くなったというより、前述の本郷や世田谷学園、高輪などの他の男子校の積極的な動きの中で埋没気味になったためと思われます。入試の変更は長年行われてきた2回入試を3回入試に増やす変更で、具体的には、
1回 | 2/1 | 100名 |
2回 | 2/3 | 140→110名 |
3回 | 2/5 | 30名 新設 |
と受験機会を1回増やし、それにともなう定員配分の変更です。7月の模試データにはまだ入試要項の変更が反映されていませんが、大学実績の向上、新校舎への期待、また新校長への期待などがあいまって応募者数が回復する可能性が高く、特に2回は定員が減員されるうえ応募者増の気配があり要注意です
応募者数が3年連続で都内最多を記録した東京都市大付(世田谷区)は、昨年導入したⅡ類、Ⅰ類のコースの定員配分を変更します。Ⅱ類は最難関国公立大を目指すコース、Ⅰ類は難関国公立私大を目指すコースで、具体的には、
Ⅱ類 | 40(1クラス)→80名(2クラス) |
Ⅰ類 | 200(5クラス)→160名(4クラス) |
とⅡ類の定員増とⅠ類の定員減で、東大1名、京大2名、一橋大1名、東工大2名、東北大3名、北大2名などの大学合格実績のある学校でグレード上位のⅡ類の定員倍増ですから、人気上昇は間違いありません。

京北 2011年4月に東洋大学と法人合併した京北(北区)は現在北区赤羽の仮校舎ですが、2015年4月へ文京区白山の新キャンパス・新校舎への再移転と同時に共学化を予定しています。2012 年4月に校長に就任した前都立日比谷高校校長の石坂康倫先生をトップに学校改革が昨年から始まっていて、学年の75%が国公立大、早慶上智大、GMARCH大に進学できるような共学進学校への大転換を図っています。2014年入試はまだ男子校としての募集ですが、共学化に先行して大きな入試改革を行います。最大の変更点は5回入試を4回入試にするのと、総定員を90名から120名に増員することでしょう。
具体的には、
1回 | 2/1 | 30→60名 |
2回 | 2/1P | 20→30名 |
3回 | 2/2→2/2P | 20名 |
4回 | 2/3→2/4 | 10名 |
5回 | 2/5 | 10名 廃止 総定員 90→120名 |
*すべての回を4科→2科・4科、ただし一貫特進コースは4科受験のみ |
その他の主な変更がある学校は、
・聖学院(北区) | 1回 60→70名 3回特待 15→10名 4回特待 15→10名 |
・日本学園(世田谷区) | SS特進① 15→20名 SS特進① 適性検査型2/1P→2/1 SS特進② 20→30名 SS特進③ 15→20名 SS特進④ 2/3→2/4P SS特進⑤ 2/5P→2/5 *試験名称は全てSS特進に統一 *総定員を100→130名に増員 |
・日本大学豊山(北区) | 1回 2/ 130→110名 2回 2/2P 20名 2科 新設 *現在仮校舎で、2015年4月に新校舎完成し文京区に戻る |
・明法(東村山市) | 定員36名の明法GE(グローバルエンデバーズ)の募集が始まり、 新たにGE入試を3回新設 1回 2/1P 20名 4科 2回 2/2 8名 4科 3回 2/2P 8名 4科 これにともない、一般クラスの入試は、 1回 2/1午前・午後計 70→50名 2回 2/2P→2/2 25→12名 3回 2/3P 13→10名 計108→72名 また帰国入試は若干名から20名に増員 *GE入試の4科は国語が40分、80点満点、 残りの3科合わせて50分、120点満点 |
・横浜(横浜市神奈川区) | 1回B 65→40名 2回 2/2→2/2P 20→30名 3回A 2/3 20名 新設 4回 2/4 15名 廃止 |
③女子校の入試日・定員配分変更
ここでは①で扱ったミッション校以外について見ていきます。
全般的な入試前倒し傾向が続いていて、受験生の多くは前半日程の入試で合格を決めて受験を終えるため、後半日程の入試は出願者が多いようでもほとんどが欠席という学校が増えています。したがって入試日の前倒し、あるいは定員配分を早い日程の入試の方に増員していく動きが今年も続いています。
また午後入試の新設や増設も相変わらず続いていますが、逆に午後入試を午前入試に戻す、または午後入試の定員を減らす動きも見受けられます。午後入試は上位校との併願者が増える代わりに手続き率が下がるので、志望順位の高い受験生中心となる午前入試に戻す、あるいは午前入試の定員を増やすのでしょう。
・跡見学園(文京区) | 3回 2/4→2/3 |
・鴎友学園女子(世田谷区) | 1回 140→160名 2回 60→40名 |
・大妻(千代田区) | 1回 110→120名 3回 50→40名 |
・共立女子(千代田区) | A 150→160名 B 110→120名 C 50→30名 |
