
トップページ > コラム「そうだったのか!中学入試」第51~60話 > 第51話 「2014年中学入試予想 第2弾 ――10月公開模試から入試動向を読む――」
第51話 「2014年 中学入試予想 第2弾 ――10月公開模試から入試動向を読む――」
2013年12月3日

1.男子校・・・2013年12月3日更新
2.女子校・・・2013年12月6日更新
3.共学校・・・2013年12月10日更新
今回は前回につづき10月の大手公開模試データから2014年中学入試を予測します。9月からの変化が見られる学校および注目される中堅校(男子校・女子校・共学校)を中心に見ていきます。また前回と同様に早慶大やGMARCH大の系列校については最後にまとめて見ます。
10月の大手公開模試受験者総数は43,416名で前年比5.7%減と9月の3.7%減より減少幅がやや大きくなっています。10月は台風の影響で学校説明会を中止した中学校もかなりありましたが,運動会の日程が順延になった小学校も多かったとのことで,模試を受験できなくなった受験生もかなりいたことも一因かもしれません。また9月に引き続き女子の方の減少が大きく,男子が4.5%減に対し女子は7.0%減となっています。なお各学校の志望者の増減の数値は前年同月実施模試の志望者との対前年比(%)です。
1.男子校
(1)東京の男子校
最上位校の志望動向で9月から10月へかけての変化は以下のようになっています。
一般に上位校の志望者数は入試に近くなるにつれて減っていきます。これはもちろん受験生・保護者が模試の結果を踏まえて現実的な判断をするようになって志望校が修正されていくからです。この4校の志望者合計は9月から10月で4,003→3,561名で11%減ですが,昨年は7%減でしたから今年はこの1月での減少がかなり大きくなっています。前年との同月比較でみると,9月段階での4校の志望者数合計は今年と前年でほとんど同数(0.4%減)でしたが,10月では3,739→3,561名と5%減と相当な減少になりました。麻布の志望者が大きく減っていますが,これは1つの模試で志望者が極端に減っているためで,その模試の個別的事情があるのかもしれません。開成は微減,武蔵は勢いがあり9月よりさらに増え,駒場東邦は変化なしです。

本郷 この4校に次ぐ学校の中で最も目立つのは,前回も最も注目される学校として紹介した,2月1日入試に参入する本郷(豊島区)です。9月から10月へかけて志望者数がさらに増えていて,
と3回とも大きく増えていて,3回の合計では16%増です。また入試日が変わるため,志望者数を試験回ではなく入試日別に同じ10月の志望者の前年比をみると,
と10%増です。第一志望者中心となる初参入の1日が507名も集まっていて,難関校との併願者が多い2日も18%増の796名ですから,その勢いは大変なものです。なお5日の3回も増えていますが,多くは1・2回志望者と重なっているでしょう。
その他では,城北(板橋区),巣鴨(豊島区)が9月と変化なしで,早稲田(新宿区),海城(新宿区),芝(港区),桐朋(国立市),東京都市大付(世田谷区)はやや減っています。 さらに目につくところでは,世田谷学園(世田谷区)が9月から10月にかけて,
と志望者の減少が大きくなっていますが,これは世田谷学園の難易度が上がってきているために,本郷の志望者増と考え合わせれば,中位以下の受験生が世田谷学園→本郷と動いている可能性が高いでしょう。
中堅レベルで目につくのは,芝浦工大(板橋区),聖学院(北区),高輪(港区),獨協(文京区)の4校です。

芝浦工大 城北,巣鴨,本郷などの男子校同士の競合が厳しい地域にもかかわらず,芝浦工大は2年連続で応募者を増やし,10月模試の志望者数も3回の入試すべてで志望者数を増やしています。城北地区の注目校ですが,この秋に2017年4月に江東区豊洲への移転が発表されました。校地移転で受験生のエリアが大きく変わることが予想され,今後の推移を見ていく必要があるでしょう。
都内の男子校には珍しいプロテスタント・ミッション校の聖学院は午後の特待入試が人気を呼んでいるようです。他の回は模試データが少ないので割愛しましたが,確実に受験生を集めて増加の可能性が大です。
高輪は2012年春の大学合格実績が東大3名など好調で,2013年入試では応募者が31%増と大人気となりました。今春も東大2名,京大,阪大,東北大,一橋大,東工大各1名など引き続き大学合格実績が好調を維持してさらに人気が上がっているようです。特に10月模試のAの志望者数の増加が大きく,志望順位の高い受験生が増えていることがうかがえます。
獨協は小規模校のため目立ちませんが医学部志望者が多く,大学合格実績の良い学校です。今春は193名の卒業生で国公立大21名(14名),早慶上智大42名(29名),医学部は系列の独協医大の6名を含めて26名(11名)でした。(( )内は現役)
2012年入試では応募者を総数で14%減らしましたが,10月模試での志望者を見ると応募者数を大きく回復しそうです。
(2)神奈川・埼玉の男子校
上位の4校の9月から10月にかけての志望者数の推移は

逗子開成 と上位3校については9月の志望動向がそのまま続いていますが,サレジオ学院の減少が大きいのは気になるところです。中堅レベルでは話題の逗子開成の大きい伸びが注目されますが,模試だけでなく文化祭来場者も2日間で6,469名と大盛況でした。またライバル関係にある鎌倉学園も健闘していて注目されます。
次に埼玉の男子校を見ておきます(千葉には男子校がありません)。
2.女子校
今回は前回の男子校に引き続き女子校の志望動向を見ていきます。各学校の志望者の増減の数値は前年同月実施模試の志望者との対前年比(%)です。なお前回の冒頭で触れたように10月模試の総受験者数が前年比5.7%減で,そのうち女子の総受験者数は7.0%減と減少幅が大きかったため,学校別,試験回別でも志望者数を減らしている学校が多くなっています。
(1)東京の女子校
最上位校の志望動向で9月から10月へかけての変化は以下のようになっています。

女子学院 この3校の志望者合計は9月から10月で2,180→1,961名で10%減ですが,昨年は8%減でしたから今年はこの1か月で減少幅がやや大きくなっています。前年との同月比較でみると,9月の段階では4校の志望者数合計は今年と前年でほとんど同数(1%増)でしたが,10月では1,993→1,961名と2%減でわずかに減少となっています。桜蔭は微増から4%減に転じ,女子学院もやや減っていますが,難易度に影響があるようなものではありません。雙葉はほとんど先月と変わっていません。上記3校に続く上位校の9月から10月にかけての志望状況の変化は以下の通りです。
この中で注目されるのは,鴎友学園女子1次が106→110%,吉祥女子1回は103→107%と増加し,さらに光塩女子学院1回は93→104%と大幅増です。逆に東洋英和女学院Aは108→101%,晃華学園1回は73→63%と相当な減少です。特に晃華学園1回の減少は大きく,第50話でも述べたように上位層が吉祥女子や鴎友学園女子,中堅層は大妻多摩,恵泉女学園などの競合校に回っている可能性が高そうです。
次に中堅レベルで主な学校の9月から10月にかけての志望状況の変化は以下の通りです。

昭和女子大 この中で注目されるいくつかの学校について見てみましょう。全体的に9月から10月にかけて志望者の前年比が下がっている学校が多い中で,第50話でも注目した大妻多摩と恵泉女学園がさらに勢いを増しています。とりわけ恵泉女学園の2月1日のA1回は97→137%,2日午後のSは171→194%と大幅な増加です。1日のA1回の急増は2日午後のSの導入が契機になっていることは間違いないでしょう。午後のSは鴎友学園女子,吉祥女子などの上位校との併願者が多いものと予想されます。昭和女子大と山脇学園は9月からやや減っていますが,まだまだ勢いのあるところを見せています。昭和女子大は今春入試で応募者が大幅に減った反動ですが,総定員の削減によりA,Bはそれぞれ70→60名に減員されますから入試状況が厳しくなるものと予想されます。また山脇学園は学校改革が非常に高い評価をされていて(第50話参照),今春入試で応募総数が37%増,実受験者では56%増と驚異的に伸び難易度も上昇しましたが,さらにこれを上回る可能性大です。その他は変化なしの学校が若干ありますがほとんどが減り気味で,特に田園調布学園と三輪田学園の減少が大きいのは気になるところです。
(2)神奈川の女子校
神奈川の最上位の女子校は,いずれも横浜山手の丘(横浜市中区)の上にある創立100年を超えるミッション校です。9月から10月にかけての志望状況の変化は以下の通りです。
2月1日のこの3校の10月模試志望者の合計(3日の横浜共立Bを除く)の前年比は1,338→1,028名で23%減です。また9月から10月にかけての変化は1,273→1,028名で19%減と相当な減少です。第50話で述べたように,この最上位層の減少は,3校とも減っているところから,3校の中での志望者の移動ではなく他の要因と思われ,神奈川の女子受験生自体の減少と都内有力校への流出などが考えられます。フェリス女学院は特に減少が大きく,もしこのまま入試を迎えれば難易度の低下は確実です。横浜雙葉も緩和した入試になる可能性が高そうです。
以上の最上位3校に次ぐ女子校の9月から10月にかけての変化は,

