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第53話 「2014年中学入試速報! 12月千葉・茨城推薦入試,海外帰国生入試」
2014年1月7日

1.千葉の推薦(専願・第一志望)入試・・・2014年1月7日更新
2.共学校 大学付属校・・・2014年1月7日更新
3.国立大付属校 公立中高一貫校・・・2014年1月7日更新
あけましておめでとうございます。もっとも受験生とご家族の皆さんは今年の正月は正月気分をゆっくり味わうどころではなかったかもしれませんね。
さて2014年中学入試の前哨戦ともいうべき千葉・茨城の推薦入試が12月1日から始まり,すでに多くの学校では合格発表まで終わっています。また海外帰国生入試も11月から始まっています。
前回の第52話までは入試予想でしたが,いよいよ今回は千葉・茨城の推薦入試と海外帰国生入試の速報です。
1.千葉の推薦(専願・第一志望)入試
千葉県には24校の私立中学があり,そのうち16校で推薦入試(専願入試,第一志望入試ともいわれるが内容は同じ)が行われています。以下に入試データが判明している12校の入試状況をまとめておきます。なお暁星国際,志学館,秀明八千代,東京学館浦安の4校は12月20日時点でデータ未公表。( )内は前年度実績です。また二松學舎大附柏の第一志望入試は新設です。
(1)千葉の女子校
千葉の私立中には男子校がありませんから,女子校3校から見ていきます。
国府台女子は仏教主義(浄土真宗)に基づく女子教育で知られる中堅レベルの女子校です。新校舎の完成や好調な大学合格実績によって人気が上がって第一志望者が増え,前年の推薦入試では応募者が8%増加。そのため定員を40→50名と増員しましたが,前年までの高倍率で敬遠されたのか応募者が8%減となりました。倍率がやや下がっていますが,難易度は前年並みでしょう。
聖徳大附女子は第一志望入試を含めてすべての回でS選抜クラス,選抜クラス,進学クラスの選考が行われるようになり,各回の定員も大きく変わっています。第一志望入試の定員は45→30名と減員されましたが応募者が応募者,受験者とも前年同数でした。定員減にもかかわらず合格者を前年より3名多く出しています。
和洋国府台女子は前年入試で総定員を280→210名と大幅に減員しました。推薦入試の定員も70→60名と10名減でしたが,なぜか応募者は79→89名と10名増加しました。今年は応募者が89→69名と20名の減ですが,2012年の79名から見れば10名減の69名ですから1年遅れで妥当な水準になったとも考えられます。
(2)千葉の共学校
千葉私立中24校中で共学校は21校ですが,トップの3校(渋谷教育学園幕張,市川,東邦大東邦)や中堅上位の専修大松戸,芝浦工大柏など8校では推薦入試を行っておらず,推薦入試実施校は13校です。データが公表されている9校(千葉国際は応募者数のみ)について見ていきます。
この9校中最も入学レベルが高い昭和学院秀英は第一志望入試の応募者が2009年をピークとして,その後5年連続で822→723→698→602→530→513名と減っています。今年の場合は定員が40→35名と減員されたという事情もありますが,応募者が減ったとはいえ10倍を超える高倍率で敬遠されているというのが実際の理由でしょう。

西武台千葉 野田市の西武台千葉は,西が江戸川をはさんで埼玉県,東は利根川をはさんで茨城県に接するため在籍生の34%が埼玉,6%が茨城の生徒です。近年では岩槻方面からの受験生が増えているようです。総定員は100名で専願入試の定員を50→60名に増員して専願が生徒募集の主力になっています。この定員増で専願応募者が58→70名と増えています。特選不合格者18名は全員が進学へスライド合格しました。
開校4年目となる千葉明徳は受験生への認知度が上がってきたのか,第一志望入試の応募者が30→36→35→46名と目立って増えています。また合格者が絞られたため,倍率が1.3→1.6倍と上昇しています。
中堅大学付属校の多くが他大学進学にシフトしている中で,東海大浦安は他の東海大系と同じく中高大10年一貫教育を教育の基本にしています。しかし中学を受験する際に6年後の進路を東海大学とするのが前提ですから受験者層が限定されて応募者の減少傾向が続いています。推薦入試では前年入試で145→114名と大きく応募者が減り,今年は定員を50→60名と増員しましたが,応募者はさらに114→97名と減り,合格者を5名増としたため倍率が1.7→1.4倍と低下しています。