・品川女子学院(品川区) | 2回 2/3→2/2 80→70名 3回 2/5→2/4 20→30名 |
・十文字(豊島区) | 2回 40→80、4科→2科 3回 80→40名 4回 2/4→2/3 |
・東京家政大(板橋区) | 3回 2/2P→2/2 4回 2/4P→2/3P |
・文華女子(西東京市) | 2/2Pを廃止、適性検査型2/1P→2/1 |
・目黒星美学園(世田谷区) | 発想力 2/5→2/2 |
・カリタス女子(川崎市多摩区) | 1回 50→40名 2回 40→50名 3回 2/7→2/6 |
・聖ヨゼフ学園(横浜市鶴見区) | A方式1次 2/1 15名 2.4科 変更なし B方式 2/2→2/1 10名 算数・総合 A方式2次 2/3→2/2 15名 2.4科 A方式3次 2/2P 10名 2科 新設 *2/1午前のA方式1次とB方式は併願可 |
・横浜英和女学院(横浜市南区) | A① 2/1 30名 2科・面 新設 A② 2/1P 30名 B 2/2→2/2P 30名 C 2/3P 30→20名 D 2/5 10名 廃止 |
・国府台女子(市川市) | 推薦 40→50名 2回 20→10名 |
・和洋国府台女子(市川市) | 2回 1/22P 新設 |
入試日の前倒しパターンは、跡見学園の3回、共立女子のA・B、品川女子学院の2回・3回、十文字の4回、東京家政大の3回・4回、目黒星美学園の発想力入試、2回特待、特待、カリタス女子の3回などです。和洋国府台女子は初の午後入試導入です。
また定員の前倒しパターン、つまり早い日程の入試を増員していくのは、鴎友学園女子の1回、大妻の1回、国府台女子の推薦、十文字の2回などです。

鴎友学園女子 なお鴎友学園女子は'02年入試に定員50名で2月1日に参入して以来徐々に1日の定員を増やして、'06年に100名、’10年に120名、'12年には140名と着々と増員し、1日入試校として定着をはかってきましたが、2014年は1日の1次が160名、2日の2次が40名となりますから、募集の主力は完全に1日の1次となります。すでに豊島岡女子学園とならんで桜蔭、女子学院、雙葉に次ぐ位置まできており、この3年間で東大合格者が3→4→11名、国公立大の合計で78→88→99名と大きく伸びていますから、1日の1次で入学レベルを維持しながら第一志望者を確保することができるという判断でしょう。
また学校全体の教育改革でコース制が導入される文化学園大杉並(杉並区) は今後注目を集めそうな学校です。新たに導入されるコースは
「難関進学<グローバル>コース」 | 30名 |
「総合進学<シグネット>コース」 | 110名 |
で、グローバルコースはネイティブ教員主導によるオールイングリッシュレッスンで、中学卒業時には英語で卒業論文を書き、高校のインターナショナルコースに進めば、カナダの高校との提携により約5週間のホームステイなどによって日本の高校卒業資格と同時にカナダの高校卒業資格も与えられるという、今までにない画期的なものです。これにより早大、慶応大、上智大、ICUなどを帰国生として受験できるようになります。当然入試も大きく変わり、4回の入試(実質5回)のうち第2回でグローバルコースの選抜を行ない難進グローバル入試の1が2/1P、2が2/2です。これに伴い3回は午後入試となり、5回は廃止されます。
これ以上は触れませんが、このほかにも、競合校との入試日重複を避けるために、あえて入試日を後ろに移したり、午前入試と午後入試の入れ替えなどの細かい動きも相当数あります。
④共学校の入試日・定員配分変更

開智 最初に埼玉の開智と栄東の動向を見ておきます。これは埼玉の中学入試が、圧倒的な人数の受験生を集めているこの2校を中心に動いているだけではなく、首都圏中学入試全体にも大きな影響を与えているからです。
開智(さいたま市岩槻区)は2014年入試で人気の先端創造クラスを60→120名に倍増し、一貫クラスは180→120名に減員します。また先端Aの入試日を1月12日から繰り上げて埼玉の入試解禁初日の1月10日に移動してライバルの栄東Aにぶつける大胆な入試改革です。主な変更点は、
・先端A | 1/12→1/10 | 30→85名 |
・一貫① | 1/11は変更なし | 130→85名 |
・一貫② | 1/15→1/12 | 30→25名 |
・先端B | 1/23は変更なし | 50(先端30、一貫20)→45名(先端35、一貫10) |
また開智は入学金がない学校として知られていますが、すべての入試回の入学手続きの締切日が、9日が日曜日のためか2/9→2/10と1日延長されます。