鎌倉女学院 この中では鎌倉女学院2回の92→123%,日本女子大附1回の98→105%と大きく増加しているのが注目されます。なお洗足学園の1回,2回は志望者が減っていますが上位層が厚くなっていて,むしろ難易度が上昇する可能性があり要注意です。
その他の中堅校では,
神奈川の中堅女子校は9月模試では志望者前年比を増加とした学校が目立ちましたが、10月に入ると一転して減少に転じた学校が増えています。
その中で聖セシリア女子1回の99→120%と大幅な増加が注目されます。1回で大きく増えていることから志望順位の高い受験生が増えているものと思われます。
神奈川学園はA1が減っていますが他の入試回の志望者は相変わらず前年比プラスです。午後入試のA2が増えていることから上位層の増加が予想されます。
横浜女学院は県内の中堅女子校でもっとも応募者数が安定していて,実受験者数は2年連続の増加です。10月模試の志望者はC以外が減っていますが,増加基調は変わっていません。
清泉女学院はこのところ隔年現象があり来年は増加が予想される年ですが,10月模試で見ると前年並みの入試になりそうな気配です。
以上の中堅レベルの女子校は10月模試で志望者減が目立ちますが,上位校と違い中堅レベルの学校はこの時期では志望状況がまだ流動的で,11月,12月さらに年明けまで変動する可能性があるため今後の推移を見守っていく必要があります。
(3)埼玉・千葉の女子校
以下については10月のデータのみで見ていきます。埼玉の女子校は次の3校です。

浦和明の星 カトリック・ミッション校の浦和明の星女子は都内トップ女子校との併願者が多く,県内の有力共学校の影響は小さいようです。模試の総受験者中の女子の減少率7%からすれば1回の6%減は世間並ということでしょうか。
大妻嵐山2回が23%も増えていますが,これは入試日を1月24日から17日に1週間早めたのが功を奏しているようです。今春入試まで1月14日から24日まで間が空きすぎていてその間に多くの学校が入試を行っていますから、24日が遅すぎだったということでしょう。なお2回と3回は大宮の試験会場がありませんのでご注意ください。
千葉の女子校は次の3校です。
千葉の私立中学入試では推薦入試(第一志望入試)を実施している学校があります。推薦入試は模試データがありませんが,国府台女子学院の推薦は出願を締め切っていますのでここでお伝えしておきます。ここ数年好調な大学合格実績や新校舎完成などで応募者が212→222→240名と増加しつづけ,推薦の定員を40→50名に増員しましたが,出願数は222名と7%減になり入試状況は若干の緩和が予想されます。一般入試1回・2回とも志望者が減っていますが,2回は定員が20→10名と減員されるためです。1回の減少は都内の「試し受験」のターゲットが千葉より日程が早い埼玉の学校にシフトしてきているのと,中堅レベルの受験生の共学志向などの要因が考えられます。

聖徳大附女子 聖徳大附女子は今春,S選抜を新設し,選抜,進学と併せて3コース制となりましたが,1回午前は上位グレードのS選抜のみ,午後はS選抜と選抜の入試としたため,相当数の受験生が他校へ流れたようです。2014年入試では大きく入試要項を変えて,1回午前・午後ともに3コースの選考を行うようになりましたから,受験生が戻ってきているようです。
次回は10月模試から共学校および大学付属校(系列校)の志望動向を見ていきます。
3.共学校
今回は前回の女子校に引き続き共学校の志望動向を見ていきます。また大学付属校については最後にまとめて見ていきます。なおMは男子,Fは女子で,各学校の志望者の増減の数値は前年同月実施模試の志望者との対前年比(%)です。
(1)東京の共学校
都内の主な共学校の9月から10月にかけての志望者数前年比の推移は以下の通りです。
都内の共学進学校トップの渋谷教育学園渋谷は男子が1回で大きく減り,3回でも減っていますが,1回の大幅減は武蔵などの男子校との競合によるものでしょう。女子は1回・2回で9月から大きく増加していますが,桜蔭,女子学院,豊島岡女子などの女子校から少しずつ回ってきているものと思われます。
国学院久我山は今春の国公立大や早慶上智大の合格実績が振るわなかったためか,男子は5回の入試すべてで志望者減,女子も1日午前の1回以外は志望者減です。男子校の東京都市大付,女子校の恵泉女学園,光塩女子学院,共学校の帝京大学,あるいは法政大学,成蹊などの大学付属校との競合によるものと思われます。
穎明館は9月に大きく増えていた1回の男子が減って,逆に9月に大きく減っていた1回の女子が増えてきました。受験生(保護者)が模試の志望者数を見て志望校を修正してきますから,今後も多少の上下はあるでしょうが,この2年応募者増が続き難化していましたから少し落ち着いた入試になりそうです。
帝京大学は系列大への推薦入学者が0名と100%他大学受験で多摩地区では穎明館と並ぶ共学進学校です。学校規模が小さく今春卒業生は170名で,東大は1名ながら,現役の国公立大63名,早慶上智大132名と合格実績を伸ばして,10月模試の1回男女の志望者が大きく伸びています。
桜美林は第50話でお伝えした理由で志望者数が大きく減っていますが,さすがに減りすぎていた1回AMと2回AMの男子はかなり回復しています。とはいえ全体として前年志望者の7割台という状況が入試まで続きそうです。前回予想したように緩和した入試になるのは確実でしょう。
青稜は入試回ごとに男女で志望者の増減が上下していますが,全体的には女子の勢いが優勢に見えます。特に午後入試の1回Bと2回Bでその傾向が顕著で女子の上位層が厚くなっているようです。
東京都市大等々力の女子の志望者数は5回の入試のうち2回が前年を上回っていますが,男子は5回の入試すべてで志望者数が前年を下回っています。共学化以来3年間応募者数が右肩上がりで伸びてきましたが,4年目となり志望者数の伸びは落ち着いてきています。この3年間で相当に難易度が上昇したので,減っているのは主にチャレンジ層でしょう。

かえつ有明 今年の入学者から別学授業になって人気を呼んだかえつ有明は2月1日午前・午後は減っていますが,他の回では志望者数が大きく前年を上回っています。今春入試で応募者が大幅に増加しましたが,さらにそれを上回る応募者増が予想されます。
(2)神奈川の共学校
神奈川の主な共学進学校の9月から10月にかけての志望者数前年比の推移は以下の通りです。なお神奈川大附と関東学院は併設大への進学者がほとんどいないため,実態に合わせて進学校として考えます。
神奈川大附と森村学園は9月から10月にかけて模試の志望者数がやや減っています。
湘南学園は男子の増加,特に10月の前年比でBの62%,Dの57%と大幅な増加は他校には見られないものです。ただし女子はやや減り気味です。

桐蔭学園 桐蔭学園は別学の中学校と男子校の中等教育学校は別の学校ですが,入試は一体的に行われているため,ここでまとめて見ておきます。(表中のM,Fは中学校の男子部,女子部,理数は中学女子部の理数コースです)前回は今のところ減少傾向に歯止めがかかっていませんと書きましたが,10月の志望者数は男子の中等教育学校と女子は1回の普通コースを除き普通,理数コースとも大きく志望者数を回復しています。今春は合格者が絞り込まれて厳しい入試となりましたが,来年は合格者を増やすとアナウンスしており受験生に好感されているのでしょう。
女子の応募者の減少傾向が続いていた桐光学園は9月模試では3回の入試で男女とも志望者数が増加に転じ、10月では1回の男子以外で9月の前年比を上回っています。
山手学院は国際色豊かな共学の中堅進学校として人気の高い学校ですが,10月の志望者では女子の減少が目立ちます。Cの大幅減は入試日の前倒しと定員減のためです。
(3)埼玉の共学校
埼玉の主な共学進学校の9月から10月にかけての志望者数前年比の推移は以下の通りです。
この2大ライバル校の基本構図は9月と変わっていませんが,埼玉の入試解禁初日の1月10日で入試日が重なった開智先端Aと栄東Aは男子で栄東の優位が広がっています。開智先端の男子が大きく減り,栄東Aの男子が相当増えたため差を広がっています。ただし後半の入試では開智の女子は増加,栄東の女子は減少が見られます。
西武学園文理は県西部の最有力校ですが,開智と栄東に押されているのか苦戦が続いています。試験回によって増減がありますが,男子は減少が目立ちます。
浦和実業は9月から10月にかけてすべての試験回で志望者数が減っています。このままいけばかなり緩和した入試になりそうです。
大宮開成の1回特進は40→35名の減員,1回英数は25→35名と増員,2回は1月16日から14日に前倒しの上,15→10名と減員です。新設の特待選抜の志望者は10月段階で男女合わせて150名前後です。
春日部共栄はグローバル・エリート(GE)クラスを新設しますが,発表が遅かったため模試の志望者数にはほとんど反映されていないようです。上記の数字は一般クラスであるグローバル・スタンダード(GS)クラスのものです。
ここで今春新規開校した埼玉の共学校4校のうち2校の10月段階の志望状況をお伝えしておきます。