日出学園は前年入試で総定員を80→100名と増員したのにともない,推薦の定員も20→30名と増員しましたが,応募者は1名増にとどまりました。今年は定員増の効果が1年遅れで現れたのか,応募者が46→52名と増えていますが,合格者を26→36名と増やしたため倍率は1.8→1.4倍と下がっています。
二松學舎大附柏は定員約30名(帰国子女若干名を含む)で第一志望入試を新設しましたが,まだ十分に浸透していなかったのか応募者は37名と小規模な入試となりました。
2.茨城の推薦(専願・第一志望)入試
茨城県には私立中学校10校(この4月に全寮制の韓国系民族学校で1条校として認可を受けて開校する青丘学院つくば中学を含めれば11校)と中等教育学校2校があり,そのうち8校で推薦入試(専願入試,第一志望入試ともいわれるが内容は同じ)が行われています。以下に入試データが判明している4校の入試状況をまとめておきます。(清真学園は応募者数のみ)

茗溪学園 この中では茗溪学園が注目されます。筑波学園都市に所在し,周辺には大学や研究所なども多く,科学教育に力を入れて文科省からSSHに指定されています。また国際教育の取り組みも積極的に行い,現在6学年の生徒1,428名中14%にあたる200名が帰国子女です。推薦入試では,前年男子の応募者が減りましたが,今年は男子の増加が目につきます。一般入試の出願状況も好調で,まだ1月の窓口での出願がありますが,男子は年内の郵送分だけですでに前年の最終応募者数を上回っています。
3.海外帰国生入試
海外帰国生入試は11月から始まっていて,すでに年内で相当数の学校が入試を終えています。さらに年明けの1月,また東京・神奈川の2月の一般入試と同一日程でも実施する学校がありますが,ここでは一般入試とは別枠・別日程で行われる海外帰国生入試について見ていきます。
一般に海外帰国生は比較的経済的に恵まれた家庭の高学力の受験生が多いようで,学費が高めでも帰国枠のある有名大学付属校やブランド性の高い学校に受験生が集中する傾向があります。そして海外帰国生入試は入試日程が11月から2月まで広がっているため,多くの有名校の入試日が重なっている一般入試ではありえない魅力的なラインナップの併願が可能になります。たとえば,頌栄女子学院(12/7)―東京女学館(12/14)―立教女学院(12/20)―白百合学園(1/8)―学習院女子(1/18)-慶應湘南(2/2)などです。
また多くの場合定員は名目的なもので(もっとも若干名という表記が多い),英語力など学校が求める水準以上の受験生が来れば人数にかかわらず合格を出すことが多いようです。たとえば2013年の渋谷教育学園渋谷は,定員12名に対し合格者を53名も出しています。したがって倍率の高低で入試状況を判断できない場合が多く注意が必要です。
一方で中堅以下の学校でも近年海外帰国生入試を導入するところが増えていますが,一部の人気校を除いて応募者が少数にとどまっていることが多く,応募者0名の学校もかなりあります。
また学校選択のポイントとして帰国生の受け入れ体制(英語の取り出し授業など)がしっかりしているかどうかも重要な要素になっているようです。
なお富士見丘,宝仙学園理数インター,茗溪学園,土浦日大,同志社国際,立命館宇治などが行っている,ニューヨークやシンガポールなど現地で実施する海外入試については割愛します。以下のデータは12月25日現在判明分で,( )内は前年度実績です。
(1)11月入試

大妻中野 11月には上記の5校のほか8校で海外帰国生入試が実施されました。上記5校の中では大妻中野の38→72名,かえつ有明A1の71→100名という大幅増加が注目されます。この2校は一般入試でも応募者が大きく増えそうな人気上昇校で,帰国生の入学後の指導体制も大変に充実してきていますから,集まるべくして集まっているという感があります。
(2)12月入試