栄東(さいたま市見沼区)は2013年入試で東大クラスの定員を80→120名と増員して人気をよび、応募総数が8,172→9,703名と驚異的な人数となりましたが、2014年入試では逆に東大クラスの定員を120→80名に、難関大クラスの定員を120→160名に戻します。一見すると不可解な入試変更に見えますが、これは強力なライバル校の開智との対抗関係を考えた戦略が背景にあるようです。
・難関A | 1/10 | 100→140名(難関120、東大20) |
・東大Ⅰ | 1/11 | 80→50名(特待生) |
・難関B | 1/16 | 20→40名 |
・東大Ⅱ | 1/17 | 40→10名 |
・東大Ⅲ | 入試日2/2Pと定員の若干名は変更なし。 入試科目を「国・算」2科から「国・算」または「算・理」の選択2科に変更。 |
注目されるのは、難関Aが140名に増員されるだけでなく、東大クラスの合格を出すようになることです。つまり1月10日は難関Aと試験名称は変わりませんが、実質的に東大クラスの選抜を兼ねているわけです。しかも学校のアナウンスによれば、標準的なレベルの問題で、合格者数を増やし、半数程度は東大クラス合格を出すとのことで、受験生を極力1月10日の難関Aに誘導して、入試日が重複する開智の先端Aに対抗しようということでしょう。
最難関レベルで変更があるのは、慶應義塾湘南藤沢(藤沢市)で、2段階選抜を行っているため、入試期間が2月2日の1次試験から2月7日の2次の合格発表まで6日間かかりましたが、これを4日間に短縮します。2月2日の1次試験は変わりませんが、1次の合格発表以降に変更があります。
・1次合格発表 2/4→2/3
・2次試験 2/5(男子)、2/6(女子)→2/4(女子→男子の順に実施)
・2次合格発表 2/7→2/5
入試期間の短縮は受験生にとっては大歓迎ですが、それ以上に影響があるのは2次試験日の変更によって併願校の組み方が変わることです。
その他の学校では、
・多摩大聖ヶ丘(多摩市) | 2回 2/1P 20→30名 3回 2/2 20→15名 4回 2/2P 35→30名 |
・東京成徳大(北区) | 1回午前 2/1 50→60名 3回 2/3 20→5名 4回 2/3P→2/4 20→5名 2科→2・4科 |
・東京電機大(小金井市) | 2回 2/1P 25→30名 3回 2/2 50→45名 |
・日本工業大駒場(目黒区) | 4回 2/5→2/4 |
・八王子学園(八王子市) | 1回午後 2/1P 40→35名 2回 2/4→2/3P、20→10名 |
・明治学院(東村山市) | 1回 40→50名 2回 80→70名 |
・目白研心(新宿区) | 1回 80→70 2回 2/2P→2/2 2回特待 2/3P→2/2P |
・目白研心(新宿区) | 1回 80→70 2回 2/2P→2/2 2回特待 2/3P→2/2P 特待 2/4→2/3 |
・山手学院(横浜市栄区) | C 2/4→2/3 |
この中で入試日程の前倒しは日本工業大駒場の4回、八王子学園の2回、目白研心の2回、2回特待、特待、山手学院Cの4校で、定員の前倒しは多摩大聖ヶ丘の2回、東京成徳大の1回、東京電機大の2回、明治学院1回の4校です。山手学院Cについては競合している横浜市立南高附の入試にぶつける意図もあるようです。
また午後入試の新設(増設)はだいぶ減ってきましたが前述の八王子学園以外に以下の3校があります。
・狭山ヶ丘(入間市) | 3回 | 1/18→1/17P 15名 |
・自修館(伊勢原市) | B2 | 2/2P 15名 |
C | 2/3 20→10名 4科→2・4科 | |
・西武台新座(新座市) | 特待 | 1/11P 10名 新設 |
(4)入試科目の変更
①入試科目の軽量化
かつて中学受験人口が大きく増え続けていた時期には、2科入試中心だった中堅校や大学付属校にも4科入試が広がっていきました。いわゆる「入試科目の4科化」と言われた動きです。しかし受験人口もピークを過ぎたころから逆の動きが目につくようになりました。すなわち「入試科目の軽量化」で、具体的には4科→2科・4科選択→2科(→1科)という流れです。(午前入試→午後入試にともない4科→2科となる場合を除く)
男子校では前述の京北以外に、
・足立学園(足立区) | 3回 | 2・4科→2科 |
・明法(東村山市) | 3回 | 2・4科→2科 |
の2校で、女子校では前述の捜真女学校の2回・4回、玉川聖学院2回のほか、
・小野学園女子(品川区) | 3回 | 2・4科→2科 |
・北豊島(荒川区) | 3回 | 2科→1科(国or算) |
・ 十文字(豊島区) | 2回 | 4科→2科 |
・女子聖学院(北区) | 3回 | 2/2→2/2P 2・4科→2科 |
4回 | 2/3P→2/3 2科→2・4科 | |