狭山ヶ丘 狭山ヶ丘は志望者数が前年を大きく上回っています。これは今春の東大1名,一橋大1名,東工大1名,北大1名など難関国立大の合格者を出したことで人気が上がっていることもありそうです。
武南は4校の中では東京に近く今春入試で最も応募者を集めましたが,競合校が多いこともあってか,2年目は初年度ほどの志望者が集まっていません。今後多少増えても初年度の応募者数を超えるのは難しそうです。
国際学院(北足立郡)と東京成徳大深谷(深谷市)の2校はデータ件数が少ないので割愛しますが,今年度同様に小規模な入試になりそうです。
(4)千葉・茨城の共学校
千葉・茨城の主な共学進学校の10月の志望者数前年比は以下の通りです。なお数値に男女計と男女別が混在していますが,これは元になる模試データのためです。
千葉御三家ともいわれる,渋谷教育学園幕張,市川,東邦大東邦の3校はいずれもほぼ前年並みの志望状況です。渋谷教育学園幕張と市川は1回がやや減っていますが上位層が増えていて,減っているのは主にチャレンジ層のようです。
昭和学院秀英はここ2年ほど応募者の減少が続いていましたが,難関国公立大の実績が躍進して,男女とも志望者数を伸ばしています。なお1回は第一志望入試で上記の模試データにはありませんがすでに出願が締め切られ,男子244(250)名,女子269(280)名,計513(530)名で前年比97%と微減となっています。(( )内は前年応募者数)

芝浦工大柏 芝浦工大柏は系列大への推薦入学が9%でほとんどが他大学進学で,2年連続で東大合格を出し,さらに東北大5名,筑波大4名,千葉大16名など難関国公立大の実績を伸ばし人気が上がっています。1回の志望者が若干減っていますが,減っているのは男子で女子は増えています。1回男子の減少は今春入試の1回で577→710名と激増した反動と思われます。
専修大松戸は3回の女子以外で志望者増と好調です。今春入試で男子の受験者数を減らしましたが、10月模試の志望者から見ると確実に回復しそうです。
ここで,本文で触れることのできなかった千葉の推薦入試(専願入試,第一志望入試,女子校を含む)の最終応募者数の判明分をお伝えしておきます。(( )内は前年応募者数,%は前年比)
(5)大学付属校
ここで大学付属校(大学系列校)についてまとめて見てみます。あらかじめ全体的な特徴を述べておきます。この2年間ほとんどの有名大学付属校(系列校)は応募者数を減らしていました。おそらく大学付属校は私立中学のなかでも総じて学費水準が高いこと,また6年後に国公立大や医学部などの多様な進路選択のため進学校を選ぶ受験生・保護者が増えたといったことが背景にあったと思われます。ところが,ここへ来ていくつかの大学付属校では志望者数を回復しつつあり,特に男子にその傾向がはっきり見られます。これが単に応募者減に対する反動なのか,経済状況等を反映したものか,各校の個別的な事情もあり判断は難しいところです。なお前回は早慶大,GMARCH大系列校に絞りましたが,今回はそれ以外の主な学校についての模試データも掲載します。
まず早慶大系列校から見ていきます。

慶應普通部 慶應普通部は2012年に応募者が大幅に減りましたが今春入試では微減。9月模試でも志望者微減でしたが10月で志望者数の前年比がプラスに転じました。人数が増えているだけでなく,ボーダー周辺が厚くなっていますから厳しい入試となる可能性が高いでしょう。
慶應中等部は9月から10月にかけて男女とも前年比が下がっています。女子は2010年から3年連続で応募者を減らし,今春入試ではわずかながら回復しましたが,10月模試データから見ると再び大きく減少に転じそうです。しかし減っているのはチャレンジ層でボーダーより上の層は変わっていませんから難易度への影響はほとんどないでしょう。
慶応湘南藤沢も9月から10月にかけて男女とも志望者の前年比が下がっています。女子はボーダーあたりがやや薄くなっていて,わずかに緩和する可能性があります。
早大高等学院はこの2年間で応募者が536→472→352名大きく減りましたが,さすがにここまで減ると反動があるのか,9月模試の志望者は13%増、10月ではさらに増えて18%増となり前年の応募者数を大きく超える入試になりそうです。ただし上位層は増えておらず,増えているのは中位以下の層ですから難易度の変動はなさそうです。
早稲田実業の男子は応募者数に隔年現象があり来春は減る年にあたりますが,早大高等学院への流れもあるようで10月の志望者は前年比で17%減です。女子は9月から10月にかけて志望者がかなり減って前年比28%減となっています。2013年入試では女子の合格者が絞られて倍率が上昇し難化したため敬遠されているためでしょう。2014年入試では2012年並みの難易度にもどる可能性大です。
次にGMARCH大系列校について見ていきます。

学習院 学習院は10月で志望者が大きく増えています。GMARCH大の系列校の中では最も進学色が強く,併設大学への推薦率は46%で,半数以上は他大学進学です。今春の卒業生は190名で主な他大学は東大5名,京大1名,一橋大4名,東工大3名,早慶上智大110名などと好成績で,これが人気上昇の主要因でしょう。
明大明治の女子1回の増加と2回の減少は青山学院の入試日が2日から3日に移動するのに関連したものでしょう。女子の2回はやや緩和する可能性があります。
明中八王子の男子は1回,2回とも志望者の前年比が上がっているのが目につきます。
青山学院は2月2日の日曜日を避けて3日に入試日を移動します。男女ともこの2年間応募者の減少が続いていましたが,10月模試の志望者で男子は前年比を上回りました。しかし女子は減少幅を縮小していますがまだ前年比マイナス14%です。また女子は上位層が薄くなっていて難易度が若干低下する可能性があります。
立教池袋は2日の1回が大きく増えています。立教は青山学院と同じプロテスタントのミッション校ですが聖公会系のため日曜日にも入試を行います。そのため2014年は青山学院と入試日がずれるので志望者が増えているものと思われます。
立教女学院は東京西部で最もブランドイメージの高い女子校ですが,ここ2年間応募者の減少が続いています。立教大学とは別法人ですが系列校として60%以上の推薦枠があり,他大学進学でも今春は192名の卒業生で東大1名,一橋大1名,東工大1名,東京外語大1名,早慶上智大53名(浪人を含む)と悪くないのですが,10月模試の志望者は前年比16%減とかなりの減です。地元の杉並区やとなりの世田谷区からの受験生が多く,地域が重なる吉祥女子や,鴎友学園女子との競合が強くなっているためでしょう。入試では難易度が緩和する可能性があります。
中央大学横浜は今春入試で共学化以来の勢いが落ち着いてきましたが,10月では男女ともやや増加しています。今のところすべての回で男女とも前年比を下回っていますが,減っているのは中位以下の層ですので難易度の低下はないでしょう。
法政大学はこの2年間応募者の減少が続き,9月模試でも前年比を下回っていましたが,10月に入って志望者の前年比が大きく上がり1回,3回は前年比を上回っています。この志望者急増の要因はわかりませんが,このままいけば少なくとも1回の難易度は上昇する可能性が高いでしょう。
次は成蹊と成城学園という似たタイプの2校です。
成蹊は今春入試で応募者が1回18%減,2回20%減となりましたが,10月模試では1回は大きく復調していますが,2回は9月より前年比が下がっています。
成城学園の女子は2年連続で応募者が大きく減少しました。模試では9月にいったん復調しましたが,10月模試では大きく減っています。
最後に日大系と東海大系の9月から10月の志望者数前年比の推移のみ掲載しておきます。
10月の大手公開模試受験者総数は43,416名で前年比5.7%減と9月の3.7%減より減少幅がやや大きくなっています。10月は台風の影響で学校説明会を中止した中学校もかなりありましたが,運動会の日程が順延になった小学校も多かったとのことで,模試を受験できなくなった受験生もかなりいたことも一因かもしれません。また9月に引き続き女子の方の減少が大きく,男子が4.5%減に対し女子は7.0%減となっています。なお各学校の志望者の増減の数値は前年同月実施模試の志望者との対前年比(%)です。
1.男子校
(1)東京の男子校
最上位校の志望動向で9月から10月へかけての変化は以下のようになっています。
麻布(港区) | 111%→96% |
開成(荒川区) | 93%→91% |
武蔵(練馬区) | 120%→125% |
駒場東邦(世田谷区) | 86%→86% |
一般に上位校の志望者数は入試に近くなるにつれて減っていきます。これはもちろん受験生・保護者が模試の結果を踏まえて現実的な判断をするようになって志望校が修正されていくからです。この4校の志望者合計は9月から10月で4,003→3,561名で11%減ですが,昨年は7%減でしたから今年はこの1月での減少がかなり大きくなっています。前年との同月比較でみると,9月段階での4校の志望者数合計は今年と前年でほとんど同数(0.4%減)でしたが,10月では3,739→3,561名と5%減と相当な減少になりました。麻布の志望者が大きく減っていますが,これは1つの模試で志望者が極端に減っているためで,その模試の個別的事情があるのかもしれません。開成は微減,武蔵は勢いがあり9月よりさらに増え,駒場東邦は変化なしです。