12月に入ると続々と有力な学校の入試が開始されています。2014年の首都圏中学入試の受験者全体では4~5%の減少が予想されていますが,上記15校では応募者が増えている学校も目立ちます。応募者数が前年を上回っているのは,芝浦工大,立教池袋,山脇学園,頌栄女子学院,淑徳,東京女学館,かえつ有明,跡見学園,広尾学園,立教女学院の10校です。特に立教池袋が57→72名で26%増,山脇学園が13→31名で138%増,東京女学館は34→49名で44%増,かえつ有明A2は86→113名で31%増,広尾学園は54→91名で69%増,立教女学院は68→88名で29%増など相当に大きく増えています。また海外帰国生入試を新設した東京都市大等々力が予想以上の34名の応募者を集め(学校の予想は20名前後)注目されます。ただし34名の内訳が男子28名,女子6名と著しく男子に偏っているのは,帰国子女が多い東急沿線周辺エリアの頌栄女子学院,洗足学園,東京女学館,実践女子学園などの有力女子校との競合によるものです。(男子は攻玉社ぐらいしかない)
(3)1月入試
1月入試校のうちすでに出願を締め切っている学校のうちの判明分を以下に掲載します。
この10校の中では,白百合学園30→53名で77%増,聖光学院91→114名25%増という大きな伸びが注目されますが,なんといっても海外帰国生入試を新設した東京都市大付が初年度で146名の応募者を集めたのは驚きです。145名が受験しましたが,優秀な受験生が多く,海城,攻玉社,聖光学院などとの併願者が多いためもあってか合格者を87名も出しています。
また桐光学園と森村学園は入試日が重なって両校ともに応募者が減り痛み分けの結果になりました。
さて2014年中学入試の前哨戦ともいうべき千葉・茨城の推薦入試が12月1日から始まり,すでに多くの学校では合格発表まで終わっています。また海外帰国生入試も11月から始まっています。
前回の第52話までは入試予想でしたが,いよいよ今回は千葉・茨城の推薦入試と海外帰国生入試の速報です。
1.千葉の推薦(専願・第一志望)入試
千葉県には24校の私立中学があり,そのうち16校で推薦入試(専願入試,第一志望入試ともいわれるが内容は同じ)が行われています。以下に入試データが判明している12校の入試状況をまとめておきます。なお暁星国際,志学館,秀明八千代,東京学館浦安の4校は12月20日時点でデータ未公表。( )内は前年度実績です。また二松學舎大附柏の第一志望入試は新設です。
(1)千葉の女子校
千葉の私立中には男子校がありませんから,女子校3校から見ていきます。
応募者 | 受験者 | 合格者 | 倍率 | ||
国府台女子(市川市) | F | 222(240) | 221(239) | 68(62) | 3.3(3.9) |
聖徳大附女子(松戸市) | F | 65(65) | 65(65) | 63(60) | 1.0(1.1) |
和洋国府台女子(市川市) | F | 69(89) | 69(89) | 66(75) | 1.0(1.2) |
国府台女子は仏教主義(浄土真宗)に基づく女子教育で知られる中堅レベルの女子校です。新校舎の完成や好調な大学合格実績によって人気が上がって第一志望者が増え,前年の推薦入試では応募者が8%増加。そのため定員を40→50名と増員しましたが,前年までの高倍率で敬遠されたのか応募者が8%減となりました。倍率がやや下がっていますが,難易度は前年並みでしょう。
聖徳大附女子は第一志望入試を含めてすべての回でS選抜クラス,選抜クラス,進学クラスの選考が行われるようになり,各回の定員も大きく変わっています。第一志望入試の定員は45→30名と減員されましたが応募者が応募者,受験者とも前年同数でした。定員減にもかかわらず合格者を前年より3名多く出しています。
和洋国府台女子は前年入試で総定員を280→210名と大幅に減員しました。推薦入試の定員も70→60名と10名減でしたが,なぜか応募者は79→89名と10名増加しました。今年は応募者が89→69名と20名の減ですが,2012年の79名から見れば10名減の69名ですから1年遅れで妥当な水準になったとも考えられます。
(2)千葉の共学校
千葉私立中24校中で共学校は21校ですが,トップの3校(渋谷教育学園幕張,市川,東邦大東邦)や中堅上位の専修大松戸,芝浦工大柏など8校では推薦入試を行っておらず,推薦入試実施校は13校です。データが公表されている9校(千葉国際は応募者数のみ)について見ていきます。
応募者 | 受験者 | 合格者 | 倍率 | ||
昭和学院(市川市) | M | 30(26) | 30(26) | 24(18) | 1.3(1.4) |
F | 55(72) | 55(72) | 53(59) | 1.0(1.2) | |
計 | 88(98) | 85(96) | 77(77) | 1.1(1.2) | |