・瀧野川女子学園(北区) | すべての回の特進 | 4科→2・4科 |
・トキワ松(目黒区) | 2/3P | 2科→1科(国or算) |
・日大豊山女子(板橋区) | 1回 | 4科→2・4科 |
3回 | 4科→2・4科 |
などがあります。
共学校では前述の自修館Cのほか、
・順天(北区) | 3回 | 4科→2・4科 |
・玉川学園(町田市) | 1回 | 4科→2・4科 |
・鶴見大附(横浜市鶴見区) | 難関2回 | 4科→2・4科 |
・東京農大三(東松山市) | 4回 | 4科→2・4科 |
などがあります。
② 入試科目の重量化
以上が「入試科目を軽量化」する学校ですが、「入試科目を重量化」(科目増)する学校も数校あります。午後入試から午前入試に変更にともなう4科化を除けば、以下の学校です。
・瀧野川女子学園(北区) | すべての回の進学 | 2科→2・4科 |
・東京家政学院(千代田区) | 1回午後A 2/1P | 2科→2・4科 |
・中村(江東区) | 1回特待 2/1P | 2・4科→4科 |
2回特待 2/2P | 2・4科→4科 | |
・日本橋女学館(中央区) | A① 2/1 | 2科→2・4科 |
・日本橋女学館(中央区) | B① 2/2 | 2科→2・4科 |
・明星学園(三鷹市) | B | 2/1P2科→4科 |

中村 「軽量化」のところでも挙げた瀧野川女子学園は、特進コースと進学コースの入試科目を統一するための変更で、結果的には特進コースが「軽量化」、進学コースは「重量化」となります。
注目されるのは、いっきに2科から4科とする明星学園と、近年勢いのある中村で、2科・4科の選択から4科必修ですからよりハードな「重量化」です。
日本橋女学館はすべての入試回で難関大進学クラスと奨学生の選抜を行うようになるための変更です。
③適性検査型入試の導入
この数年で中堅校を中心に公立中高一貫校の入学選抜で行われている適性検査型の入試を導入する学校が増えています。いままでの通常の入試問題で見ることができない、知識集積型とは異なる思考力や表現力を適性検査で見ていこうという狙いもちろんありますが、本音は公立一貫校受検生の取り込みにあるようです。入学手続きを公立一貫校の合格発表まで待つのはもとより、前述の安田学園のような特待制度が適応される場合が多いのも当然でしょう。2014年から新規導入するのは、現在判明分すべて都内の学校で以下の7校です。
・桜華女学院(東村山市) | 2回 | 2/4 | 1・2回あわせて40名 |
・神田女学園(千代田区) | 特進特待① | 2/1P | 2/1午前・午後あわせて50名 |
・啓明学園(昭島市) | 1回午後 | 2/1P | 1回午前・午後とあわせて50名 |
・駒沢学園女子(稲城市) | A午前 | 2/1 | 10名 |
・千代田女学園(千代田区) | 1回午後B | 2/1P | 10名 |
・トキワ松学園(目黒区) | 適性検査型 | 2/2 | 10名 |
・武蔵野東(小金井市) | 1回午後 | 2/1P | 午前・午後と合わせて35名 |
4回 | 2/11 | 若干名 |
(5)総定員の削減
入試回ごとの定員配分ではなく、総定員を削減する学校があります。これは教育環境の改善を目的とする場合もありますが、名目上の定員と実際の入学者数に大きな隔たりがあり、実状に合わせて定員を減員するもので、要するに学校規模のダウンサイジングです。
・川村(豊島区) | 150→40名+若干名 |
・昭和女子大附昭和(世田谷区) | A 70→60名 B 70→60名 C 40名で変更なし 計 180→160名 |
・桐蔭学園女子部(横浜市緑区) | 普通コース 140→75名、帰国 10→5名 理数コース 35→40名、帰国 5→5名 計 190→125名 |
・明星(府中市) | 1回 90→80名 2回 20→10名 3回 10名で変更なし 計 120→100名 |
・横浜英和女学院(横浜市南区) | A 50→60 B 30→30 C 30→20 D 10→廃止 帰 10→10 計 130→120 |
*5校とも定員は併設小からの進学予定者を除いた人数です。 |
桐蔭学園の女子部は2013年入試で合格者をやや絞り込みましたが、定員減でさらに合格者が絞られて厳しい入試となる可能性があります。
なお聖心女子学院(港区)は中等部の一般募集を停止して帰国生募集のみになります。
以上、2014年中学入試で現在判明している入試変更のうち、入試状況に影響がありそうな主要な学校について見てきましたが、まだ募集要項の概要しか発表されていない学校も多く、細部についてはすべてお伝えすることはできませんでした。受験にあたっては各校の正式な募集要項でご確認されるようお願いします。