本郷 この4校に次ぐ学校の中で最も目立つのは,前回も最も注目される学校として紹介した,2月1日入試に参入する本郷(豊島区)です。9月から10月へかけて志望者数がさらに増えていて,
本郷(豊島区) | |
1回 | 451→507名 | 2回 | 600→796名 |
3回 | 930→995名 |
計 | 1,981→2,298名 |
と3回とも大きく増えていて,3回の合計では16%増です。また入試日が変わるため,志望者数を試験回ではなく入試日別に同じ10月の志望者の前年比をみると,
1日 | 0→507名 |
2日 | 677→796名 |
3日 | 494→0名 |
5日 | 909→995名 |
計 | 2,080→2,298名 |
と10%増です。第一志望者中心となる初参入の1日が507名も集まっていて,難関校との併願者が多い2日も18%増の796名ですから,その勢いは大変なものです。なお5日の3回も増えていますが,多くは1・2回志望者と重なっているでしょう。
その他では,城北(板橋区),巣鴨(豊島区)が9月と変化なしで,早稲田(新宿区),海城(新宿区),芝(港区),桐朋(国立市),東京都市大付(世田谷区)はやや減っています。 さらに目につくところでは,世田谷学園(世田谷区)が9月から10月にかけて,
1回 | 85→73% |
2回 | 90→83% |
3回 | 73→68% |
と志望者の減少が大きくなっていますが,これは世田谷学園の難易度が上がってきているために,本郷の志望者増と考え合わせれば,中位以下の受験生が世田谷学園→本郷と動いている可能性が高いでしょう。
中堅レベルで目につくのは,芝浦工大(板橋区),聖学院(北区),高輪(港区),獨協(文京区)の4校です。
芝浦工大 | 1回 | 102% |
2回 | 112% | |
3回 | 101% | |
聖学院 | 1回特待 | 136% |
2回特待 | 129% | |
*1回,2回,3回特待,4回特待はデータ件数が少ないので割愛しました。 | ||
高輪 | A | 117% |
B | 105% | |
算数午後 | 99% | |
C | 117% | |
獨協 | 1回 | 105% |
2回 | 127% | |
3回 | 94% |

芝浦工大 城北,巣鴨,本郷などの男子校同士の競合が厳しい地域にもかかわらず,芝浦工大は2年連続で応募者を増やし,10月模試の志望者数も3回の入試すべてで志望者数を増やしています。城北地区の注目校ですが,この秋に2017年4月に江東区豊洲への移転が発表されました。校地移転で受験生のエリアが大きく変わることが予想され,今後の推移を見ていく必要があるでしょう。
都内の男子校には珍しいプロテスタント・ミッション校の聖学院は午後の特待入試が人気を呼んでいるようです。他の回は模試データが少ないので割愛しましたが,確実に受験生を集めて増加の可能性が大です。
高輪は2012年春の大学合格実績が東大3名など好調で,2013年入試では応募者が31%増と大人気となりました。今春も東大2名,京大,阪大,東北大,一橋大,東工大各1名など引き続き大学合格実績が好調を維持してさらに人気が上がっているようです。特に10月模試のAの志望者数の増加が大きく,志望順位の高い受験生が増えていることがうかがえます。
獨協は小規模校のため目立ちませんが医学部志望者が多く,大学合格実績の良い学校です。今春は193名の卒業生で国公立大21名(14名),早慶上智大42名(29名),医学部は系列の独協医大の6名を含めて26名(11名)でした。(( )内は現役)
2012年入試では応募者を総数で14%減らしましたが,10月模試での志望者を見ると応募者数を大きく回復しそうです。
(2)神奈川・埼玉の男子校
上位の4校の9月から10月にかけての志望者数の推移は
栄光学園(鎌倉市) | 88→90% | |
聖光学院(横浜市中区) | 1回 | 105→107% |
浅野(横浜市神奈川区) | 88→86% | |
サレジオ学院(横浜市筑区) | A | 81→73% |
B | 78→72% |

逗子開成 と上位3校については9月の志望動向がそのまま続いていますが,サレジオ学院の減少が大きいのは気になるところです。中堅レベルでは話題の逗子開成の大きい伸びが注目されますが,模試だけでなく文化祭来場者も2日間で6,469名と大盛況でした。またライバル関係にある鎌倉学園も健闘していて注目されます。
鎌倉学園(鎌倉市) | 1回 | 103% |
2回 | 103% | |
3回 | 78% | |
逗子開成(逗子市) | A | 120% |
B | 102% | |
C | 117% | |
藤嶺藤沢(藤沢市) | 1回 | 108% |
2回 | 91% | |
*3回,4回はデータ件数が少ないので割愛しました。 |
次に埼玉の男子校を見ておきます(千葉には男子校がありません)。
城西川越(川越市) | 1回 | 56% |
2回 | 59% | |
*3回,特選1,特選2回はデータ件数が少ないので割愛しました。 | ||
城北埼玉(川越市) | 1回 | 107% |
2回 | 116% | |
3回 | 121% |
2.女子校
今回は前回の男子校に引き続き女子校の志望動向を見ていきます。各学校の志望者の増減の数値は前年同月実施模試の志望者との対前年比(%)です。なお前回の冒頭で触れたように10月模試の総受験者数が前年比5.7%減で,そのうち女子の総受験者数は7.0%減と減少幅が大きかったため,学校別,試験回別でも志望者数を減らしている学校が多くなっています。
(1)東京の女子校
最上位校の志望動向で9月から10月へかけての変化は以下のようになっています。
桜蔭(文京区) | 101→96% |
女子学院(千代田区) | 109→106% |
雙葉(千代田区) | 88→89% |

女子学院 この3校の志望者合計は9月から10月で2,180→1,961名で10%減ですが,昨年は8%減でしたから今年はこの1か月で減少幅がやや大きくなっています。前年との同月比較でみると,9月の段階では4校の志望者数合計は今年と前年でほとんど同数(1%増)でしたが,10月では1,993→1,961名と2%減でわずかに減少となっています。桜蔭は微増から4%減に転じ,女子学院もやや減っていますが,難易度に影響があるようなものではありません。雙葉はほとんど先月と変わっていません。上記3校に続く上位校の9月から10月にかけての志望状況の変化は以下の通りです。
豊島岡女子(豊島区) | 1回 | 93→91% |
2回 | 82→85% | |
3回 | 93→84% | |
白百合学園(千代田区) | 105→106% | |
鴎友学園女子(世田谷区) | 1次 | 106→110% |
2次 | 109→107% | |
3次 | 114→111% | |
吉祥女子(武蔵野市) | 1回 | 103→107% |
2回 | 99→101% | |
3回 | 97→97% | |
東洋英和女学院(港区) | A | 108→101% |
B | 53→54% | |
頌栄女子学院(港区) | 1回 | 102→105% |
2回 | 97→92% | |
晃華学園(調布市) | 1回 | 73→63% |
2回 | 65→69% | |
3回 | 85→80% | |
光塩女子学院(杉並区) | 1回 | 93→104% |
2回 | 108→108% |
この中で注目されるのは,鴎友学園女子1次が106→110%,吉祥女子1回は103→107%と増加し,さらに光塩女子学院1回は93→104%と大幅増です。逆に東洋英和女学院Aは108→101%,晃華学園1回は73→63%と相当な減少です。特に晃華学園1回の減少は大きく,第50話でも述べたように上位層が吉祥女子や鴎友学園女子,中堅層は大妻多摩,恵泉女学園などの競合校に回っている可能性が高そうです。
次に中堅レベルで主な学校の9月から10月にかけての志望状況の変化は以下の通りです。
跡見学園(文京区) | 1回 | 93→87% |
2回 | 97→99% | |
3回 | 82→89% | |
江戸川女子(江戸川区) | 1回 | 77→76% |
AO | 95→96% | |
3回 | 97→87% | |
4回 | 100→99% | |
大妻(千代田区) | 1回 | 96→95% |
2回 | 110→103% | |
3回 | 88→82% | |
大妻多摩(多摩市) | 1回 | 90→107% |
午後 | 111→90% | |
2回 | 119→109% | |
3回 | 85→87% | |
共立女子(千代田区) | A | 95→92% |
B | 95→100% | |
C | 92→94% | |
恵泉女学園(世田谷区) | A1回 | 97→137% |
S | 171→194% | |
A2回 | 106→103% | |
香蘭女学校(品川区) | 105→107% | |
実践女子学園(渋谷区) | 1回 | 89→87% |
GSC | 121→133% | |
2回 | 83→5% | |
3回 | 104→114% | |
品川女子学院(品川区) | 1回 | 97→91% |
2回 | 89→81% | |
3回 | 69→66% | |
昭和女子大(世田谷区) | A | 129→123% |
B | 122→114% | |
C | 89→107% | |
田園調布学園(世田谷区) | 1回 | 64→59% |
2回 | 82→82% | |
3回 | 80→74% | |
東京女学館(渋谷区) | 1回 | 118→109% |
2回 | 85→80% | |
国際 | 92→82% | |
3回 | 77→86% | |
富士見(練馬区) | 1回 | 82→79% |
2回 | 93→100% | |
3回 | 95→90% | |
三輪田学園(千代田区) | 1回 | 89→70% |
2回 | 93→78% | |
3回 | 95→93% | |
八雲学園(目黒区) | 1回 | 96→94% |
2回 | 98→85% | |
3回 | 94→76% | |
*4回はデータ件数が少ないので割愛しました。 | ||
山脇学園(港区) | A | 127→114% |
B | 115→116% | |
C | 132→127% |