昭和秀英(千葉市美浜区) | M | 244(250) | 244(250) | 15(14) | 16.2(17.9) |
F | 269(280) | 268(279) | 21(29) | 12.8(9.6) | |
計 | 513(530) | 512(529) | 36(43) | 14.2(12.3) | |
西武台千葉(野田市)進学 | M | 18(12) | 18(11) | 16(7) | 1.1(1.6) |
F | 19(15) | 19(15) | 18(10) | 1.1(1.5) | |
計 | 37(27) | 37(26) | 34(17) | 1.1(1.5) | |
西武台千葉(野田市)特選 | M | 15(16) | 15(15) | 5(10) | 3.0(1.1) |
F | 18(15) | 18(15) | 10(5) | 1.8(3.0) | |
計 | 33(31) | 33(30) | 15(15) | 2.2(2.0) | |
*上記以外に特選→進学へのスライド合格がM10(4)名,F8(9)名 | |||||
千葉明徳(千葉市中央区) | M | 26(23) | 26(22) | 13(16) | 2.0(1.4) |
F | 20(12) | 20(12) | 15(10) | 1.3(1.2) | |
計 | 46(35) | 46(34) | 28(26) | 1.6(1.3) | |
東海大浦安(浦安市) | M | 64(78) | 63(78) | 43(44) | 1.5(1.8) |
F | 33(36) | 32(34) | 27(21) | 1.2(1.6) | |
計 | 97(114) | 95(112) | 70(65) | 1.4(1.7) | |
二松學舎大附柏(柏市) | M | 18(-) | 18(-) | 14(-) | 1.3(-) |
F | 19(-) | 19(-) | 15(-) | 1.3(-) | |
計 | 37(-) | 37(-) | 29(-) | 1.3(-) | |
日出学園(市川市) | M | 22(24) | 22(24) | 14(12) | 1.6(2.0) |
F | 30(22) | 30(22) | 22(14) | 1.3(1.6) | |
計 | 52(46) | 52(46) | 36(26) | 1.4(1.8) | |
八千代松陰(八千代市) | M | 124(121) | 124(120) | 68(63) | 1.8(1.9) |
F | 136(126) | 135(125) | 70(75) | 1.9(1.7) | |
計 | 260(247) | 259(245) | 138(138) | 1.9(1.8) | |
千葉国際(君津市) | M | 9(16) | -(16) | -(14) | -(1.1) |
F | 16(22) | -(22) | -(22) | -(1.0) | |
計 | 25(38) | -(38) | -(36) | -(1.1) |
この9校中最も入学レベルが高い昭和学院秀英は第一志望入試の応募者が2009年をピークとして,その後5年連続で822→723→698→602→530→513名と減っています。今年の場合は定員が40→35名と減員されたという事情もありますが,応募者が減ったとはいえ10倍を超える高倍率で敬遠されているというのが実際の理由でしょう。

西武台千葉 野田市の西武台千葉は,西が江戸川をはさんで埼玉県,東は利根川をはさんで茨城県に接するため在籍生の34%が埼玉,6%が茨城の生徒です。近年では岩槻方面からの受験生が増えているようです。総定員は100名で専願入試の定員を50→60名に増員して専願が生徒募集の主力になっています。この定員増で専願応募者が58→70名と増えています。特選不合格者18名は全員が進学へスライド合格しました。
開校4年目となる千葉明徳は受験生への認知度が上がってきたのか,第一志望入試の応募者が30→36→35→46名と目立って増えています。また合格者が絞られたため,倍率が1.3→1.6倍と上昇しています。
中堅大学付属校の多くが他大学進学にシフトしている中で,東海大浦安は他の東海大系と同じく中高大10年一貫教育を教育の基本にしています。しかし中学を受験する際に6年後の進路を東海大学とするのが前提ですから受験者層が限定されて応募者の減少傾向が続いています。推薦入試では前年入試で145→114名と大きく応募者が減り,今年は定員を50→60名と増員しましたが,応募者はさらに114→97名と減り,合格者を5名増としたため倍率が1.7→1.4倍と低下しています。