昭和女子大 この中で注目されるいくつかの学校について見てみましょう。全体的に9月から10月にかけて志望者の前年比が下がっている学校が多い中で,第50話でも注目した大妻多摩と恵泉女学園がさらに勢いを増しています。とりわけ恵泉女学園の2月1日のA1回は97→137%,2日午後のSは171→194%と大幅な増加です。1日のA1回の急増は2日午後のSの導入が契機になっていることは間違いないでしょう。午後のSは鴎友学園女子,吉祥女子などの上位校との併願者が多いものと予想されます。昭和女子大と山脇学園は9月からやや減っていますが,まだまだ勢いのあるところを見せています。昭和女子大は今春入試で応募者が大幅に減った反動ですが,総定員の削減によりA,Bはそれぞれ70→60名に減員されますから入試状況が厳しくなるものと予想されます。また山脇学園は学校改革が非常に高い評価をされていて(第50話参照),今春入試で応募総数が37%増,実受験者では56%増と驚異的に伸び難易度も上昇しましたが,さらにこれを上回る可能性大です。その他は変化なしの学校が若干ありますがほとんどが減り気味で,特に田園調布学園と三輪田学園の減少が大きいのは気になるところです。
(2)神奈川の女子校
神奈川の最上位の女子校は,いずれも横浜山手の丘(横浜市中区)の上にある創立100年を超えるミッション校です。9月から10月にかけての志望状況の変化は以下の通りです。
フェリス女学院(横浜市中区) | 79→69% | |
横浜雙葉(横浜市中区) | 86→76% | |
横浜共立(横浜市中区) | A | 94→88% |
B | 70→57% |
2月1日のこの3校の10月模試志望者の合計(3日の横浜共立Bを除く)の前年比は1,338→1,028名で23%減です。また9月から10月にかけての変化は1,273→1,028名で19%減と相当な減少です。第50話で述べたように,この最上位層の減少は,3校とも減っているところから,3校の中での志望者の移動ではなく他の要因と思われ,神奈川の女子受験生自体の減少と都内有力校への流出などが考えられます。フェリス女学院は特に減少が大きく,もしこのまま入試を迎えれば難易度の低下は確実です。横浜雙葉も緩和した入試になる可能性が高そうです。
以上の最上位3校に次ぐ女子校の9月から10月にかけての変化は,
鎌倉女学院(鎌倉市) | 1回 | 90→90% |
2回 | 92→123% | |
湘南白百合(藤沢市) | 93→84% | |
洗足学園(川崎市高津区) | 1回 | 94→90% |
2回 | 79→79% | |
3回 | 96→92% | |
日本女子大附(川崎市多摩区) | 1回 | 98→106% |
2回 | 106→105% |

鎌倉女学院 この中では鎌倉女学院2回の92→123%,日本女子大附1回の98→105%と大きく増加しているのが注目されます。なお洗足学園の1回,2回は志望者が減っていますが上位層が厚くなっていて,むしろ難易度が上昇する可能性があり要注意です。
その他の中堅校では,
神奈川学園(横浜市神奈川区) | A1 | 113→97% |
A2 | 108→119% | |
B | 141→131% | |
C | 117→109% | |
カリタス女子(川崎市多摩区) | 1回 | 94→85% |
2回 | 104→91% | |
3回 | 103→105% | |
聖セシリア女子(大和市) | 1回 | 99→120% |
2回 | 97→94% | |
3回 | 97→98% | |
清泉女学院(鎌倉市) | 1回 | 104→92% |
2回 | 119→102% | |
聖園女学院(藤沢市) | 1次 | 104→99% |
2次 | 103→100% | |
3次 | 92→70% | |
4次 | 104→102% | |
横浜英和女学院(横浜市南区) | A1 | 新設 |
A2 | 108→71% | |
B | 76→136% | |
C | 126→75% | |
横浜女学院(横浜市中区) | A | 121→111% |
B | 87→79% | |
C | 108→108% | |
D | 136→104% | |
E | 124→116% |
神奈川の中堅女子校は9月模試では志望者前年比を増加とした学校が目立ちましたが、10月に入ると一転して減少に転じた学校が増えています。
その中で聖セシリア女子1回の99→120%と大幅な増加が注目されます。1回で大きく増えていることから志望順位の高い受験生が増えているものと思われます。
神奈川学園はA1が減っていますが他の入試回の志望者は相変わらず前年比プラスです。午後入試のA2が増えていることから上位層の増加が予想されます。
横浜女学院は県内の中堅女子校でもっとも応募者数が安定していて,実受験者数は2年連続の増加です。10月模試の志望者はC以外が減っていますが,増加基調は変わっていません。
清泉女学院はこのところ隔年現象があり来年は増加が予想される年ですが,10月模試で見ると前年並みの入試になりそうな気配です。
以上の中堅レベルの女子校は10月模試で志望者減が目立ちますが,上位校と違い中堅レベルの学校はこの時期では志望状況がまだ流動的で,11月,12月さらに年明けまで変動する可能性があるため今後の推移を見守っていく必要があります。
(3)埼玉・千葉の女子校
以下については10月のデータのみで見ていきます。埼玉の女子校は次の3校です。
浦和明の星女子(さいたま市緑区) | 1回 | 94% |
2回 | 102% | |
大妻嵐山(比企郡嵐山町) | SA奨学 | 95% |
1回 | 92% | |
2回 | 123% | |
*セレクト午前・午後,SA,3回はデータ件数が少ないので割愛します。 | ||
淑徳与野(さいたま市中央区) | 1回 | 96% |
2回 | 81% |

浦和明の星 カトリック・ミッション校の浦和明の星女子は都内トップ女子校との併願者が多く,県内の有力共学校の影響は小さいようです。模試の総受験者中の女子の減少率7%からすれば1回の6%減は世間並ということでしょうか。
大妻嵐山2回が23%も増えていますが,これは入試日を1月24日から17日に1週間早めたのが功を奏しているようです。今春入試まで1月14日から24日まで間が空きすぎていてその間に多くの学校が入試を行っていますから、24日が遅すぎだったということでしょう。なお2回と3回は大宮の試験会場がありませんのでご注意ください。
千葉の女子校は次の3校です。
国府台女子学院(市川市) | 1回 | 87% |
2回 | 74% | |
聖徳大附女子(松戸市) | 1回午前 | 139% |
1回午後 | 141% | |
*2回,3回,特待はデータ件数が少ないので割愛します。 | ||
和洋国府台女子(市川市) | 1回 | 101% |
*2回(午後新設),3回はデータ件数が少ないので割愛します。 |
千葉の私立中学入試では推薦入試(第一志望入試)を実施している学校があります。推薦入試は模試データがありませんが,国府台女子学院の推薦は出願を締め切っていますのでここでお伝えしておきます。ここ数年好調な大学合格実績や新校舎完成などで応募者が212→222→240名と増加しつづけ,推薦の定員を40→50名に増員しましたが,出願数は222名と7%減になり入試状況は若干の緩和が予想されます。一般入試1回・2回とも志望者が減っていますが,2回は定員が20→10名と減員されるためです。1回の減少は都内の「試し受験」のターゲットが千葉より日程が早い埼玉の学校にシフトしてきているのと,中堅レベルの受験生の共学志向などの要因が考えられます。