日出学園は前年入試で総定員を80→100名と増員したのにともない,推薦の定員も20→30名と増員しましたが,応募者は1名増にとどまりました。今年は定員増の効果が1年遅れで現れたのか,応募者が46→52名と増えていますが,合格者を26→36名と増やしたため倍率は1.8→1.4倍と下がっています。
二松學舎大附柏は定員約30名(帰国子女若干名を含む)で第一志望入試を新設しましたが,まだ十分に浸透していなかったのか応募者は37名と小規模な入試となりました。
2.茨城の推薦(専願・第一志望)入試
茨城県には私立中学校10校(この4月に全寮制の韓国系民族学校で1条校として認可を受けて開校する青丘学院つくば中学を含めれば11校)と中等教育学校2校があり,そのうち8校で推薦入試(専願入試,第一志望入試ともいわれるが内容は同じ)が行われています。以下に入試データが判明している4校の入試状況をまとめておきます。(清真学園は応募者数のみ)
応募者 | 受験者 | 合格者 | 倍率 | ||
聖徳大取手聖徳(取手市) | F | 25(32) | 25(32) | 17(29) | 1.5(1.1) |
常総学院(土浦市) | M | 38(44) | 38(43) | 34(37) | 1.1(1.2) |
F | 43(40) | 42(40) | 36(33) | 1.2(1.2) | |
計 | 81(84) | 80(83) | 70(70) | 1.1(1.2) | |
茗溪学園(つくば市) | M | 67(55) | 66(55) | 47(49) | 1.4(1.1) |
F | 95(99) | 95(96) | 79(85) | 1.2(1.1) | |
計 | 162(154) | 161(151) | 126(134) | 1.3(1.1) | |
清真学園(鹿嶋市) | M | 97(83) | -(83) | -(72) | -(1.2) |
F | 91(92) | -(92) | -(73) | -(1.3) | |
計 | 188(175) | -(175) | -(145) | -(1.2) |

茗溪学園 この中では茗溪学園が注目されます。筑波学園都市に所在し,周辺には大学や研究所なども多く,科学教育に力を入れて文科省からSSHに指定されています。また国際教育の取り組みも積極的に行い,現在6学年の生徒1,428名中14%にあたる200名が帰国子女です。推薦入試では,前年男子の応募者が減りましたが,今年は男子の増加が目につきます。一般入試の出願状況も好調で,まだ1月の窓口での出願がありますが,男子は年内の郵送分だけですでに前年の最終応募者数を上回っています。
3.海外帰国生入試
海外帰国生入試は11月から始まっていて,すでに年内で相当数の学校が入試を終えています。さらに年明けの1月,また東京・神奈川の2月の一般入試と同一日程でも実施する学校がありますが,ここでは一般入試とは別枠・別日程で行われる海外帰国生入試について見ていきます。
一般に海外帰国生は比較的経済的に恵まれた家庭の高学力の受験生が多いようで,学費が高めでも帰国枠のある有名大学付属校やブランド性の高い学校に受験生が集中する傾向があります。そして海外帰国生入試は入試日程が11月から2月まで広がっているため,多くの有名校の入試日が重なっている一般入試ではありえない魅力的なラインナップの併願が可能になります。たとえば,頌栄女子学院(12/7)―東京女学館(12/14)―立教女学院(12/20)―白百合学園(1/8)―学習院女子(1/18)-慶應湘南(2/2)などです。
また多くの場合定員は名目的なもので(もっとも若干名という表記が多い),英語力など学校が求める水準以上の受験生が来れば人数にかかわらず合格を出すことが多いようです。たとえば2013年の渋谷教育学園渋谷は,定員12名に対し合格者を53名も出しています。したがって倍率の高低で入試状況を判断できない場合が多く注意が必要です。
一方で中堅以下の学校でも近年海外帰国生入試を導入するところが増えていますが,一部の人気校を除いて応募者が少数にとどまっていることが多く,応募者0名の学校もかなりあります。