聖徳大附女子 聖徳大附女子は今春,S選抜を新設し,選抜,進学と併せて3コース制となりましたが,1回午前は上位グレードのS選抜のみ,午後はS選抜と選抜の入試としたため,相当数の受験生が他校へ流れたようです。2014年入試では大きく入試要項を変えて,1回午前・午後ともに3コースの選考を行うようになりましたから,受験生が戻ってきているようです。
次回は10月模試から共学校および大学付属校(系列校)の志望動向を見ていきます。
3.共学校
今回は前回の女子校に引き続き共学校の志望動向を見ていきます。また大学付属校については最後にまとめて見ていきます。なおMは男子,Fは女子で,各学校の志望者の増減の数値は前年同月実施模試の志望者との対前年比(%)です。
(1)東京の共学校
都内の主な共学校の9月から10月にかけての志望者数前年比の推移は以下の通りです。
穎明館(八王子市) | 1回 | M | 108→62% |
F | 77→88% | ||
2回 | M | 106→89% | |
F | 100→102% | ||
3回 | M | 100→85% | |
F | 95→86% | ||
桜美林(町田市) | 1回AM | M | 56→64% |
F | 79→80% | ||
1回PM | M | 71→70% | |
F | 75→75% | ||
2回AM | M | 41→72% | |
F | 103→121% | ||
2回PM | M | 77→73% | |
F | 85→77% | ||
3回 | M | 61→77% | |
F | 80→89% | ||
かえつ有明(江東区) | 1回午前 | M | 134→120% |
F | 114→89% | ||
1回午後 | M | 130→101% | |
F | 141→122% | ||
2回午前 | M | 109→142% | |
F | 100→121% | ||
2回午後 | M | 95→108% | |
F | 112→121% | ||
4回 | M | 156→185% | |
F | 116→142% | ||
*3回はデータ件数が少ないので割愛しました。 | |||
国学院久我山(杉並区) | 1回 | M | 81→77% |
F | 114→89% | ||
1回ST | M | 88→87% | |
F | 78→83% | ||
2回 | M | 88→83% | |
F | 117→96% | ||
2回ST | M | 96→82% | |
F | 112→94% | ||
3回 | M | 81→69% | |
F | 92→91% | ||
渋谷教育学園渋谷(渋谷区) | 1回 | M | 102→84% |
F | 72→83% | ||
2回 | M | 98→99% | |
F | 89→101% | ||
3回 | M | 85→79% | |
F | 77→71% | ||
淑徳(板橋区) | 1回 | M | 55→70% |
F | 106→102% | ||
東大1回 | M | 105→89% | |
F | 148→117% | ||
2回 | M | 83→71% | |
F | 102→96% | ||
3回 | M | 87→91% | |
F | 116→107% | ||
*東大2回はデータ件数が少ないので割愛しました。 | |||
順天(北区) | 1回A | M | 90→82% |
F | 78→69% | ||
1回B | M | 80→96% | |
F | 105→100% | ||
2回A | M | 126→131% | |
F | 75→62% | ||
2回B | M | 74→85% | |
F | 64→63% | ||
*3回はデータ件数が少ないので割愛しました。 | |||
青稜(品川区) | 1回A | M | 112→123% |
F | 145→110% | ||
1回B | M | 113→98% | |
F | 119→148% | ||
2回A | M | 93→100% | |
F | 84→92% | ||
2回B | M | 84→81% | |
F | 101→106% | ||
3回 | M | 66→86% | |
F | 100→104% | ||
帝京大学(八王子市) | 1回 | M | 115→134% |
F | 66→101% | ||
2回 | M | 103→97% | |
F | 103→109% | ||
3回 | M | 109→97% | |
F | 87→91% | ||
東京都市大等々力(世田谷区) | 特進1回 | M | 110→94% |
F | 91→96% | ||
特進2回 | M | 60→76% | |
F | 103→100% | ||
特選1回 | M | 65→71% | |
F | 81→67% | ||
特選2回 | M | 97→80% | |
F | 103→125% | ||
特選3回 | M | 73→88% | |
F | 161→176% | ||
東京農大一(世田谷区) | 1回 | M | 91→95% |
F | 117→127% | ||
2回 | M | 112→103% | |
F | 100→85% | ||
3回 | M | 86→85% | |
F | 109→114% | ||
広尾学園(港区) | 1回 | M | 96→90% |
F | 95→103% | ||
2回 | M | 76→83% | |
F | 96→86% | ||
医進 | M | 102→103% | |
F | 97→91% | ||
3回 | M | 90→88% | |
F | 118→121% |
都内の共学進学校トップの渋谷教育学園渋谷は男子が1回で大きく減り,3回でも減っていますが,1回の大幅減は武蔵などの男子校との競合によるものでしょう。女子は1回・2回で9月から大きく増加していますが,桜蔭,女子学院,豊島岡女子などの女子校から少しずつ回ってきているものと思われます。
国学院久我山は今春の国公立大や早慶上智大の合格実績が振るわなかったためか,男子は5回の入試すべてで志望者減,女子も1日午前の1回以外は志望者減です。男子校の東京都市大付,女子校の恵泉女学園,光塩女子学院,共学校の帝京大学,あるいは法政大学,成蹊などの大学付属校との競合によるものと思われます。
穎明館は9月に大きく増えていた1回の男子が減って,逆に9月に大きく減っていた1回の女子が増えてきました。受験生(保護者)が模試の志望者数を見て志望校を修正してきますから,今後も多少の上下はあるでしょうが,この2年応募者増が続き難化していましたから少し落ち着いた入試になりそうです。
帝京大学は系列大への推薦入学者が0名と100%他大学受験で多摩地区では穎明館と並ぶ共学進学校です。学校規模が小さく今春卒業生は170名で,東大は1名ながら,現役の国公立大63名,早慶上智大132名と合格実績を伸ばして,10月模試の1回男女の志望者が大きく伸びています。
桜美林は第50話でお伝えした理由で志望者数が大きく減っていますが,さすがに減りすぎていた1回AMと2回AMの男子はかなり回復しています。とはいえ全体として前年志望者の7割台という状況が入試まで続きそうです。前回予想したように緩和した入試になるのは確実でしょう。
青稜は入試回ごとに男女で志望者の増減が上下していますが,全体的には女子の勢いが優勢に見えます。特に午後入試の1回Bと2回Bでその傾向が顕著で女子の上位層が厚くなっているようです。
東京都市大等々力の女子の志望者数は5回の入試のうち2回が前年を上回っていますが,男子は5回の入試すべてで志望者数が前年を下回っています。共学化以来3年間応募者数が右肩上がりで伸びてきましたが,4年目となり志望者数の伸びは落ち着いてきています。この3年間で相当に難易度が上昇したので,減っているのは主にチャレンジ層でしょう。

かえつ有明 今年の入学者から別学授業になって人気を呼んだかえつ有明は2月1日午前・午後は減っていますが,他の回では志望者数が大きく前年を上回っています。今春入試で応募者が大幅に増加しましたが,さらにそれを上回る応募者増が予想されます。
(2)神奈川の共学校
神奈川の主な共学進学校の9月から10月にかけての志望者数前年比の推移は以下の通りです。なお神奈川大附と関東学院は併設大への進学者がほとんどいないため,実態に合わせて進学校として考えます。
神奈川大附(横浜市緑区) | A | M | 109→91% |
F | 95→86% | ||
B | M | 100→93% | |
F | 90→93% | ||
C | M | 73→78% | |
F | 90→85% | ||
関東学院(横浜市南区) | 1期A | M | 88→89% |
F | 87→91% | ||
1期B | M | 86→89% | |
F | 107→90% | ||
1期C | M | 80→81% | |
F | 96→92% | ||
2期 | M | 73→77% | |
F | 71→65% | ||
湘南学園(藤沢市) | A | M | 125→121% |
F | 119→89% | ||
B | M | 137→162% | |
F | 78→81% | ||
C | M | 117→114% | |
F | 105→99% | ||
D | M | 139→157% | |
F | 114→97% | ||
桐蔭学園(横浜市緑区) | 1次 | M | 85→89% |
F | 85→56% | ||
中等 | 79→98% | ||
理数 | 89→139% | ||
2次A | M | 139→99% | |
F | 57→119% | ||
中等 | 92→104% | ||
理数 | 118→133% | ||
2次B回 | M | 91→93% | |
F | 76→94% | ||
中等 | 75→85% | ||
理数 | 46→70% | ||
3次 | M | 109→91% | |
F | 96→100% | ||
中等 | 75→73% | ||
理数 | 97→142% | ||
桐光学園(川崎市麻生区) | 1回 | M | 102→115% |
F | 111→106% | ||
2回 | M | 119→117% | |
F | 107→127% | ||
3回 | M | 102→144% | |
F | 118→122% | ||
森村学園(横浜市緑区) | 1回 | M | 92→92% |
F | 85→83% | ||
2回 | M | 127→120% | |
F | 94→83% | ||
3回 | M | 97→78% | |
F | 0→97% | ||
山手学院(横浜市栄区) | A | M | 91→105% |
F | 92→84% | ||
B | M | 119→114% | |
F | 104→83% | ||
C | M | 64→66% | |
F | 56→49% | ||
後期 | M | 123→95% | |
F | 97→84% |
神奈川大附と森村学園は9月から10月にかけて模試の志望者数がやや減っています。
湘南学園は男子の増加,特に10月の前年比でBの62%,Dの57%と大幅な増加は他校には見られないものです。ただし女子はやや減り気味です。