また学校選択のポイントとして帰国生の受け入れ体制(英語の取り出し授業など)がしっかりしているかどうかも重要な要素になっているようです。
なお富士見丘,宝仙学園理数インター,茗溪学園,土浦日大,同志社国際,立命館宇治などが行っている,ニューヨークやシンガポールなど現地で実施する海外入試については割愛します。以下のデータは12月25日現在判明分で,( )内は前年度実績です。
(1)11月入試
試験日 | 学校名 | 応募 | 受験 | 合格 | 倍率 | |
11/16 | 東京成徳大 | M | 4(3) | 4(3) | 4(3) | 1.0(1.0) |
F | 2(2) | 2(2) | 2(2) | 1.0(1.0) | ||
計 | 6(5) | 6(5) | 6(5) | 1.0 (1.0) | ||
11/23 | 文化学園大杉並 | F | 7(4) | 7(4) | 7(3) | 1.0(1.3) |
11/29 | 武蔵野女子学院 | F | 4(4) | 4(4) | 3(4) | 1.3(1.0) |
11/30 | 大妻中野 | F | 72(38) | 72(38) | 71(37) | 1.0(1.0) |
11/30 | かえつ有明A1 | M | 52(38) | 52(35) | 43(33) | 1.2(1.1) |
F | 48(33) | 48(33) | 47(33) | 1.0(1.0) | ||
計 | 100(71) | 100(68) | 90(66) | 1.1(1.0) |

大妻中野 11月には上記の5校のほか8校で海外帰国生入試が実施されました。上記5校の中では大妻中野の38→72名,かえつ有明A1の71→100名という大幅増加が注目されます。この2校は一般入試でも応募者が大きく増えそうな人気上昇校で,帰国生の入学後の指導体制も大変に充実してきていますから,集まるべくして集まっているという感があります。
(2)12月入試
試験日 | 学校名 | 応募 | 受験 | 合格 | 倍率 | |
12/1 | 芝浦工大 | M | 7(2) | 7(2) | 6(2) | 1.2(1.0) |
12/3 | 立教池袋 | M | 72(57) | 72(57) | 33(31) | 2.2(1.8) |
12/4 | 学習院 | M | 67(70) | 67(69) | 40(35) | 1.7(2.0) |
12/6 | 山脇学園 | F | 31(13) | 30(13) | 19(9) | 1.6(1.4) |
12/7 | 実践女子GSC | F | 25(40) | 21(40) | 21(35) | 1.0(1.1) |
実践女子SJC | F | 27(42) | 23(42) | 23(37) | 1.0(1.1) | |
計 | F | 52(82) | 44(82) | 44(72) | 1.0(1.1) | |
12/7 | 頌栄女子学院 | F | 150(140) | -(137) | -(80) | -(1.7) |
12/7 | 淑徳 | M | 10(11) | 7(11) | 6(9) | 1.2(1.2) |
F | 10(6) | 10(6) | 9(4) | 1.1(1.5) | ||
計 | 20(17) | 17(17) | 15(13) | 1.1(1.3) | ||
12/14 | 東京女学館 | F | 49(34) | 48(33) | 36(27) | 1.3(1.2) |
12/15 | かえつ有明A2 | M | 61(49) | 56(38) | 41(24) | 1.4(1.6) |
F | 52(37) | 34(26) | 30(20) | 1.1(1.3) | ||
計 | 113(86) | 90(64) | 71(44) | 1.3(1.5) | ||
12/17 | 跡見学園 | F | 39(29) | 39(28) | 36(28) | 1.1(1.0) |
12/19 | 広尾学園 | M | 43(29) | 43(27) | 12(6) | 3.6(4.5) |
F | 48(25) | 44(24) | 15(10) | 2.9(2.4) | ||
計 | 91(54) | 87(51) | 27(16) | 3.2(3.2) | ||
12/19 | 東京都市大等々力 | M | 28(-) | 28(-) | 23(-) | 1.2(-) |
F | 6(-) | 6(-) | 5(-) | 1.2(-) | ||
計 | 34(-) | 34(-) | 28(-) | 1.2(-) | ||
12/20 | 立教女学院 | F | 88(68) | 87(65) | 31(32) | 2.8(2.0) |
12/20 | 三輪田学園 | F | 4(9) | 0(8) | 0(3) | -(2.7) |
12/22 | 江戸川女子 | F | 36(60) | 36(60) | 24(35) | 1.5(1.7) |
12月に入ると続々と有力な学校の入試が開始されています。2014年の首都圏中学入試の受験者全体では4~5%の減少が予想されていますが,上記15校では応募者が増えている学校も目立ちます。応募者数が前年を上回っているのは,芝浦工大,立教池袋,山脇学園,頌栄女子学院,淑徳,東京女学館,かえつ有明,跡見学園,広尾学園,立教女学院の10校です。特に立教池袋が57→72名で26%増,山脇学園が13→31名で138%増,東京女学館は34→49名で44%増,かえつ有明A2は86→113名で31%増,広尾学園は54→91名で69%増,立教女学院は68→88名で29%増など相当に大きく増えています。また海外帰国生入試を新設した東京都市大等々力が予想以上の34名の応募者を集め(学校の予想は20名前後)注目されます。ただし34名の内訳が男子28名,女子6名と著しく男子に偏っているのは,帰国子女が多い東急沿線周辺エリアの頌栄女子学院,洗足学園,東京女学館,実践女子学園などの有力女子校との競合によるものです。(男子は攻玉社ぐらいしかない)
(3)1月入試
1月入試校のうちすでに出願を締め切っている学校のうちの判明分を以下に掲載します。
試験日 | 学校名 | 応募 | 受験 | 合格 | 倍率 | |
1/5 | 桐光学園 | M | 63(86) | 71(84) | 62(70) | 1.2(1.2) |
F | 22(31) | 28(31) | 21(26) | 1.3(1.2) | ||
計 | 85(117) | 99(115) | 83(96) | 1.2(1.2) | ||
1/5 | 森村学園 | M | 16(25) | 16(25) | 10(13) | 1.6(1.9) |
F | 17(15) | 17(15) | 13(12) | 1.3(1.3) | ||
計 | 33(40) | 33(40) | 23(25) | 1.4(1.6) | ||
1/6 | 東京都市大付 | M | 146(-) | 145(-) | 87(-) | 1.7(-) |
1/7 | 海城 | M | 162(149) | -(149) | -(60) | -(2.5) |
1/7 | 大妻 | F | 52(50) | -(31) | -(20) | -(1.6) |
1/8 | 白百合学園 | F | 53(30) | -(28) | -(22) | -(1.3) |
1/9 | 湘南白百合 | F | 40(53) | -(40) | -(28) | -(1.5) |
1/11 | 聖光学院 | M | 114(91) | -(87) | -(22) | -(4.0) |
1/12 | 洗足学園 | F | 157(137) | -(129) | -(55) | -(2.3) |
1/18 | 学習院女子 | F | 73(75) | -(42) | -(22) | -(1.9) |
この10校の中では,白百合学園30→53名で77%増,聖光学院91→114名25%増という大きな伸びが注目されますが,なんといっても海外帰国生入試を新設した東京都市大付が初年度で146名の応募者を集めたのは驚きです。145名が受験しましたが,優秀な受験生が多く,海城,攻玉社,聖光学院などとの併願者が多いためもあってか合格者を87名も出しています。
また桐光学園と森村学園は入試日が重なって両校ともに応募者が減り痛み分けの結果になりました。
[次回予告] 「2014年中学入試速報!――1月 埼玉・千葉の一般入試スタート――」
いよいよ年が明けるとすぐに,1月10日から埼玉,1月20日からは千葉の一般入試が始まります。近年は1月中にすべての入試日程を終える学校も増えてきましたが,最後の入試回を2月上旬に実施するところもかなりありますから第1回の速報として,入試結果のデータを公表している学校の状況をお伝えします。