桐蔭学園 桐蔭学園は別学の中学校と男子校の中等教育学校は別の学校ですが,入試は一体的に行われているため,ここでまとめて見ておきます。(表中のM,Fは中学校の男子部,女子部,理数は中学女子部の理数コースです)前回は今のところ減少傾向に歯止めがかかっていませんと書きましたが,10月の志望者数は男子の中等教育学校と女子は1回の普通コースを除き普通,理数コースとも大きく志望者数を回復しています。今春は合格者が絞り込まれて厳しい入試となりましたが,来年は合格者を増やすとアナウンスしており受験生に好感されているのでしょう。
女子の応募者の減少傾向が続いていた桐光学園は9月模試では3回の入試で男女とも志望者数が増加に転じ、10月では1回の男子以外で9月の前年比を上回っています。
山手学院は国際色豊かな共学の中堅進学校として人気の高い学校ですが,10月の志望者では女子の減少が目立ちます。Cの大幅減は入試日の前倒しと定員減のためです。
(3)埼玉の共学校
埼玉の主な共学進学校の9月から10月にかけての志望者数前年比の推移は以下の通りです。
開智(さいたま市岩槻区) | 先端A | M | 93→82% |
F | 101→101% | ||
1回 | M | 82→83% | |
F | 90→86% | ||
2回 | M | 100→96% | |
F | 99→112% | ||
先端B | M | 114→109% | |
F | 118→124% | ||
栄東(さいたま市見沼区) | A | M | 105→112% |
F | 123→126% | ||
東大Ⅰ | M | 107→102% | |
F | 108→110% | ||
B | M | 127→123% | |
F | 140→131% | ||
東大Ⅱ | M | 87→83% | |
F | 138→96% | ||
*東大Ⅲはデータ件数が少ないので割愛しました。 |
この2大ライバル校の基本構図は9月と変わっていませんが,埼玉の入試解禁初日の1月10日で入試日が重なった開智先端Aと栄東Aは男子で栄東の優位が広がっています。開智先端の男子が大きく減り,栄東Aの男子が相当増えたため差を広がっています。ただし後半の入試では開智の女子は増加,栄東の女子は減少が見られます。
西武学園文理(狭山市) | 1回 | M | 91→79% |
F | 74→70% | ||
1回特選 | M | 101→102% | |
F | 110→115% | ||
2回 | M | 65→71% | |
F | 65→74% | ||
2回特選 | M | 49→75% | |
F | 109→104% | ||
3回 | M | 92→71% | |
F | 55→87% | ||
3回特選 | M | 191→142% | |
F | 142→97% | ||
*4回特選はデータ件数が少ないので割愛しました。 | |||
浦和実業 (さいたま市南区) | 1回AM | M | 80→67% |
F | 99→84% | ||
1回PM | M | 62→86% | |
F | 85→68% | ||
2回 | M | 94→81% | |
F | 97→92% | ||
3回 | M | 214→180% | |
F | 108→80% | ||
*4回はデータ件数が少ないので割愛しました。 | |||
大宮開成(さいたま市大宮区) | 1回特進 | M | 85→92% |
F | 88→74% | ||
1回英数 | M | 54→59% | |
F | 105→124% | ||
2回英数 | M | 129→117% | |
F | 128→123% | ||
*3回特進,2回英数はデータ件数が少ないので割愛しました。特待選抜は新設。 | |||
春日部共栄(春日部市) | 1回 | M | 76→76% |
F | 82→81% | ||
2回 | M | 103→62% | |
F | 109→45% | ||
*3回はデータ件数が少ないので割愛しました。 | |||
獨協埼玉(越谷市) | 1回 | M | 90→84% |
F | 105→102% | ||
2回 | M | 97→100% | |
F | 130→144% | ||
*3回はデータ件数が少ないので割愛しました。 |
西武学園文理は県西部の最有力校ですが,開智と栄東に押されているのか苦戦が続いています。試験回によって増減がありますが,男子は減少が目立ちます。
浦和実業は9月から10月にかけてすべての試験回で志望者数が減っています。このままいけばかなり緩和した入試になりそうです。
大宮開成の1回特進は40→35名の減員,1回英数は25→35名と増員,2回は1月16日から14日に前倒しの上,15→10名と減員です。新設の特待選抜の志望者は10月段階で男女合わせて150名前後です。
春日部共栄はグローバル・エリート(GE)クラスを新設しますが,発表が遅かったため模試の志望者数にはほとんど反映されていないようです。上記の数字は一般クラスであるグローバル・スタンダード(GS)クラスのものです。
ここで今春新規開校した埼玉の共学校4校のうち2校の10月段階の志望状況をお伝えしておきます。
狭山ヶ丘(入間市) | 1回 | M | 148% |
F | 134% | ||
2回 | M | 163% | |
F | 153 % | ||
3回 | M | 163% | |
F | 220% | ||
*4回はデータ件数が少ないので割愛しました。 | |||
武南(蕨市) | 1回午前 | M | 84% |
F | 90% | ||
1回午後 | M | 75% | |
F | 70% | ||
2回 | M | 104% | |
F | 79% | ||
*3回,4回はデータ件数が少ないので割愛しました。 |

狭山ヶ丘 狭山ヶ丘は志望者数が前年を大きく上回っています。これは今春の東大1名,一橋大1名,東工大1名,北大1名など難関国立大の合格者を出したことで人気が上がっていることもありそうです。
武南は4校の中では東京に近く今春入試で最も応募者を集めましたが,競合校が多いこともあってか,2年目は初年度ほどの志望者が集まっていません。今後多少増えても初年度の応募者数を超えるのは難しそうです。
国際学院(北足立郡)と東京成徳大深谷(深谷市)の2校はデータ件数が少ないので割愛しますが,今年度同様に小規模な入試になりそうです。
(4)千葉・茨城の共学校
千葉・茨城の主な共学進学校の10月の志望者数前年比は以下の通りです。なお数値に男女計と男女別が混在していますが,これは元になる模試データのためです。
渋谷教育学園幕張(千葉市美浜区) | 1回 | MF | 95% |
2回 | MF | 105% | |
市川(市川市) | 1回 | MF | 94% |
2回 | MF | 105% | |
東邦大東邦(習志野市) | 前期 | MF | 100% |
後期 | MF | 103% | |
芝浦工大柏(柏市) | 1回 | MF | 97% |
2回 | M | 112% | |
F | 103% | ||
3回 | M | 185% | |
F | 180% | ||
昭和学院秀英(千葉市美浜区) | 2回 | MF | 109% |
3回 | M | 111% | |
F | 116% | ||
専修大松戸(松戸市) | 1回 | MF | 105% |
2回 | M | 106% | |
F | 126% | ||
3回 | M | 108% | |
F | 75% | ||
江戸川学園取手(取手市) | 1回 | MF | 99% |
2回 | M | 121% | |
F | 110% | ||
3回 | M | 200% | |
F | 153% |
千葉御三家ともいわれる,渋谷教育学園幕張,市川,東邦大東邦の3校はいずれもほぼ前年並みの志望状況です。渋谷教育学園幕張と市川は1回がやや減っていますが上位層が増えていて,減っているのは主にチャレンジ層のようです。
昭和学院秀英はここ2年ほど応募者の減少が続いていましたが,難関国公立大の実績が躍進して,男女とも志望者数を伸ばしています。なお1回は第一志望入試で上記の模試データにはありませんがすでに出願が締め切られ,男子244(250)名,女子269(280)名,計513(530)名で前年比97%と微減となっています。(( )内は前年応募者数)

芝浦工大柏 芝浦工大柏は系列大への推薦入学が9%でほとんどが他大学進学で,2年連続で東大合格を出し,さらに東北大5名,筑波大4名,千葉大16名など難関国公立大の実績を伸ばし人気が上がっています。1回の志望者が若干減っていますが,減っているのは男子で女子は増えています。1回男子の減少は今春入試の1回で577→710名と激増した反動と思われます。
専修大松戸は3回の女子以外で志望者増と好調です。今春入試で男子の受験者数を減らしましたが、10月模試の志望者から見ると確実に回復しそうです。
ここで,本文で触れることのできなかった千葉の推薦入試(専願入試,第一志望入試,女子校を含む)の最終応募者数の判明分をお伝えしておきます。(( )内は前年応募者数,%は前年比)
昭和学院(市川市) | MF60(97)名 | 62% | ||
聖徳大附女子(松戸市) | F64(65)名 | 98% | ||
千葉国際(君津市) | M9(16)名 | F16(22)名 | 計25(38)名 | 66% |
千葉明徳(千葉市中央区) | M26(23)名 | F20(12) | 計46(35)名 | 131% |
東海大浦安(浦安市) | M64(78)名 | F33(36)名 | 計97(114)名 | 85% |
二松學舎大柏(柏市) | M18名 | F19名 新設 | ||
日出学園(市川市) | M22(24)名 | F30(22)名 | 計52(46)名 | 113% |
八千代松陰(八千代市) | M124(121)名 | F136(126)名 | 計260(247)名 | 105% |
(5)大学付属校
ここで大学付属校(大学系列校)についてまとめて見てみます。あらかじめ全体的な特徴を述べておきます。この2年間ほとんどの有名大学付属校(系列校)は応募者数を減らしていました。おそらく大学付属校は私立中学のなかでも総じて学費水準が高いこと,また6年後に国公立大や医学部などの多様な進路選択のため進学校を選ぶ受験生・保護者が増えたといったことが背景にあったと思われます。ところが,ここへ来ていくつかの大学付属校では志望者数を回復しつつあり,特に男子にその傾向がはっきり見られます。これが単に応募者減に対する反動なのか,経済状況等を反映したものか,各校の個別的な事情もあり判断は難しいところです。なお前回は早慶大,GMARCH大系列校に絞りましたが,今回はそれ以外の主な学校についての模試データも掲載します。
まず早慶大系列校から見ていきます。
慶應普通部(横浜市港北区) | M98→104% |
慶應中等部(港区) | M98→94% |
F84→80% | |
慶應湘南藤沢(藤沢市) | M100→94% |
F96→93% | |
早大高等学院(練馬区) | M113→118% |
早稲田実業(国分寺市) | M84→83% |
F81→72% |

慶應普通部 慶應普通部は2012年に応募者が大幅に減りましたが今春入試では微減。9月模試でも志望者微減でしたが10月で志望者数の前年比がプラスに転じました。人数が増えているだけでなく,ボーダー周辺が厚くなっていますから厳しい入試となる可能性が高いでしょう。
慶應中等部は9月から10月にかけて男女とも前年比が下がっています。女子は2010年から3年連続で応募者を減らし,今春入試ではわずかながら回復しましたが,10月模試データから見ると再び大きく減少に転じそうです。しかし減っているのはチャレンジ層でボーダーより上の層は変わっていませんから難易度への影響はほとんどないでしょう。
慶応湘南藤沢も9月から10月にかけて男女とも志望者の前年比が下がっています。女子はボーダーあたりがやや薄くなっていて,わずかに緩和する可能性があります。
早大高等学院はこの2年間で応募者が536→472→352名大きく減りましたが,さすがにここまで減ると反動があるのか,9月模試の志望者は13%増、10月ではさらに増えて18%増となり前年の応募者数を大きく超える入試になりそうです。ただし上位層は増えておらず,増えているのは中位以下の層ですから難易度の変動はなさそうです。
早稲田実業の男子は応募者数に隔年現象があり来春は減る年にあたりますが,早大高等学院への流れもあるようで10月の志望者は前年比で17%減です。女子は9月から10月にかけて志望者がかなり減って前年比28%減となっています。2013年入試では女子の合格者が絞られて倍率が上昇し難化したため敬遠されているためでしょう。2014年入試では2012年並みの難易度にもどる可能性大です。
次にGMARCH大系列校について見ていきます。
学習院(豊島区) | 1回 | M109→124% |
2回 | M118→140% | |
学習院女子(新宿区) | A | F89→80% |
B | F68→76% | |
明大明治(調布市) | 1回 | M86→85% |
F119→114% | ||
2回 | M77→84% | |
F119→89% | ||
明大中野(中野区) | 1回 | M95→97% |
2回 | M92→83% | |
明中八王子(八王子市) | 1回 | M109→118% |
F85→85% | ||
2回 | M94→101% | |
F98→81% | ||
青山学院(渋谷区) | M100→105% | |
F77→86% | ||
立教池袋(豊島区) | 1回 | M98→117% |
2回 | M110→100% | |
立教新座(新座市) | 1回 | M91→93% |
2回 | M98→87% | |
立教女学院(杉並区) | F91→84% | |
中央大学附(小金井市) | 1回 | M82→84% |
F85→78% | ||
2回 | M78→84% | |
F91→93% | ||
中央大学横浜(横浜市都筑区) | 1回 | M80→88% |
F87→93% | ||
2回 | M91→94% | |
F78→85% | ||
3回 | M81→80% | |
F83→85% | ||
法政大学(三鷹市) | 1回 | M82→113% |
F85→139% | ||
2回 | M78→86% | |
F91→95% | ||
3回 | M90→103% | |
F122 →135% | ||
法政大学第二(川崎市中原区) | 1回 | M112→110% |
2回 | M103→105% |

学習院 学習院は10月で志望者が大きく増えています。GMARCH大の系列校の中では最も進学色が強く,併設大学への推薦率は46%で,半数以上は他大学進学です。今春の卒業生は190名で主な他大学は東大5名,京大1名,一橋大4名,東工大3名,早慶上智大110名などと好成績で,これが人気上昇の主要因でしょう。
明大明治の女子1回の増加と2回の減少は青山学院の入試日が2日から3日に移動するのに関連したものでしょう。女子の2回はやや緩和する可能性があります。
明中八王子の男子は1回,2回とも志望者の前年比が上がっているのが目につきます。
青山学院は2月2日の日曜日を避けて3日に入試日を移動します。男女ともこの2年間応募者の減少が続いていましたが,10月模試の志望者で男子は前年比を上回りました。しかし女子は減少幅を縮小していますがまだ前年比マイナス14%です。また女子は上位層が薄くなっていて難易度が若干低下する可能性があります。
立教池袋は2日の1回が大きく増えています。立教は青山学院と同じプロテスタントのミッション校ですが聖公会系のため日曜日にも入試を行います。そのため2014年は青山学院と入試日がずれるので志望者が増えているものと思われます。
立教女学院は東京西部で最もブランドイメージの高い女子校ですが,ここ2年間応募者の減少が続いています。立教大学とは別法人ですが系列校として60%以上の推薦枠があり,他大学進学でも今春は192名の卒業生で東大1名,一橋大1名,東工大1名,東京外語大1名,早慶上智大53名(浪人を含む)と悪くないのですが,10月模試の志望者は前年比16%減とかなりの減です。地元の杉並区やとなりの世田谷区からの受験生が多く,地域が重なる吉祥女子や,鴎友学園女子との競合が強くなっているためでしょう。入試では難易度が緩和する可能性があります。
中央大学横浜は今春入試で共学化以来の勢いが落ち着いてきましたが,10月では男女ともやや増加しています。今のところすべての回で男女とも前年比を下回っていますが,減っているのは中位以下の層ですので難易度の低下はないでしょう。
法政大学はこの2年間応募者の減少が続き,9月模試でも前年比を下回っていましたが,10月に入って志望者の前年比が大きく上がり1回,3回は前年比を上回っています。この志望者急増の要因はわかりませんが,このままいけば少なくとも1回の難易度は上昇する可能性が高いでしょう。
次は成蹊と成城学園という似たタイプの2校です。
成蹊(武蔵野市) | 1回 | M104→113% |
F97→139% | ||
2回 | M114→86% | |
F102→95% | ||
成城学園(世田谷区) | 1回 | M90→118% |
F117→85% | ||
2回 | M117→101% | |
F101→81% |
成蹊は今春入試で応募者が1回18%減,2回20%減となりましたが,10月模試では1回は大きく復調していますが,2回は9月より前年比が下がっています。
成城学園の女子は2年連続で応募者が大きく減少しました。模試では9月にいったん復調しましたが,10月模試では大きく減っています。
最後に日大系と東海大系の9月から10月の志望者数前年比の推移のみ掲載しておきます。
日本大学(横浜市港北区) | A | M84→83% |
F94→105% | ||
B | M93→93% | |
F95→98% | ||
C | M82→81% | |
F125→123% | ||
日大藤沢(藤沢市) | 1回 | M87→74% |
F96→90% | ||
2回 | M86→102% | |
F93→88% | ||
日大第一(墨田区) | 1回 | M81→78% |
F81→78% | ||
2回 | M88→96% | |
F104→103% | ||
2科 | M53→63% | |
F119→89% | ||
日大第二(杉並区) | 1回 | M93→103% |
F95→85% | ||
2回 | M98→88% | |
F93→84% | ||
日大第三(町田市) | 1回 | M104→108% |
F96→101% | ||
2回 | M87→109% | |
F87→83% | ||
日大豊山(北区) | 1回 | M90→95% |
3回 | M86→83% | |
4回 | M83→86% | |
2回Pは新設 | ||
日大豊山女子(板橋区) | 1回 | M106→92% |
2回 | F95→88% | |
3回 | F64→61% | |
4回 | F104→98% | |
東海大浦安(浦安市) | A | M71→87% |
F93→79% | ||
B | M96→95% | |
F104→97% | ||
東海大高輪台(港区) | 1回 | M95→81% |
F91→93% | ||
2回 | M78→64% | |
F95→111% | ||
東海大相模(相模原市) | A | M71→89% |
F76→76% | ||
B | M85→85% | |
F90→78% |
[次回予告] 「2014年中学入試予想 第3弾――11月公開模試から入試動向を読む――」
次回52話は今回につづき11月の大手公開模試データその他から2014年中学入試を予測します。10月からの変化が見られる学校および今まで触れてこなかった国立大付属校と公立中高一貫校の志望動向を見ていきます。